053話 沈む泥舟
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リルとラルを襲うマルクポンド。
その場にいた全員が助けに入ろうとする。
しかし、間に合わない。
「これでも喰らって、ねんねしときな!【剣術】"死操月"」
紫色のオーラーを纏いながらの攻撃。
後ろに死神がいるのではないかと錯覚する程死を感じさせる威圧感がある。
振り下ろされた鎌。
少しでも2人の下は近付こうとするが間に合わない。
「ガルルルッ!」「バウッ!バウッ!」
「なに!?」
俺の心配とは裏腹に2人は強かった。
鎌の攻撃をリルが小さな身体1つで受け止める。
続けてラルが大鎌を持っている手に向けて強烈な蹴りを放つ。
攻撃はクリティカルヒット。
想定していなかった反撃によって思わず手から武器を落とす。
「中々やるじゃねーか!」
「これ以上好きにはさせない。【全能の書】"オーバーアイシクルワールド"!」
武器を失ったマルクポンドに向けてすかさず、攻撃をする白司録。
杖から放たれる冷気は触れたもの全てを氷塊へと変える。
「効かないって言ってんだろ!【金貨交換】!」
凍てつく氷は全て一瞬で水に変わった。
どんな攻撃でも無効化してしまうあのスキル、かなり厄介だ。
スキルの条件としてお金を要求させるらしいが、どれくらいの金額でどれくらいの効果を発揮するか分からないし、そもそもアイツの持っている所持金は途方もない金額だろう。
そうなるとまともに戦って勝てる方法はあるのか?
相手が視認出来ない様な攻撃をするか、捌ききれない量の攻撃を一度に放つか。
「シロー!アタシに合わせて!連携して攻めるよ」
「了解」
ミラの指示で連携攻撃による近距離戦を仕掛ける。
「何度やっても無駄無駄!死んでから出直してくるんだな!」
マルクポンドの余裕の表情は崩れない。
ただの一度も自分が負けるとは思っていなさそうだ。
「ベリーだって役に立つんだから!【強化歌い】"スピードソング"」
身体が浮き上がる様に軽い。
一段とスピードが上がり、連携攻撃に更なる磨きを掛ける。
「【双剣術】"双蛇廻り"!」
ひらりひらりと動く蛇の様な連撃。
どこから攻撃が飛んでくるのか分からない。
これに攻撃を合わせろと言うのだから厳しい奴だ。
だけど、不思議と無理な感じはしない。
ミラの思考を当たり前に察することが出来る。
["ミラ・マリストック"の交友値が50になりました。残り50で加護を授けられます]
[交友値が50になりましたので、"ミラ・マリストック"との共感覚を任意のタイミングで発動出来ます]
薄らと浮かぶログ。
どうやらこれのおかげでミラの考えがぼんやりとだが分かるのか。
戦闘においてはかなり連携が取りやすくなるので有難い。
「逃げ道なんて作らないぞ。【闇魔法】"シャドウアロー"」
ミラの攻撃に合わせて逃げ道を塞ぐ様に魔法スキルを発動させる。
少しずつ余裕そうな顔から焦りが見え始めた。
これは勝機が見え始めたかと思い畳み掛ける。
息の完全にあった連携。
相手は休む間も無く次々と攻撃を浴びる。
それでも致命的な攻撃は未だ与えられず。
両者、無傷のまま体力だけが削られていく。
「クソッ!軽い気持ちで来たけど、これ以上の出費は痛手だ。一旦、引かせてもらうか」
「逃げるのかよ!」
「ふっ、もちろん1人を倒してからな!【金貨交換】"ハイレートブラスター"」
至近距離から粒子砲で狙われる。
放たれる寸前に避けるが狙いは俺やミラではないらしい。
真っ直ぐにベリーへ向かって進む粒子砲。
ベリーは気付いているが身体が反応しない。
それ程に速さも兼ね備えているということだ。
ここで防御する術の1つでもベリーが持っていたら焦りはしなかった。
だけど、彼女はそれが出来ない。
味方にバフを掛けられるが戦闘経験は浅い。
攻撃系のスキルも持ち合わせてはいないだろう。
それなら新しい仲間を頼ってみるのも良いかも知れない。
「リル!ラル!ベリーを助けてくれ!」
「「了解です!」」
獣人族の高い身体能力を活かした突風よりも速い身のこなしで、颯爽とベリーを2人で持ち上げて運び出す。
「ありがとう!」
「ご主人様!」「こちらは大丈夫です!」
これでベリーの心配も無くなった。
後は、マルクポンド本人を倒すだけ。
「って、あれ?アイツはどこいった」
そう思って前を向き直すと姿を完全に消していた。
結局、尻尾を巻いて逃げたのか。
犯罪に加担する領主などここで倒した方が良いと思ったけれど、逃げられてしまったのなら仕方ない。
わざわざ、追いかけて危険な目に遭うよりも今はここのアジトを潰すことが先決だ。
洞窟の最深部へと足を進めると今し方奴隷達を連れて逃げようとするヒゲがモジャモジャと生えた男ないた。
呆れた物だ。
最後の最後には戦うのでは無く、逃げる事を選んだ。
ここまで組織を大きくしたにも関わらず、部下を見捨て自分だけ助かる選択肢を選ぶのか。
本当に虫唾が走る。
別に綺麗事を言うつもりはない。
だけど、トップとしての道理を貫き通せない者が上に立つ資格がないのは確かだ。
「ここで沈めよ、泥舟」
たった一撃。
マルクポンド戦では挨拶にすらならない攻撃で、相手は気絶してしまった。
余りの恐怖に失禁しているが、それよりも先に尊厳は失われていたので問題はないだろう。
今まで倒した奴らもまとめて縄で縛り上げる。
これをこのままギルドに持っていけば、緊急で対応してくれるだろう。
それと同時にこの奴隷達も解放させてギルドに引き渡す。
本来であれば助けた俺が引き受けるべきかも知れないが、人数が多すぎて流石に旅へは連れていけない。
どうかギルドの対応が良い事を願うばかりだ。
こうして計画通り進むはずだった人攫い討伐は、マルクポンドの登場により複雑な気持ちを残して終わるのだった。
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