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賢烏合の集 十三忌

作者: 錦蔵の助
掲載日:2025/01/06

 よくある悪の組織の会議の話。


 ※キョウカ 勇者は、私の友人が考案したキャラです。

 ちゃんと許可を取ってます。

 物語の舞台は、中世西洋風の豪華な室内から始まる。

 詳しく説明すれば、この部屋の床は、光をよく反射する大理石製で、それに濃い紫のふかふかなカーペットが敷かれており、そこに黒色テーブルクロスを被せている長方形のテーブルが設置してある。それの周りには、10の椅子が置かれていた。置かれてある家具や調度品は全部上等なものである。 

 灯りのついた燭台も卓上や窓際などにあるのだが、それでも全体的にかなり暗く、そのせいかこの場が怪しげな雰囲気と威圧さを醸し出していた。

 室内から窓を除けば、雷が常に激しく迸る曇天と、不気味な鳴き声を上げる怪鳥達、植物がほとんど生えていない荒みきった灰色の山々が確認できる。


 上記の部屋まで、入室してくる一人の少女がいた。

 彼女の両手には、食べ物や飲み物がパンパンに入っている袋が提げられていた。


 「頼んだもの買ってきたわよ。ったく、なんでこんな文明が未発達な世界で、コンビニ限定の商品を頼んでくるのよ貴様らは・・・・・・おかげで別の世界を渡るなんて面倒なことしなくちゃならなかったじゃないの!?」


 少女の特徴は、顔立ちが整っており、肌質は瑞々しく、髪型は前髪毛先だけ赤である銀の短髪。目は軽く吊り上がり、服装は露出多めのビキニアーマーと黒マント。

 しかしその説明だけでは、彼女を説明したことには、ならない。

 なんと彼女の頭側部から、ヤギの角が生えており、耳先が尖ってあるのだ。


 NO13 イベート ディープパス


 二つ名は、邪悪の樹の魔王。

 彼女は、泣く子も黙る全並行世界最悪の犯罪グループ『賢烏合の集』の幹部『十三忌』の一人に数えられ、そして昔に、魔界の西北の領地を治めていた悪魔なのだ。つまり魔王。

 有するLVはなんと100・・・・・・! 


 「魔王様www! 私の蛸ベーコンスパゲッティを買ってくださいましたか?」


 「魔王様www! 動くの面倒くせェから、飲むヨーグルトをこのアナスタシエス様の前まで持ってきてくれねえ?」


 「早く配るのだ魔王様www!! さっさとするがいいっ!! この木偶の坊めっ!!」


 (くっ・・・・・・!!)


 重い袋を運んできた魔王に向かって、先に角卓についた他のメンバーの一部が、催促する。

 彼らは、彼女のことを 魔王様 と敬称で呼んでいるものの、その言葉には、畏怖や尊敬の念などみじんも無く、代わりに侮蔑や嘲笑を含んでいた。


 もちろん魔王も、そのことを身に染みる程感じており、バカにする奴らを一人残らず虐殺したいのをこらえて、頼まれたものを配った。

 なぜ傲慢不遜冷酷無比な魔王が、侮られているはずなのに報復しないのか・・・・・・?

 答えは、単純。 

 この室内にいる他のメンバー全員が、魔王より強いからだ。報復したくてもできないのだ。

 膨大な魔力を持ち、軍事大国の一つや二つを鼻歌混じりで容易く攻め落とせることができるこの魔王は、もちろん凡人達どころか超人達ですら畏れられる存在だ・・・・・・だが、ここでは、悪魔達を統べる女王ですら、パシリへと変貌する。

 ※十三忌では、代々末席がパシリになる決まりがある。


 自分以外のメンバーに飲食物を渡した魔王は、下座である扉近くの椅子につく。


 「ズルズルズル・・・・・・イベートさん。スパゲッティありがとうございますね」

 魔王側から見て、卓を挟んで対面に座っている鰯頭部のお面をつけているアロハ着の青年が、プラスチックパッケージに入っている麺をすすりながら、感謝を述べた。


 NO12 虚仮(こけ)


