047話 楽して稼げる方法があるとするなら
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俺達に新たな問題が発生した。
クエストへ行く途中でリルとラルをどうするか。
どちらもまだ幼い。
危険な場所に連れて行くのは抵抗がある。
しかし、これから旅をする上で強くなる為にはクエストへ行かないのも不可能。
スヤスヤと眠るリルとラルの頭を撫でながら考えた。
なるべく早く考えないと辿り着いた結論によって、今日の動き方も変わってくる。
「どうしたのそんなに悩んだりして」
いち早く俺が悩んでいるのに気付いて声を掛けるミラ。
周囲には常に気を配っているのが窺える。
「クエストの時、リルとラルをどうしようかなって」
「何だ、その事ね。どうするも何も連れて行くしかないでしょ」
ミラの意見は決まっていた。
「奴隷を契約者から離れた位置に放置する方が危険よ。アタシ達は抵抗なく奴隷と接するけど、他の人がそうとは限らないわ。宿に放置して問題が起こらないと言い切れる?」
答えはノーだ。
もしも、ミラの言った通りのことが起こったら助けてあげられないのもネックだ。
となると、1番良いのは同行させることか。
「大丈夫ですよ」「僕達強いですから」
「起きてたのか」
「ご主人様が」「撫でてくれた所から」
大分、最初からじゃないか。
起きてるならそう言ってくれたら良かったのにな。
本人達の前で心配事を口に出したのを少し後悔した。
「それで強いって言うのはどれくらい強いんだ?」
「「ちょっと見ててください」」
起き上がってベッドの上に立つリルとラル。
2人で手を握って目を閉じた。
「「うぅーー!ガウッ!」」
可愛く爪を立てるポーズをする2人。
確かに可愛いんだけど、戦えるかと言ったら・・・。
「って!なんだこれ!耳と尻尾が生えてる!」
「「くすぐったいですよご主人様〜」」
これは所謂獣人という奴なのだろうか。
モフモフした所を一頻りに撫でたくなる。
触り心地も本物だ。
ミラも混ざって撫で始めた。
つまり、不可抗力なので仕方ない。
「リルとラルは獣人族だったのね」
「なんで尻尾と耳を隠していたんだ?」
「酷な事聞くわね」
「私達は大丈夫ですから」「答えてあげてください」
少しだけ悲しそうな顔をする。
何か聞いてはいけない事だったのだろうか。
「少しでも売れない様にする為よ。獣人族と知れば、その分物珍しさに買い手が付く。買い手が付けば付くほど、変な奴も寄ってくる。そして、変な奴は大体持て余す程の大金を持ってるのよ。だから、周りに馴染む様に同じ人間族の姿をしてたのよ」
「そうだったのか。・・・辛い思いをしてたんだな」
「でも、今はご主人様がいます」「ありがとうご主人様」
2人の近くへ行って抱きしめる。
さっきのとは違う感情で。
少しでも人の温かさを知って欲しいと切に願った。
「獣人族の身体能力は人間族の3倍と言われているのよ。今は子供だからどのくらいか分からないけど、大人になれば単純な身体能力では敵わないわ」
「おぉー、それは心強いな!」
「まぁ、多少のデメリットはあるんどけどね」
「デメリット?」
「高い身体能力と引き換えに、スキルが一切使えないのよ。理由は諸説あるけど、どれも不確かなものばかりね」
スキルは使えないのか。
その不便さ少し分かるぞ。
でも、2人には愛嬌がある。
だから、スキルが使えなくたって何も問題はない。
「おはぁよー」
「ねむい」
寝起きが悪い白司録とベリーが起き出して来た。
これでようやく出発の準備が出来る。
寝惚けた2人を連れて食堂に行き、今日の流れを確認しながら食事を摂ることに。
「装備は整ったんだし、さっさと次の街へ行こうよ。ベリーはこの街の雰囲気好きじゃないだよね」
「そうしたい所だけど、ちょっと難しいかも」
「なんでなんで!?」
「この街で散財したから、少しお金を貯めないといけないの。クエストもついでにこなして戦闘経験も上ておく必要があるわ」
「えぇーー。」
「ブーたれないの。仕方ないでしょー、この街色々と高いんだから」
文句を言っているベリーだが、この街に来てから費用を出しているのは殆どミラだ。
そのミラがお金の為にクエストに行く言ったら断れるはずがない。
「はいはーい!ベリー良いこと考えた!楽して稼げる方法あるじゃん!」
この時点で何と無く察しが付く。
考えている事が顔に書いてあるからな。
「ゴールドクライシスでがっぽり儲けようよ!」
「却下」
「はやいっ!?」
「そもそもあそこは客が勝てない様に上手くやってるのよ。ベリーが行ったら良い餌になるだけよ」
「嫌だ嫌だ!クエストよりゴールドクライシスが良い!」
リルとラルよりも子供みたいな駄々を捏ねるベリー。
頬を膨らませて不機嫌さを演出している。
ここは俺も止めに入るべきなのだろうが、こっそりゴールドクライシスを利用した立場だからあまり責められない。
空気がこれ以上悪くならない様に多少はフォローしてやるとするか。
「昨日はクエスト行ったんだし、今日は良いんじゃないか?ゴールドクライシスに行ってみて駄目ならそこでクエストっていう選択肢を入れたら良い」
「おぉー!流石シロー!それっぽいこと言ってる!」
「あのな、フォローしてるんだから余計なこと言うな」
考える素振りを見せるミラ。
さぁ、このフォローが意味を成すのか。
「1日だけよ?上限も1万Gまでね。それ以上にすると取り返しのつかない事になるもの」
どうやら決まったな。
楽して大金持ちになるつもりはないが、前回の様に200万近く稼げれば次の街にもいけるのだけど。
「ギャンブル。ちょっと興味あった」
「白司録ってそんな危険な趣味があったのか?」
「イカサマ暴きたい」
なんとも白司録らしい。
普通に賭けをするはずはないよな。
俺は一度目を付けられているし、顔も割れてるから控えめに100万Gを目指す事にしよう。
「よし、思い立ったが吉日。さっさと行こうぜ」
いつもはじっくり楽しむ食事も手短に済ませる。
なんかんや言って俺も楽しみにしているのは言うまでも無かった。
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