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009話 俺も死ぬからお前も死ね

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

攻撃をするタイミングなんてどこにも無かった。

あれだけ上げたはずの運動のステータスでも、動きを捉えられない。

僅かな感覚だけを頼りに辛うじて相手の猛攻を防ぐが、いずれはこちらの体力が尽きて負ける未来しか見えない。

ここからステータスを上げれば互角に戦える可能性もあるが、そんな隙は与えてくれるはずがないよな。


「どうした?これが本気って奴か?」

「だから、俺は普通のFランク冒険者だっての!」


剣が刃こぼれしてきた。

相手は肉体1つで攻撃しているのに、鉄が負けるってどういう原理だよ。


「俺の勘違いか?死ぬ気で来いよ、俺を楽しませろ」

「・・・アンタが相手で死ぬ気ってのは甘いだろ」

「あ?どういう意味だ?もっと上があんのか?」


この戦闘狂は恐らくランクで言うならAランク、いや、Sランクあると言ってもおかしくはない。

そんなのにただ死ぬ気で行って勝てるはずがない。


心臓がいつもより早く動いている音がする。

集中力を使い過ぎて頭がパンクしてしまいそうだ。

疲れた、立ち止まりたい。

何故、俺はこんな強敵と戦っているのか。

逃げ出せば良いのではないか。


いや、違うだろ。

男に生まれて来たなら一度始めた戦いから逃げるな。


「俺も死ぬから、お前も死ね」


親指を下に突き立てる。


「その狂気、嫌いじゃないぜ!」


この会話の間にも頭をフル回転させて、最善のポイントの割り振りを考え実行する。

その為に稼いだ数秒間だ。

無駄にする訳にはいかない。


「小細工は済んだか?」

「気付いてて見逃すとか結構気前が良い奴だな!」

「俺はいつでも全力で暴れてぇーだけだ!【拳術(けんじゅつ)】"インパクトノヴァ"!!!」


周りの建物が破壊されることなどお構い無しに大技を放たれる。

ただで喰らったらどんな人間でも一撃で死ぬのは言うまでもない。


余りの衝撃で舞い散る砂埃。

ダクマズの視界から俺が消える。

この悲惨な状況から誰もが早すぎる決着を想像した。


「クククッ!おもしれぇーじゃねーか!」

「まだまだ俺は死なねーぞ?」


砂埃の奥にはまだ地面に足付いて立っている俺の姿があった。

スキル【七転八倒】、本来は精神面が打たれ強くなるスキルだが、文面には打たれ強くなるとしか書いていない。

だから、物理的にも打たれ強くなる可能性に賭けた。


危ない賭けだって言いたいのかも知れないが、それくらいの賭けに勝てないと俺に勝機は残されていない。


「クククッ!カハハハーーッ!」

「壊れたのか?いや、元からヤバい奴だったけど」

「あの一撃は手加減してなかった。それなのにFランクのお前が受け止めやがった。コイツはおもしれー!面白すぎるぞ!」


こいつどれだけ戦いが好きなんだよ。

そんな事より油断するな。

相手は隙を見せる余裕があるけど、俺は違う。

次に何が起こるか常に思考を巡らせろ。


「お前、名前はなんだ?」

「名前?・・・士郎(しろう)だけど」


一瞬だけ名乗るか迷ったけど、名前くらいは良いだろうと思い名乗った。


「シローか、覚えたぞ。俺は"極死楽(ごくしらく)"頭首、ダクマズだ」

「なんでいきなり自己紹介すんだよ」

「俺はよ、好きなもんは最後まで取っておくタイプなんだよ。最初から食べちまったら勿体ねーだろ?お前もまだまだ楽しめる気がするから、今日は殺さないでおくことにした。待てば待つほど、俺をもっともっと楽しませてくれそうだ。」

「まっ、待ってください!それだと俺の・・・」


ダクマズは黙って振り返り、言葉を発した男の下へと歩いて行く。


「神は3度まで許してくれると言うが、残念ながら俺は2回までだ。次、俺の前で喋ってみろ。殺すぞ」


台風の様にこの場を荒らして行ったダクマズは、本当に俺を見逃して帰って行った。


その直後、全身から力が抜けて行くのを感じる。

極限まで力を入れていた分、必要な力まで抜けて行く。


「あぁー、やべーはこれ」


誰もいなくなった荒れた場所でゆっくりと抗えずに意識を手放した。

この時の敗北は俺の記憶に深く刻まれる事だろう。

悔しさと恐怖と向上心と闘志。

良い経験だ。


───


朝の日差しと鳥の(さえず)り。

そして、何故かフカフカなベッドが俺をいつも通り目覚めさせる。


どうして、俺は王城にいるんだ?

確か、昨日はダクマズとの戦いに敗れて意識を失って地面に倒れたところまで記憶がある。


その後はどうなったんだ。

ここで目が覚めたという事は誰かが絶対に運んでいるはず。

でも、誰がここまで?

ここまで運べたという事は王城の関係者か、それともクラスメイトか。

どちらにせよ、ここまで運んでくれたお礼はしたい。


「おはよう、士郎。そんな所でアホみたいな顔してどうしたんだ?みんな朝食食べてるぞ」

「アホは余計だろ。あのさ、蓮也(れんや)・・・」

「ん?なんだ?」

「いや、なんでもない」


恐らく俺を運んだのは蓮也ではない。

もしも、蓮也なら起きた瞬間にもっと深刻そうな顔をする。

普段はこんなやり取りばかりしているけど、分別のある男だ。


分からない事をこれ以上考えても仕方が無いので、とりあえず食堂へと移動する。

朝ご飯を食べて元気を取り戻さないと、今日の訓練について行けなくなるだろうからな。


「そういえば、蓮也は昨日何してたんだ?」

「昨日?昨日は騎士団長直々に稽古を付けて貰ってたけど?」

「休みの日まで訓練とかストイックだな。普通は楽して強くなる方法を探すと思うけど」

「楽して強くなんかなれないだろ。それにあったとしても俺は見つけられないし。だから、地道に努力するのが俺のベストなんだよ」


コイツに弱点がないのか?

直向きな姿勢まで兼ね備えてる。

神様が蓮也を作る時に自分の理想全部詰め込んだみたいな仕上がりになってるだろ。


「どうしたんだよ、ずっと見つめて来て。変なもんでも食ったか?」


あったは悪い所。

なんでか俺には当たりが厳しい。

それも気を許してる証拠だから良いけど、偶には周りと同じ様に接してくれよ。

・・・、いや、想像したけど、それはそれで気まずい。

蓮也は蓮也のままで良いか。

そう思いながら朝ご飯を食べ始めた。

ご覧いただきありがとうございました。

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