 二つ名は、無神論者達の神。

 文脈から威厳が感じられない彼だが、実は背徳と不信を司る神であり、神々から神格を奪い、人間・妖精・妖怪の位まで問答無用に引きずり堕とす権能を有している。

 奥の手は、神界にあるとされる浮島を成層圏まで召喚し、それに高重力を加えて隕石の如く地表まで降らせる事。


 「虚仮殿よ。穢らわしい悪魔の長・・・・・・ましてや軟弱な末席相手に感謝を述べる必要なぞ無いと存じるぞ・・・・・・!」


 鰯面の神にきつい口調で話しかけているのは、西洋甲冑着姿の壮年の男だ。諸刃剣と大きな盾をこの部屋に持ち込んでいる。

 そして彼の持つ盾の表面の左右上下には、なぜか革ベルトが取り付けられていた。


 NO11 カンビュサス


 二つ名は、砂漠の英雄

 剣聖相手すら悠々と伏せる剣技を扱う猛者。おまけに召喚魔法の達人であるのだ。

 そして軍女神と気高い勇者を親に持っている。つまり彼の属する種族名は、半神半人デミゴット

 

 ちなみに魔王を含む卓に着いているメンバーの大半が、彼の言葉を耳にした際、(お前がいうな。悪魔ですらドン引きするような戦法を採っている卑怯者が・・・・・・)風な事を同時に思っていた。


 「かわいい女体・・・・・・ゴホゴホッ! れでぃを言うに事欠いて、穢れた軟弱と呼ぶとは、見損なったぞカンビュサスっ!!

 どうれイベートよ。傷心を負ったのなら、わしとこれから大人用の宿屋にでも・・・・・・ウヒヒッ」


 魔王を庇うのは、古代中国の着物を身に着け、後ろ髪をシニヨンカバーで包んでいる老人だ。

 鼻の下を伸ばしてこちらの豊満な胸を凝視する老人に、彼女は心の底から侮蔑し睨んだ。


 NO10 阿曽着(あそぎ)


 二つ名は、房中(ぼうちゅう)仙人。

 鍼灸を初め、漢方薬などの古代中国医学に精通しているスケベ仙人。呪術にも詳しい。

 竜脈・・・自分が立っている惑星のエネルギーに殺傷能力を付与し、自在に操るのが基本的戦法。

 自分の屋敷には、キョンシーに変えた美女達を侍らせている。

 R18の方法で、相手方の使える魔法や能力スキルを奪うことができる。

 ちなみに、十三忌の女性陣全員にめっちゃっ蛇蝎の如く嫌われている。


 「もう阿曽着ジーチャン。いい加減に気持ち悪い事言うの自重しないと、いつか殺されちゃうよ?

 まあ、おいらっちも、一応オスだから、ジーチャンの気持ちも分からなくはないけど」


 ハダカデバネズミを擬人化したような小柄な獣人が、喚く。

 彼の服装は、上半身裸で、素肌の上にオーバーオールを着てでかい革靴を履いている。あと腕には、スマートフォンに酷似した液晶機器をはめてあった。


 NO9 カジカジ


 二つ名は、ファクトリーマフィア

 古今東西多種多様な魔道具マジックアイテムと機械類の設計や製作に携わった妖精の裏社会の首領。

 彼の基礎的な能力は、構造を隅々まで理解した魔道具や機械類を自在に操ることである。

 肉眼では捉えられないようなナノサイズマシンから果ては、軍事惑星すら駆逐できる宇宙戦艦すらも彼にとっては、手足同然。ハッキング能力も最高峰に優れており、何より恐ろしいのは、彼から発する鱗粉に触れた生物は、例外はあるものの緩い条件で術者の命令に忠実な機器類へと変貌させられる。


