058話 裏で糸を引く者
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飛び散るサイアの血。
体には痛々しい傷が付けられた。
そして何より、サイアは進化した俺に絶望を感じてしまった様だ。
自信を無くしたサイアは羽を失った鳥と同義。
逃げる事すら出来ず、ただ自分の敗北するのは大人しく待つ。
ただ不安もある。
先程まであんなに自信満々だったサイアがいきなりここまで絶望するだろうか。
どこまでも際限なく自信を持っていた奴がだ。
まだ何かを隠していてこちらを油断させるために演技をしているとしか思えない。
「もう終わりか?あんなに息巻いていたのに」
「ふっ、俺もバカじゃないんだ。見えたんだこの戦いの行先が」
「そうか。その言葉を丸々信用はしないが、戦意がないのは確かだな」
「さっさと殺せ。それでお前の勝だ。そして、俺もこの苦しみから解放される」
潔い奴だ。
最後は自ら死を選ぶ。
だけど、簡単には終わらせない。
コイツには聞きたいことが山程ある。
「質問しても良いか?誰に頼まれて何の為にこんなことをしている」
「ふっ、愚問だな。俺が答えるとでも思ったか?敵に簡単に情報を渡す奴がいるかよ、ボケが」
言葉の節々に暴言を混ぜてくる。
どれだけ心が折れても性格までは変えられない様だ。
口は悪いながらも情報は渡さないつもりらしい。
情報が出ないとなるとこれ以上会話をする必要性も必然的に無くなる。
さっさとサイアを倒して、後ろから迫り来る大群を対処しなければ。
「お前のおかげで俺は一段階強くなれた。そこにだけは感謝する」
慈悲のない一撃。
何も返事をしないまま、ゆっくりと地面に倒れ込むサイア。
決着は意外にも静かに付いた。
俺の勝負の決着が付くと同時にギムレットの方も無事に倒し切れた様だ。
多少は苦戦したらしく息は絶え絶えになりながら戻って来た。
ギムレットには悪いが休憩している暇はない。
あの数の魔族を捌くなら1人でもこちら側が掛かると辛くなる。
「休んでいる暇ないぞ。あれ見たら分かるだろうけど」
「はぁ・・・はぁ・・・。分かって、る。だから呼吸を・・・整えているのだろ」
「来るぞ」
魔族の大群は2人の魔族が倒れ込んでいるのに気付いた。
それでも歩みを止めない。
寧ろ、先程のダラダラとした歩きと違い、空いた席を奪い合う様に我先にと俺達の方へと走り出して来た。
サイアとインレートの実力者がいなくなった今、空いた席を奪うのは簡単だ。
そして、その席の価値は高い。
加えて、こちらは前衛が全員手負いだ。
前衛が崩されたら芋づる方式で後衛も崩れる。
折角、後少しという所だったのに諦めるしかないのか。
「俺が時間を稼ぐ。ギムレット、お前はみんなを逃がしてくれ」
「君は何を言っている!あの量を相手するのは不可能だ。自ら死に行く様なものだ!」
「じゃあ、どうする。みんなで仲良くここでやられるか?それは賢い選択とは言えないだろ。俺なら大丈夫だって。だから、みんなを逃がしてギルドに救援を頼んでくれ」
「くっ・・・。馬鹿な奴だ、君は。確かに君1人でもそれなりに時間は稼げる。だけど、ギルドから人を呼ぶにはそれでも時間が足りないぞ」
「なら、尚更さっさと行け!」
しばらく無言で考えるギムレット。
ギムレットの言い分も正しいが、俺の言い分も正しい。
今回は準備不足だったとしか言い様がない。
もっと俺達に戦闘経験があれば、後衛と上手く連携を取りながらでも戦えた。
だけど、今の俺にそんな余裕は。
寧ろ、1人で暴れる方が実力は発揮出来る。
「【精霊術】"火蜥蜴"。僕の大事な相棒をここに置いて行く。だから、死んでくれるなよ」
「そんな大事なの置いて行くなよ。死ねなくなるじゃねーか」
「当たり前だ」
ギムレットは後ろを振り向くと、こちらへ見る事無くみんなの下へと向かった。
泣き叫ぶリルとラルの声が聞こえる。
パーティーのみんなも納得なんて出来ていないようだ。
最後の最後までギムレットに反抗していた様だが、最終的にはギルドの方へと向かってくれた。
「死ぬなって言われても、これだけの相手がいるなら大変だよな」
「ギギィー」
火蜥蜴も鳴き声をあげて同調してくれる。
弱音を吐けば止まらない。
だけど、俺は一度泥喰らいを守ると決めたんだ。
今更、やっぱり無理でしたと言って止める訳にはいかない。
この心臓が動く限り、俺は全身全霊で戦う。
「1人だけなら余裕だぜ!」
調子に乗った魔族が1人、大群から飛び出して来る。
どうやら俺は相当舐められている様だ。
一斉に来るならまだしも1人1人で襲い掛かって来て、負けるはずがない。
そのまま冷静に白転黒爆で攻撃を往なして、反撃で斬り裂く。
まずは1人目。
後これを何万回か繰り返すだけ。
・・・やるしかないよな。
「これはどういう事ですか。誰か説明出来る方は?何故、サイアさんとインレートさんが倒れているのですか」
姿を現したのはマルクポンドではなく、クルシームだった。
サイアとインレートの名前を知っているという事は少なからず関わりを持っていたということだろう。
まぁ、クルシームも共犯だと言われても驚きはしない。
彼女もまた差別主義だったというだけの話だ。
チラリと俺を見て何かを納得するクルシーム。
一度大きな溜め息を吐く。
「どうやら、面倒な人が敵だった様ですね。貴方と最初に会った時からマークはしていたはずなのですが」
彼女の言葉に耳を傾けて居られるほどの余裕はない。
目の前の魔族を確実に減らしていくので精一杯だ。
「人間族という最も神から遠い存在でありながら、神からの寵愛を存分に受ける者。しかし、彼が成長の途中であるならば私達に勝てる可能性はある。・・・魔族の方々に告ぐッ!!!彼を倒してた者に10億ゴールドを差し上げます!これは私からのお気持ちですので、頑張ってくださいよ」
金と聞くとまたしてもやる気を上げてくる魔族達。
ただでさえ、やる気は限界まで上がっていたのに上限突破してしまった。
金に物言わせて自分は安全圏から見学とは中々良い趣味してやがる。
絶対にそこから引き摺り下ろしてやると心に誓った。
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