072話 蹴落とし合う控室
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エアトラルに修行をつけてもらった翌朝。
闘技場へと向かっていた。
それぞれの顔付きはたった1日で変わっている。
他のみんながどんな訓練の内容だったのかは何となく把握しているが、深掘りすることは無かった。
そろそろ目的地へと到着するはずだ。
各々が戦いを通して語ってくれるのを期待しよう。
「こんにちは、まだ試合に参加出来ますか?」
前回とは異なる受付のスタッフに声を掛ける。
今回は参加出来なかったこの間とは違って早めに行動しているので、間違っても参加出来ないなんてことはないだろう。
「はい、可能ですよ。皆さん参加でよろしかったですか?」
「6人全員です」
奴隷をカウントしない可能性も考慮して、曖昧な提示をこちらから正す。
「はい、6人ですね」
「普通に通るんですね」
「あぁ、もしかして奴隷の参加についてですか?この間の件でリキテッド様が奴隷にも平等に権利をと仰いましたので」
仕事の早い男だ。
奴隷に関しても偏った目で見ていないのも評価出来る。
この世界には腐った者ばかりだと思っていたが、世の中捨てた物じゃないな。
「では、参加者の皆様はそれぞれのブロックの待機室へと移動してもらいますので、係の案内に従ってください」
ここからはバラバラに移動する事になった俺達は、
最後に全員の健闘を祈り散り散りになる。
そして案内の下、何もない無機質な廊下をただただ歩かさること3分。
誰ともすれ違うことなく大部屋へと到着した。
「ここがAブロック出場者の控室となっております。開始まで残り30分となっておりますので、それまではこの控室でお待ちください。・・・それとこの部屋に入った後は開始時刻になるまでに退室した場合は失格扱いになるのでご了承ください」
「なんでそんな事を付け加える必要が?30分くらい大人しく待っていられますけど」
注意事項だけ話してそれ以降何も返さなくなったスタッフの女性。
笑顔を振り撒くでも、苛立ちを見せるでもなく、事務的に控室の扉を開けた。
溢れ出る熱気と怒号。
そうして俺は全てを察した。
この控室の中は無法地帯なのだと。
既に決闘は始まっているのだと。
削れる者は始まる前から削ってしまおうという浅ましくも効率的な話だった。
「流石にこれはちょっと・・・」
「ごゆっくり」
無理矢理背中を押されて入室。
その場にいる全員が新たな犠牲者に目を光らせる。
入室して間もない奴は状況が何も把握出来ていないはずだという心理が働いているのだろう。
でも、その考えは甘い。
「死ねぇーーー!!!」
まずは1人。
双剣の刃を向けながら走ってくる。
この際、人に躊躇いもなく刃を向けられることには驚きはしないが、そんなことをするくらいなら相手との力量は見極められるべきだ。
俺とコイツでは天と地ほどの差がある。
息を短時間で整えて、集中力を高める。
この1秒にも満たない時間での集中は、意識の極限化を習得する際の副産物として得られたものだ。
これが出来るのと出来ないのとでは生死を大きく分ける。
今この瞬間が良い例だ。
手首を狙ったハイキック。
こちらの反撃は予測してなかったらしく、為す術もなく武器を手から溢れ落とし、痛みで悶絶の表情を浮かべている。
武器を持たないコイツは果たして脅威と成り得るか。
成り得なかったとしてもここで放置しているメリットはない。
ならば、この段階で始末しておく方が身の為なのではないだろうか。
「まぁ、死ぬ訳でもないし、ここは1つ」
死体蹴りをするみたいで好ましくないが、腹部に目掛けて膝蹴りを。
そのまま気絶した参加者を扉を開けて外へと投げ飛ばした。
「で?次の奴は?俺はここで全員倒すのも吝かではないけど?」
軽い挑発。
この挑発に1人でも多く乗ってくれたら話が早い。
それだけで戦う手間が省ける。
大量の参加者に向けて挑発をしたら、一斉にヘイトが俺へと向く可能性がある。
だけど、そんなことは大した問題ではない。
調子に乗っているとか、誇張表現ではなく客観的に見て相手になりそうなのは3人だけだ。
ただ、その3人の中に1人だけ知った顔があるのが問題である。
傘を大事そうに抱えて、控室の端で胡坐をかくレインズ。
半径1メートルには誰も近寄る様子を見せない。
近寄れば問答無用で退場を意味している。
誰が好き好んでそんな化け物に近づくのだろうか。
「横、失礼」
敢えて横に座ると嫌そうな顔をするレインズ。
反応を見るに、この間同じ酒場にいたことなんて気付いていないようだ。
「なんだテメェー。俺の横にわざわざ座るとは死に来たのか?」
「そう言う割にはその武器抱えてるだけに見えるけど?」
「テメェーなんかはこれ使わなくても倒せるっての」
「それは流石にないな。アンタが強いのは認めるが流石に武器無しじゃ勝てないだろ」
「あぁ?やってやろうか?今すぐその口黙らせてやるよ!」
挑発するつもりはなかった。
レインズの横にいれば誰も近寄らないから利用としただけ。
だけど、口の悪さに思わず対抗したくなってしまった。
黙っていれば良かったけど、流石に武器無しでも勝てるは言い過ぎだ。
不可能、無理、あり得ない。
そんな気持ちになってしまい、つい言葉に出してしまった。
相手は無敗の王者、プライドは高い。
俺の言葉に反応して苛立ちが増すのは、少し考えれば分かったはずなのに。
「やれー!!!」
「レインズなんか潰しちまえ!!!」
全員が争いの手を止め、俺とレインズの喧嘩に注目する。
レインズはあまりにも強過ぎるが故にアウェーな状況らしいけど。
「外野がいちいちうるせーな。開始まで残り30分足らず。生き残りてぇーなら黙っておいた方が身の為だぜ?」
「で?どうする?結局は本戦で戦うことになるんだ。後になるか、先になるかって話だろ?」
「外野のせいでもうどうでも良くなった。好きにしろ」
「んじゃ、横失礼」
怒りのボルテージが外野によって分散されたらしく、ここでの戦闘というのは免れた。
レインズが退場する可能性が消えた外野達はまた黙々と敵を減らし始める。
そんな地獄絵図を横目にひたすら時間が過ぎるのを待った。
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