 「おいおいさっさと会議始めよーぜ。ちんたらしてったら、ブちぎれたアナスタシエス様が、てめぇらを皆殺しにしちまうよ~」


 剣呑なことを呟いているのは、右額・両手首足首から黒い鱗が生えてある黒キトン着の金髪の美少女だ。

 あと、彼女の髪の右側面には、爪型の剃り込みが入っていて、首は、鞴ふいごみたいに蛇腹状になっており、舌の部分は、チューブ状になっている。


 NO8 アナスタシエス


 二つ名は、焼夷竜

 二つ名の通りに彼女の正体は、竜で今は人型の姿をしているが、その気になれば、お城すら見下ろせれる程巨躯なドラゴンへと戻ることができる。

 そして彼女から発される炎は、可燃物はもちろん水も結界も太陽も虚空すらも燃やし尽くす。


 「恐ろしいですね。 貴方の好戦的な発言に身震いします。控えて下さると助かります。

・・・・・・だって、このわたくしの下、私の次に強いあなたの脅しは、下位メンバーにとっては、恐怖そのもの。当然よね」


 焼夷竜を礼節弁えて煽るのは、でかい法螺貝を抱えている山伏姿の妙齢の女性だ。

 彼女の髪型は、焦げ茶色のオールバック。背中から黒い烏の翼が生えてあった。


 NO7 流星 猿田美


 二つ名は、九番目の大天狗。

 主に、敵側に潜入するスパイ任務を請け負うことが多い。

 いろんな神通力を使うことができるが、風属性の術がやはり得意で、その威力は、神界すら焦土と化す炎を跳ね除け、惑星・恒星果ては、ブラックホールすらも吹き飛ばせる程規格外に高い。操る風の精密性も随一。

 彼女が扱う法螺貝は、風発動補助用の他に傍受が非常に困難な通信魔道具でもある。


 「・・・・・・・・・・・・」

 全身包帯で包んでいる乾燥しきった男が、黙って扉の方へと視線を向けた。

 彼の左の鼻の穴には、牧杖が突き刺さっており、胸部からは肺と心臓、腹部からは胃と腸と肝臓がまろび出ている。アンクのネックレスと腰ミノとサンダルを身に着けていた。


 NO6 ヒエログリフ


 二つ名は、烏の巣の番人。

 賢烏合の衆のアジト全棟の警備を任されているマミー。

 そのアジトを探っている敵対者には、自動オートでこちらの都合の良いような幻術をかけ、それでもそのアジト内に進入してきた相手には、自動オートで冥府まで続く道まで呪術で誘導させる。

 壁・床・天井果ては空間の裏にすら罠をかけることができる。


 『ヒエログリフさん。ずっと扉を眺めているみたいですけど、何かあったんですか?』


 パーカーを身に着けた幼い男の子から話しかけられるも、マミーの男は答えなかった。

 いや、答えられないのだ。

 なぜなら、パーカーの子の姿や声は、僅かでも霊感を持っている人なら捉えられないからだ。


 NO5 ディビシフラシオン


 二つ名は、逆霊。

 不治の病でこと切れる前に、賢烏から魔力の無い魔族のエネルギーを注入された後に死亡した被検体。

 あまりに特殊な生前により、なんやかんやで僅かにでも神秘性が含んだものには、干渉されない霊体を手に入れた。

 つまり神秘性の塊である神や魔族や幽霊や神官にとって、彼の存在が捉えられず攻撃も通れない。その上結界など張ろうにも、素通りされ、厄介なことに彼から発される歪な雷が誰彼構わずに喰らってしまうという。まさしく反則。

 彼を倒すには、100パーセント純度の俗物をぶつけるしか、方法がない。


 「もお~ヒエログリフ~。フラシオンが話しかけてるのに、無視するなんて酷いわよ~。

 まあ聞こえれないから仕方ないか」 


 卓上に置かれてあるフラスコの中から、外気まで小人サイズの少女の声が渡った。

 そのフラスコ内には、顔が前髪で隠れているジャージ着の小人の女が横たわっている。


 NO4 フラメル


 二つ名は、ガラス管内の諸葛孔明。

 十三忌の参謀役。錬金術に秀でており、賢烏にその分野の教鞭をとった過去がある程。

 賢者の石だけでなく愚者の石を同時に生成できる数少ない存在。

 その気になれば、銀河中の惑星の元素を長時間かけて鉄へと変換させることも可能。


 「・・・・・・」

 

