077話 落雷
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倒れ掛けたレインズを見て、完全に勝ちを確信していた。
ここからはどうやっても俺の負けはないと。
だが、神というのは悪戯にこの世界へ介入する。
まだ俺とレインズの勝負が観たいのだと、駄々を捏ねて負け掛けているレインズに味方するのだ。
いつの間にか小雨に変わっていた天気は、激しい降り注ぐ雨へと変化する。
眩しい光と共に稲妻がレインズへ直撃。
数秒後、勝ちを確信していた俺を嘲笑う様に天がゴロゴロと音を鳴らした。
「コイツはかなり痺れんな」
ビリビリと激しく弾ける雷を全身に身に纏い、普段からツンツンな髪をもっと逆撫でて、やられかけていたはずの身体を起こすレインズ。
少し戸惑った顔から察するに、本人も何が起こっているのか理解していないのだろう。
もしも、これを運という言葉で片付ける者がいるのだとしたら、目の前でぶん殴ってやろう。
そして、いきなり殴るという行為より酷い理不尽だったのだと訴えてやる。
「どうなってんだよ、これはよ。俺は負けたんじゃーねのかよ。天の情けってやつか?俺を惨めだって馬鹿にしてんのか?だから、この力を授けるってか?なんだよ、ふざけんなよッ!そうやって、俺のこと嘲笑ってんのかよ」
「耐えておきながら文句って、相当我儘だな。過程はどうあれ今、地に足付けて立っているという事実だけが残ってんだよ。だったら、最後まで戦うしかねーだろ」
苛立ちが募る様子を見て、贅沢だと思った。
本来であればあるほどの瞬間に俺の勝ちは決まっていたんだ。
復活した事さえ腹立たしいのに、文句まで言うとなれば余計に憤りを感じる。
そんなに嫌ならもう一度ここで負けさせてやれば良い。
「【剣術】"抜刀・韋駄天"」
こんなにも理不尽な展開だというのに、反比例して俺の調子は良い。
素早く、そして鋭く。
頭に思い描いた抽象的なビジョンが、嘘の様に体現していく。
今までにない最高到達点から繰り広げる何もかもを斬り裂く一閃。
「【雷魔法】”落雷”」
あれだけ文句を言ってもやはりレインズの身体は動いていた。
勝ちへの欲望が全身に刻まれているのだろう。
それで良い。それで良いんだ。
使える物は全部使って、恥や外聞は全部捨て、ただ勝ちへ固執する。
人間ってのはそういう生き物だ。
雷を纏った右脚は落雷という名前に相応しい破壊力と速度で振り落とされた。
「「ウオオオォォーーーーッッ!!!」」
今、ぶつかり合うのは2人の全身全霊の力とどうやたって捨てることが出来ないプライド。
敗けた者はその全てを否定され、勝った者だけが強さの証明を果たした余韻に浸れる。
この結末に曖昧な線引きはいらない。
引き分けは敗けと同意義だ。
勝って次に進まなければいけない。
拮抗した競り合いの末、両者よろめく。
互いにピンチでありながら、互いにチャンスでもあるこの状況。
どちらが先に動き始めるかで運命は大きく変わる。
そんな事を頭で考えるよりも先に身体を動かす。
0.1秒でもレインズより速く動かなければ。
「俺の勝ちだァーッ!」
先に動いたのはレインズ。
体に纏った電気を靡かせて近付いてくる。
一歩遅れて反応するが、この状況では間に合うかどうか。
・・・間に合わせる。
今の俺にそれ以外の選択肢はないだろ。
これ以上迷うな。
その遅れが敗北に繋がる。
意識の極限化、あれは生命活動の維持をやめてしまわないギリギリの集中で抑えているものだ。
だったら、その制御をやめる。
限界まで意識を集中させてこの状況を打破する。
もって30秒。
それまでに終わらせなければ、呼吸もやめ、全ての臓器も活動をやめ、最終的に心臓が止まる。
危険は承知の上でこの勝負には勝たなければならない。
そんな気がする。
「これは一体・・・」
俺は思わず声を漏らした。
目の前の光景はあまりにも信じ難い。
俺以外の全てが止まっている様に見える。
正確に言えば僅かに動いているみたいだが、それでもこの光景は異様だ。
「ボーッとしてんじゃねーッ!」
止まった世界に驚いていると気付けばまた時は動き出していた。
傘で殴られた衝撃でフィールドの端まで吹き飛び、壁が粉々になる勢いでぶつかる。
殴られた箇所も壁に衝突した背中も、泣きたくなるほどの痛みが。
でも、それだけ。ただ、それだけだ。
こんな痛みで絶望することはない。
今までだって散々受けてきた。
こんなことで立ち止まる理由になんかならないだろ。
「まだまだ楽しもうぜ、雨男」
「・・・どうしてまだ立ち上がる。そこまでして勝ちたい理由はなんだ。俺には、俺には負けられない理由があるんだよ。それなのにどうして俺の邪魔をする」
「そっちの理由なんて知るかよ。俺は負けないと誓った、もう2度と。それ以外に理由なんかない」
「たったそれだけの理由で。そうか、なら。・・・ジジイ、悪いがこれを使う事を許してくれ」
───
『良いかレインズ、このスキルはここぞって時にしか使うんじゃねーぞ』
『なんだよジジイ、そんなケチ臭いこと言って』
『師匠って呼べって言ってるだろうが!まぁ、良い。今から教えるスキルを使えば戦況を大きく変える強力な技を放てる。・・・だけど、代わりに自身の身体にも大きなダメージがある。1回使えば、動ける様になるまで1週間は掛かるだろうな』
『ゲェー。なんで、そんなアブネーもん教えんだよ、クソジジイ。いくら強くてもそんな危険なら誰も使わねーよ』
『レインズ、お前も生きていれば分かるだろうよ。人生にはな、負けちゃならないって心から思わせる勝負ってもんがあるんだ』
───
(幼い時には分からなかったけど、今ならハッキリと分かる。その瞬間ってのは今だッ!)
「【継承術】”刹那”」
魔力を全身から大量に放出しているレインズ。
ここで最後の勝負に出たの理解した。
先程の身体の痛みと意識の極限化の反動でボロボロだ。
あの瞬間に仕留め切れなかったのが、こんなにも響くとは。
そんな後悔をしながらまた何度目から仕切り直しが始まった。
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