060話 魔族の呪い
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イメージは形となり、形となったものが攻撃となる。
だから、強く念じるのは理屈として正解だ。
実際に俺の魔法もより強固で素早い攻撃へと変化している。
問題があるとするなら、相手が強すぎる事だ。
「テメェーも邪魔なんだよ!あの人攫いの時だってそうだ!どいつもこいつも俺の金を奪っていきやがる!ふざけるんじゃねぇッ!!!俺は奪われる側から奪う側になったんだ!!!【金貨交換】"レイズアップ"!」
身体能力が人の領域を超えて向上。
地面に拳を叩きつけると瓦割りの様に真っ二つに割れる。
揺れた地面で必死にバランスを整えながら追撃に注意を払う。
「そんなのでビビると思ってんの?浅はか、本当に浅はか。・・・早く終わらせてあげる。【魔族秘術】"ハイブラッドエンチャント"」
自ら指を噛み、血を出すギャウル。
血はあの時と同じ様に全身へと伝わり肉体を強化した。
遂にぶつかる両者。
結局、どれだけ俺が攻撃を仕掛けても見向きもされはしなかった。
ここから2人を止める術はあるのか。
ポイントも殆ど吐き出した俺にそんな術が。
頭に浮かんでいたはずのビジョンに霧が掛かり淀む。
淀みは迷いを生み、迷いは敗北を呼ぶ。
戦場に一瞬たりとも迷いを許容される時間はない。
だから、俺は剣を持つ。
例え敗北しか見えなくても勝ちたいと願う者にだけ勝機は訪れるのだから。
「互いの正義を主張するのに他人を巻き込むなよ。どちらが正しいなんてのは存在しないのに。それでも自分の正義を主張したいというなら、俺が全力でそれを止めてやるッ!【光魔法】"ライトニングバースト"!」
直視するには眩しすぎる光がゆっくりと集められていく。
そして、1つの大きな塊となった時、爆音を周囲に轟かせながら一直線に放たれた。
狙いはマルクポンド。
ギャウルを狙うよりは彼の方が被弾する確率が高いであろうという判断。
それでも微々たる差だろうけど。
「おもしれぇー!!!1人でも、2人でも掛かって来い!俺がぶっ壊してやる!」
真正面から馬鹿正直に受けるマルクポンド。
しかし、ダメージを受けている様子はない。
固有スキルの力で無効化していると思った方が無難か。
続けて、息を殺していたギャウルの追撃がマルクポンドを襲う。
何の芸も無い鋭利な爪での近距離。
普通ならマルクポンドが負ける要素はどこにもないが、完全に防戦一方な所を見るとギャウルの強さが伺える。
始まってしまった2人の争い。
最早どうすることも。
「我々、"精霊の使徒"が来たッ!!!人の命を軽んじて、平気で暴虐の限りを尽くす者共よ!この場ではこれ以上好き勝手させない!それでもまだ暴れたいと言うならば、我々が相手して差し上げよう!」
後ろには10人の冒険者がそれぞれポーズを決めて立っていた。
ギムレットも癖がある冒険者だが、リーダーがそれなら仲間も癖があるのは当然か。
でも、助かるのは事実。
1人では止めるのは骨が折れる。
ギムレットのパーティならそれなりに実力のある者ばかりだろう。
少しでも足止めになれば、隙を見て俺が奇襲を仕掛けられる。
真正面からの攻撃は受け止められても奇襲は流石に致命傷となるはずだ。
「さっさと殺さないと行けなくなったじゃんか、もぉー!本当はこの姿可愛くないから見せたくないのに。しょうがないか、・・・【原点帰り】」
ギャウルの姿はより魔物に近く、人間の様な見た目はどこにもなくなる。
黒い鱗に覆われた肌、爬虫類の様に鋭い目、手足は完全に無くなり大蛇の様に長い胴体。
その姿になったギャウルは全員の攻撃をひらりひらりと避けながら、マルクポンドに近付き首元へと噛み付く。
「何を、したんだ・・・テメェー」
じわじわと皮膚が石化していくのが分かる。
攻撃された箇所から徐々に石化していく力を持っているのだとするとマルクポンドの敗北がこの瞬間に決まったという訳だ。
まだ見せていなかった本気を見せてからほんの僅かに決まった決着。
「一生解けない石化の呪い。"魔族始祖十戒"が扱える呪いの中でも上位の呪いよ」
魔族始祖十戒という始めて聞く単語。
恐らくギャウルの様に強い魔族が後9人もいるのだろう。
魔王討伐するに当たって避けられない壁が余りにも高すぎる。
たださえ強い戦闘力に加えて、呪いという武器も注意が必要だ。
石化していくマルクポンド。
異形の魔族。
そして、それに恐怖を感じる冒険者。
荒れに荒れた戦場の中で誰も動かない異質な時間が流れる。
動けば殺されてしまう可能性が高い。
天に祈って事が過ぎ去るのは待つしか選択肢はなかった。
睨み合いを続けて60秒。
突如、元の姿に戻るギャウル。
「さてと、この街はもうアタシが貰って良いよね?」
「魔族が人間族の街を奪うだと?」
唯一、冷静なギムレットが問い返す。
「それが何か問題ある?」
「種族間の領地の奪い合いは、国を巻き込んだ争いに発展するぞ。種族間での戦争がどれ程の事を意味するか、分からないとは言わせないぞ」
「じゃあ、人間族がまた統治するの?たださえ、こんなに失敗した内政をしているのに?それとも、アタシが魔族だから不安?魔族に偏見があるのは良くないよね。アタシからしたら人間族の方が強欲で罪深いのに」
「何を言っても暖簾に腕押しと言う訳か。力尽くでも止めたい所だが、簡単に勝てる相手ではないだろうな」
ギムレットの言う通りだった。
結局はどう足掻いてもギャウルと戦う以外で止める方法はない。
つまりは止めるのは不可能という事だ。
街の冒険者をありったけ集めた所でどうにもならない。
「じゃあ、アタシやる事あるから」
勝手に帰ろうとするギャウル。
本来であるならそれを止めるべきだったが、俺達は見送ることしか出来なかった。
守られた泥喰らいの居住地と守れなかった街の統治権利。
俺のした事は本当に正しかったのか。
もっと出来る事はなかったのか。
この終局した戦場を見ながらそう思わざるを得なかった。
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