 クマムシという微生物をそのまま巨大な熊のサイズまで拡大したような異形な姿の獣が、いる。

 

 NO3 マイクロスト


 二つ名は、無敵怪獣

 現在の奴は、乾眠という仮死状態になっており、水を与えればその状態が解除され、水量に応じてその体の重量と体積と膂力が指数関数的に増幅する特徴を持つ。

 恐ろしい点は、上記に書かれた説明では、決して無く、絶対熱・絶対零度・気圧・放射線・電圧・重力・光線・真空・毒物・霊的・呪いなど特殊な攻撃に完全な耐性を有している。

 物理的な耐久力も侮れなく、亜光速で射出されようが超新星爆発に巻き込まれようが、致命傷を負うことは無い。水さえあれば、超速再生される。

 弱点があるとすれば、空間系と飢え・・・・・・そして頭の弱さぐらいだろうか。



 「さて、NO1を除く他のメンバーは、集まったな。

 間違っても。賢烏に対して忠誠心が高い彼からは、この会議について察知されてはいけない。尾行には気を付けたかい。みんな」


 下半身が八本足の馬で構成されている三つ編みおさげの女性が、この場の主導権を取った。

 彼女の詳しい特徴は、見た目の年齢は、二十代前半。垂れ目。

 室内にも拘らずファーたっぷりの防寒着を着ており、右目にはモノクルがはめてある。背中には矢がたっぷり入った矢筒。脇には合成弓。


 NO2 スウ゛ァジルニル


 二つ名は、臆病なスナイパー。

 北欧神話の主神オーディンの愛馬スレイプニルの娘。もちろん種族はケンタウロス。

 地上だけでなく空や水中や真空であるはずの宇宙、果ては異世界【冥界神界含む】を自由にそして亜光速で移動することができる。

 千里耳の感覚系魔法も有しており、その範囲は、隣の銀河の惑星に落ちた針の僅かな音も聞き逃さない程。

 彼女の放つ投擲攻撃の射程は、それが弓矢であろうが投石だろうが宇宙の端から向かい端まで余裕で届くほど。攻撃力もすさまじく十三忌NO3の強固な皮膚を深く削る程だ。


 スウ゛ァジルニルが、他のメンバーの顔色を窺った後に、やっとこの会議の議題を口にした。


 「さあ、『第27回我らがボス・・・・・・もとい賢烏をどうやったら倒せるのか』について意見を述べ合おうではないか」


 魔王(我をここまで辱めたんだ。あのおかっぱ人間には屈辱的な死を与えたい・・・・・・っ!!)


 鰯面の神(個人的な恨みは、無いんですけどね~。まあ世界平和のため始末した方が良いですよね~)


 英雄(このカンビュサスが、最悪の魔女を討ったとなれば、全ての並行世界の民が、大いに讃えるだろう)


 仙人「ところで殺す場合は、できるだけ疵きずを付けるでないよう気を付けい・・・・・・! あとでわしが、彼女をワシ専用のキョンシーオナホド〇ルにするんじゃからな・・・・・・っ!!」


 妖精(グレムリン)(賢烏のパソコンをハッキングしたいんだけどな。殺したら彼女の脳髄からパソコンのパスワードの記憶が抜き取れるかな・・・・・・?)


 焼夷竜「頭を殺すのは、ぜひこのアナスタシエス様にさせてくれよっ!! ああっ! 最強の魔女と殺し合えるなんて俺様は、なんて幸せ者なんだ・・・・・・っ!!」


 天狗(このわたくしを、下級妖怪より下の位に就かせたことを後悔させて頂きますね)


 ミイラ(こいつら、自分のボスに対しての忠誠心無さ過ぎだろ。まあ、自分は日和どっちつかずでいかせてもらいましょうか。めんどくせえし)


 逆霊(ボクのことを実験体にしたことを、後悔させてやりますよ)


 ホムンクルス(悲しいことに彼女は、自身があたしの生徒であるって、自覚があるのかしら?

