062話 涙の溢れる音がした
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清々しい目覚めだ。
全ての疲れが全部取れた様な。
俺は気付けば宿屋のベッドで1人眠っていた。
ギムレットが運ぼうとしていた所までは記憶にある。
後で感謝しておかないとな。
「「ご主人様、早く目が覚め・・・」」
部屋の扉が開いて、リルとラルが入って来た。
どうやら俺の安否を心配してくれているらしい。
2人にも悪い事をしたのできちんと謝っておかないと。
「すま・・・っ!って、うおっ!どうしたんだよ、そんな勢いで抱きついて」
すごい勢いで走って来た2人は、ベッドから起き上がる隙すらも与えずに抱き付いて来た。
何事かと思い戸惑ったが、リルとラルの表情を見れば分かる。
滴る涙が俺の服を濡らす。
一度、泣き始めると止まらなくなった。
2人は年相応の子供の様に泣く。
今まで泣きじゃくる様子など見た事なかったリルとラルが。
謝罪の気持ちも込めて2人を抱き返す。
そして、気の済むまで背中を摩る。
そうしている間に仲間の3人も合流する。
少し気まずい空気が流れる。
魔族との戦いで彼女達を安全な所へ逃した。
その選択肢は間違っていなかったと自負しているが、同時に戦力外であると言っているのと同義だ。
言いたい事があるのは当然だろう。
「やっと起きたのね」
口火を切るのは、やはりミラか。
「やっとって大袈裟だな。1日寝てたくらいで」
「・・・3日よ。貴方が倒れてもう3日目」
3日も・・・?
俄には信じがたい話だ。
だって、さっきまで女神と話をしていて、その後に直ぐ目を覚ました。
時間にしたら1時間にも満たない時間だ。
あの世界と時間の進行速度が違ったとしても3日は余りに時間が経過し過ぎている。
「悪かったな。もっと早く起きれたら心配も掛けなかったのに」
「私達はお荷物?」
白司録は見せたことのない悲しそうな顔でこちらを見ていた。
その表情を直視するのは心が痛む。
勿論、俺がいけないと分かっているがどうしても目を背けてしまう。
「お荷物?そんなことないって。いつも俺助けられてばかりだし、みんながいなければとっくに死んでいるよ」
「そう、死にかけた。今回はそれくらい危険な戦いだった。・・・分かってる。だから、私は悔しい」
「・・・あぁするしかなかった。あの場で全員死ぬよりは」
パシンッ!!!
頬に走る痛み。
1回だけ痛烈なビンタをベリーから貰った。
でも、今は頬の痛みなど然程気にならない。
それよりも普段は優しいベリーにこんな事をさせてしまったという罪悪感で心が痛む。
「ベリーはそんな事頼んでないよッ!」
彼女もまた泣いていた。
「死ぬかも知れないなら1人で行かないでよ・・・。ベリー、弱くて迷惑も掛けるし、我儘だって沢山言うけど、それでも、・・・それでも最後まで一緒に戦いたいよ!シローがベリー達を大切に思ってくれているのと同じくらい、ベリー達もシローのことが大切なの!なんで分からないの!バカ!バカバカバカーーーーッ!」
「そこまでにしてあげてベリー」
強い力で何度も俺を叩くベリーをミラが止める。
「言いたい事は全てベリーが言ってくれた。アタシ達の気持ちはもう十分伝わったと思う。だから、説教はここまで。ほら、起きれる?ご飯食べに行こう」
ミラが優しく語り掛ける。
沈み過ぎた空気を取り戻すために、いつも以上に繊細になって。
みんなもミラの言葉の意味を理解して、あの戦いのことはここまでにしようとしてくれる。
でも、このままではダメだ。
気を遣って貰って、みんなを傷付けてまま明日からまた笑い合って隣を歩こうなんて余りに都合が良すぎる。
俺は変わる。
自分の弱さを受け入れ、新たな強さを知る為に。
「みんなごめんッ!今から頼りないことを言うけど許して欲しい。・・・俺、弱いから今後もみんなに頼るかも知れないし、カッコ悪いところも沢山見せるかも知れない。だけど、もう1人で背負い込んだりしない!だから、みんなで少しずつ強くなろう!」
「当たり前じゃん!」
ベリーが笑った。
続いて、リルとラルが。
ミラと白司録も微笑む。
今回はこれで済ませてくれるらしい。
情けないが有難い。
きっと今後も挫折を味わい後悔して、辛い思いをすることもあるだろう。
そしてまた今日の様に強くなる。
そう思うと失敗するのも悪くないと思えた。
───
今日は一段と静かな夜だ。
虫の鳴き声すら聞こえない静かな夜。
俺は夜風に当たりながら綺麗に輝く満月を見ていた。
「寝ないの?シロー」
ソファーに座っていた俺の隣にミラも座る。
「3日も寝ていたんだから、そんなに眠くはないんだよ。ミラこそ寝なくて良いのか?」
「良いの。ちょっとだけシローと話をしたかったから」
どんな話だろうと思い、ミラの方を向くが彼女は顔を合わせようとはしなかった。
ただ、月を眺めながら言葉を綴る。
「話ってなんだよ。心当たりがあり過ぎて、逆に分からないって」
「・・・アタシ、あの戦いの時自分が死ぬと思った。魔族には勝てないのかもって。いつもはみんなアタシを頼ってくれるけど、期待されるような人間じゃないから。怖かった。まだ色々やりたいことがあるのにここで死ぬのかと思うと」
いつもは聞けないミラの弱音。
戸惑いこそしたが、この言葉も彼女の思いなのだと耳を傾ける。
「だから、シローが率先して自分の身を犠牲にしてでもアタシ達を逃がそうとしてくれた時、嘘でも残るって言えなかった」
「それで良いんだよ。俺はミラに生きていて欲しくてあの選択を選んだ。あの場に正解なんてない」
「でもね、アタシ達が先に無事を確保して、ボロボロになったシローが帰ってきた時、胸が苦しかった。張り裂けそうで、一緒に戦えば良かったって何度も後悔した。1日経っても、2日経ってもシローの目が覚めなかった時、このまま目が覚めなかったどうしようって」
彼女に反省するところなどない。
悪いのは全部俺だ。
だけど、それは慰めにはならない。
彼女は彼女なりに前を向こうとしていると信じて言葉を飲み込んだ。
「ねぇ、シロー」
「どうした?」
「・・・この先もずっと貴方の隣で戦わせてね」
静かにミラの頬を伝う涙。
一度もこちらに顔は向けなかったけれど、彼女の思いは伝わる。
月よりも綺麗に泣く彼女の横顔がはっきりと記憶に残る夜。
2人肩を並べて空を眺めた。
["ミラ・マリストック"の交友度が60、親愛度が20を達成しました]
[異性と心を通わせた夜を確認。500ptを付与します]
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