055話 救世主、現る
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!
今はランニングをしている場合ではないので中断する。
急足で宿に戻って、まだ眠気の取れていないみんなに、マルクポンドと遭遇したことについて話す。
マルクポンド自身が偵察に入ったなら、事が動き出すのもそう遠くない未来の話。
こちらもいつでも動ける様にしておかなければ。
カーンカーンカーン
気を引き締めようとした途端、外で聞こえた警報音。
あまりにも物騒で不安を掻き立てる。
先程、マルクポンドとすれ違ったばかりなのに、もう仕掛けてくるのか。
まだこちらは対策も何もない状態だというのに。
ひとまず武器だけ持った事を確認して慌てて外へと飛び出した。
外に出ると今までは多くなかった人が所狭しと街道を占拠している。
宿に戻ってくる前は人なんて1人もいなかったはずなのに。
やはり、全員噂の事は耳にしていて、その噂の結末が気になっていたのかも知れない。
「始まったみたいだな!」
「泥喰らいは目障りだったからなー。楽しみだぜ」
「派手に死ぬのかなー」
今から人が死ぬかも知れないというのに人々は嬉々として見物しようとしている。
金に目が眩み、人の心を失った化け物。
今の俺にはそういう風にしか映らなかった。
こんな奴らの事を考えている暇はない。
急いで居住地区へと向かわなければ。
「人が多すぎて前に進めねぇー」
「この人集りが邪魔過ぎるよ」
「なら、良い方法が」
ミラが建物の上を指した。
パルクールの要領で屋根から屋根を伝って移動するつもりか。
今は悩んでいる暇もないのでその選択肢を作用することに。
路地裏にあった梯子から軽快に上へ。
そして、屋根の上に立つとある程度の高さがある。
昔の俺ならこの高さでも怖さで足がすくんでいたかも知れないが、不思議と怖さは感じない。
それどころか状況とは裏腹に吹く爽やかな風に心地良いという気持ちすらある。
「何黄昏てるの!さっさと行くよ!」
ミラが先陣を切って屋根の間を飛び越えた。
それに合わせて、ベリー、リル、ラルと続いて飛び越える。
俺も後を続いて飛び越えようとすると、袖を掴まれた。
「・・・高いのはこ、怖いかも」
白司録が震えながら下を見ていた。
どうやら高い所は得意ではないらしい。
とは言え、今から下に降りて人混みの中を移動するのも難しいだろう。
なら、ここは俺が助けてあげるしかない。
「しっかり掴まれよ!」
「きゃっ!」
白司録をお姫様抱っこで抱え上げる。
小さい体から想像出来る様に体重は全く重くない。
これなら、抱え上げながらでも屋根を飛び越えるのは簡単そうだ。
「行くぞ!目瞑っておけよ!」
助走を付けて一気に飛ぶ。
浮遊する感覚が少し楽しい。
そのまま下すことなく次から次へと屋根を飛び越える。
その間、やはり高い所が怖い白司録は、偶に目を開けてはその高さに恐怖して震えながら強くしがみつくのだった。
「到着よ。ここが居住地区ね」
白司録を下ろしてから、屋根から下りる。
そこに広がっていたのは居住地というには難しい、余りにも悲惨な光景だった。
そこら中に落ちたゴミ。
人が住んでいるとは思えないツギハギだらけの布の家。
何かが腐った様な悪臭が漂う。
彼等はこの家で暮らさないといけない程、追い詰められていたのか。
可哀想なんて言葉で片付けるのは失礼かも知れない。
だけど、そう思わざるを得ない。
「やめてくれ!ワシ等の住処が・・・!」
悲痛の叫びを上げる泥喰らいの姿が見えた。
その先にはフードを深く被った人物の姿も。
服の後ろからは魔族特有の尻尾が生えている。
つまり、あれはギャウルということか。
悪逆の限りを尽くして、居住地の家も人も何もかも破壊する。
こんな行いが許されて良いはずがない。
目の前で泣いて助けを乞う人間を嘲笑いながら殺すのがこの街では許されるというのなら、俺は全力でそれを止めるまでだ。
「相手は強い。油断は一切無しだ。それと・・・死ぬなよ」
一切に魔族の下へと走り出す。
こちらの存在に気付いた魔族は、片手で鷲掴みにしていた住民を吹き飛ばし、迎え撃つ体制を整える。
1番最初に攻撃を仕掛けたのはミラ。
2本の短剣から放たれる見惚れるほどに綺麗な太刀筋を披露した。
相手はこれを見て動揺すらしない。
余裕そうに軽く後ろへバックステップ。
ミラの攻撃は躱されてしまう。
「お膳立てはバッチリよシロー!外したら許さないから!」
既に背後に回り込んだ俺の奇襲。
完全に息を殺してしたので相手は完全に不意を突かれた様子だ。
「お見事だ」
相手は軽やかにくるりと身体を捻り、被っていたフード付きのローブを脱ぎ捨て、俺へ目掛けて投げ付ける。
奪われる視界。
こちらが完全に有利だったはずの戦況を一気に覆される。
ローブを取ると同時に腹部に一撃の蹴りが入る。
必死に耐えるが意識を刈り取れそうな痛みだ。
片膝を付いたまま呼吸を整える。
「お前、ギャウルじゃないのか・・・」
俺がギャウルだと思っていた魔族はどうやらそうでは無いらしい。
眼鏡を掛けて聡明さを感じさせる男の魔族。
「ふっ、あんな情けを持った馬鹿な魔族と一緒にするな。私は血を好む誇り高き魔族、インレート・レバンタだ」
「あぁ、そうかよッ!【闇魔法】"闇夜の奇襲"!」
「小賢しい真似を」
インレートに襲い掛かる闇魔法も赤子の手を捻る様に簡単に打ち消される。
「「ご主人様に手を出すな!」」
「やめろ!リル!ラル!」
怒りを剥き出しにして俺を助けようとする。
だけど、相手が悪過ぎる。
どれだけ身体能力が高くても相手は魔族。
幼い2人では勝てるはずもない。
インレートは完全に2人を目で捉えた。
自己紹介で血を好むとか言ってしまう痛い魔族に女子供の配慮があるはずがない。
容赦無く攻撃を仕掛けてくるはずだろう。
「弱者が私に挑むなど笑止千万。殺して差し上げましょう」
武器である槍をリルとラルに向けて走る。
ここで俺が止めらければ。
そう思いながら手を伸ばすも距離が僅かに届かない。
このままでは2人が危険な目に・・・。
「いくぞ!火蜥蜴!【精霊術】"火蜥蜴の火炎壁"!」
颯爽と現れる男が1人。
魔族と2人の間を割る様にして炎の壁を作り出す。
ギムレット・ジライム。
普段は女の子にモテようと必死で格好と思ったことは一度もない。
だけど、この時ばかりは悔しながら恰好良いと思ってしまった。
ご覧いただきありがとうございました。
よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!