 ちょっと、痛い目を見た方が、いいわね)


 クマムシ型化け物「・・・・・」


 会議室内が、自分達の頭領に対しての殺意に満ちている時、ケンタウロスが呼びかける。


 「各々意見を出し合う前に・・・・・・お客の対応をしなくては。

 いや・・・・・・客の立場は、どちらかというと・・・・・・」


 会議室の扉が、勢いよく押し出された。

 そこに現れたのは・・・・・・。


 「妙な気配が複数、この部屋に集中していると思って来てみれば・・・・・・。

 なんだ貴様らは!? なぜここをまるで我が物顔で座っている!! 答えろっ!!」


 着物を着て額から二本の角を生やした少女・・・・・・鬼族の娘だ。

 名前は、キョウカ。


 なぜ彼女が、この場に来たのかと言うと、答えは単純。こここそが、彼女の家だからだ。


 つまりは、完全に侵入者側は、十三忌の方。

 彼らは、自分達とは本来無関係のアジトである城の会議室を無断で集合場所としてしまっていただけ。


 抜刀するキョウカ。

 「侵入者めっ! 目的を答えぬなら、全員問答無用で斬り捨てて・・・・・・斬り捨てて・・・・・・」

 剣技の才に秀でて、鬼族のトップの身体能力を有する彼女が、臨戦態勢を取ったのだ。

 その士気や覇気が。


 「・・・・・・誰に向かって刃向かっているかわかっているのか? 小鬼」

 魔王の眼光によってすぐに縮こまってしまう。


 (何だ・・・・・・? この迸る魔力はっ!? まさか我が主と肩を並べる程の実力が・・・・・・)

 いくら十三忌のパシリ役でも魔王は魔王。一般鬼如きに後れを取る訳なんて無いのだ。

 

 仙人「おおっ! べっぴんさんじゃな。是非ワシ専用のキョンシーにならんか?」


 英雄「譲ってくれぬか阿曽着殿・・・・・・!!

 今回は、このカンビュサスが、退治してやるっ!!」


 席を立った英雄が、鞘から剣を抜いた。


 キョウカ(・・・・・こいつも。この魔族と同じ・・・・・・いや、それ以上の力を隠し持っているだと!?)


 足が竦んでいる彼女を眺めて、英雄がいやらしく笑った。

 「せっかくだ。披露しておいてやる。

 ありがたく拝見するが良い・・・・・・この英雄カンビュサス様の得意魔法をっ!! 『召喚魔法 キャットシールド』」

 英雄から彼を包み込めるほどの膨大な煙が噴出したかと思えば、すくにそれが空気に溶ける。


 そこから現れた『彼ら』の姿に、


 「・・・・・・え?」


 彼女は、息を呑んだ。それもそのはず。


 「勇者様!? なぜここにっ!!」


 黒髪勇者が、英雄が装備した大楯にベルトで括りつけられて拘束されたのが見えたからだ。


 彼は、キョウカの恋人である。


 「キョウカさん!? あれ? オレは、確か剣の素振りをしてたはずじゃあ・・・・・・」




 (何だあれは・・・・・・? 偽者? 幻影?

 違う・・・・・・ずっと勇者様を追ってきた私だからわかる。彼は、まぎれもない本物の勇者様っ!?)


 「フフフハァハハッハハっ!!

 ・・・・・驚いただろう。

 これがこのカンビュサスの得意技。つ・ま・りは、敵方の大切な人を召喚する魔法だ。

 人質を確保するのが簡単なんであるな。 この魔法発動すると。

 さて・・・・・・? 察してあるであろう? もし逃げたり反撃でもしたら・・・・・・・どうなるか」

 諸刃剣の先を、拘束された勇者の首に近づける。


 (くっ!? この卑怯者がっ!!)

 英雄や焼夷竜が下品に笑う中、キョウカは、焦りながら窮地を脱する方法を考えていた。


 勇者「キョウカさん!! オレのことは、いい!! どうかこの男を倒してくれ!!

 でないと、このままでは、君が・・・・・・」


 「そんなことできるわけないだろっ!!

 くそ・・・・・・一体どうしたら・・・・・・!! 主や味方が来るまで耐えるしかないのか・・・・・・っ!!」


 思いつめるキョウカの肩を背後から優しく叩く者が一人。


 「うちのもんがすまねえな。後は、任せろ。鬼のお嬢ちゃん。

 身内の尻拭いは、身内がする」


 (誰・・・・・・?)


 鬼の彼女の横を通り越すのは、彼女の味方でも勇者の知人でもない・・・・・・恰幅とガタイが良い河童だ。しめ縄の回しとサングラスを着けている。

 その河童の顔を見たほとんどのメンバーの血の気が引いたのが、傍から見てもわかる。


 「スウ゛ァジルニルっ!! 河童が来たぞどうすんだよ。スウ゛ァジルニル? スウ゛ァジルニル!! ・・・・・・逃げたのかっ!?」

 取り乱した英雄が自分の背後を振り返った後、呆然とした。

 ケンタウロスとミイラが危険を前もって察知して魔法で逃亡したのだ。

 ホムンクルスが、怪獣に魔法の水を与えて覚醒させる。


 「くそっ!! いくら相手が河童でも一斉にかかれば、何とかなるはずだ・・・・・・貴殿らっ!! 全力で行くぞっ!!」


 魔王「『邪悪の樹の杖』っ!!」


 鰯面の神「『グラビティスタンプ』」


 英雄「『凶刃演舞』っ!!」


 仙人「『蟲毒ムカデ』っ!!」


 妖精グレムリン「『超鱗粉魔導砲』っ!!」


 焼夷竜「『ギリシアフレイム』っ!!」


 天狗「『増速(インクロー)』っ!!」


 逆霊「『通障壁(パスバリア)』っ!!」 


 ホムンクルス「『フールゴーレム』っ!!」


 無敵怪獣「ブォオオオオオっ!!」


 イベートが、葉の生えていない大木を床から生やし、虚仮が自分のかかる重力を上げた後跳び蹴りをかまし、カンビュサスが鮮やかな剣捌きを披露し、阿曽着が呪力に満ちたムカデを召喚し、カジカジが科学兵器の大砲を生成して標準を定め、アナスタシエスが炎を吐き、流星が法螺貝の吹き口に口を付け、ディビシフラシオンが歪な雷を纏い、フラメルが、ゴーレムを生成し、マイクロストが突進を繰り出す。


 一斉にこちらに殺到する危険極まりない攻撃に対し・・・・・・。


 「ただ、(ぬる)い」


 河童は、張り手一発で迎え撃つ。


 奴の張り手の威力は、まさに荒唐無稽で、その余波だけで刃向かってくる奴ら全員が容易く弾け飛ばされた。

 飛ばされたメンバーは、城の壁を突き破り、果ては大気圏すらも越えて宇宙に旅立った。

 まあ腐っても彼らは十三忌だから宇宙に放り出された程度で死ぬわけは無いが。


 河童「賢烏様の部下でありながら、その主を陥れようとするのは、言語道断」


 ちゃっかりと盾に磔にされて気絶している黒髪勇者も、河童は安全圏まで手繰り寄せることで助けていた。


 絶大な威力を前に、開いた口が塞がらないキョウカ。

 正気を取り戻した彼女が、尋ねる。


 「あ・・・・・・ありがとう。貴方の名は・・・・・・?」


 「ふん。ただの悪党の名前を覚える必要は、ないさ。

 まあ一応名乗ってやる。霧龍 兵武神だ」


 NO1 霧龍 兵武神


 二つ名は、銀河童。

 得意な魔法は、宇宙全域を瞬時に水没させるもの。

 正真正銘、賢烏に強さを認められた十三忌筆頭。


 十三忌のボスは、魔女の賢烏です。

 彼女は、十三忌達のことを戦力やどころか駒とすら思ってません。

 ただファッションで雇っているだけです。

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