043話 倍々方程式
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俺が最初に目を付けたのはトランプに良く似たカードを使うゲーム。
内容も殆どブラックジャックみたいだ。
これならルールもある程度理解出来るし、スムーズにゲームに移れる。
既に3人がプレイしている中に勇気を持って入り込む。
すると一斉に視線がこちらを向いた。
「すみません、これ参加したいんですけど」
「えぇ、大丈夫ですよ。こちらにお掛けください」
「やめときなお兄さん!さっきからこの卓参加してるけど、まともに勝てやしねーよ」
「いやいや、それは運が悪かったとしか言いようがないですよ」
「心配しなくても大丈夫ですよ」
本当に心配は要らない。
何故なら俺は運気のステータス200まで上げて来たからだ。
これが俺の秘策。
相手がイカサマをしようとも本物の運があれば関係ない。
万が一、負ける様な事があればその時は即刻退散しよう。
なけなしの1000Gを換金した1000メタル。
これをいきなり全額ベットする。
金額が少ないのを見て、同卓の人間は俺への興味を失った。
ただの旅人が思い出作りに遊んでいるだけだと思われたらしい。
間違いでは無いが、負ける為に賭けた訳では無い。
勝つつもりがあったからここで賭けた。
1枚目はエース。
この時点で運気のパラメータは正常であると察した。
2枚目を手に汗握りながら捲る。
その瞬間、見えた数字は10。
ブラックジャック成立。
俺の勝ちはすぐ目の前だ。
ディーラーの1枚目は4、2枚目はJで合計14。
当然、ここで追加でもう1枚。
緊張の瞬間だ。
結果は6。
合計20となり俺の勝ちだ。
両手を上げて喜びたい所だが、まだ2000Gに増えただけ。
これくらいの金額は勝たせて、沼へと嵌らせる作戦なのかも知れない。
油断は出来ないがもう1戦。
当然、賭ける金額は所持金すべて。
1枚目K、2枚目5。
これはかなり運が悪い。
3枚目を引く以外の選択肢はほぼないと思って良いが、13枚中7枚はバーストしてしまう。
半分以上の種類がバーストしてしまうのは恐怖だ。
「ヒット」
多少の迷いはあったものの勝つ為にはヒットするしかない。
配られた3枚目。
恐る恐る捲る。
「本当に俺は運が良いらしい」
結果は6。
またしてもブラックジャックだった。
これはディーラーも多少驚いた素ぶりを見せるが、ゲームを進めない訳にもいかずそのまま続行。
ディーラーの1枚目はエース。
これは明らかに勝ちに来たな。
次に10が出たらイカサマしているのはほぼ確定。
「あれ?9?」
「ば、バカな。私は確かに」
結果は9。
この時点で勝利を確信した。
「たった一瞬で4倍。これは目標立てないと止め時を失いそうだ」
大金を手にした訳ではないが、この連続して勝つ快感は中毒になる。
こうやって依存症の人間が生まれるのも頷けるな。
その後もブラックジャックで順調に持ち金を増やしていく。
同じテーブルだとディーラーに変に怪しまれそうなので色々なテーブルへ行き交いながら。
30分後〜
「こ、これはとんでもない事になった」
最初は軽い気持ちだった。
せめてミラに迷惑を掛けないくらいの金額があれば良い。
それくらいにしか思っていなかった。
それが気づけば200万G近くに増えている。
あまりにも上手く行きすぎで自分でも怖い。
決して悪い事をしている訳では無いんだけどな。
余りにも上手くいき過ぎている。
これ以上は不正を疑われてしまいかねない。
さっさと撤退してしまおう。
「初めまして、シロー様」
周りのスタッフとは値段が一回り上のスーツに身を包み、綺麗に手入れされた腰まである紫色の髪をゆらゆらと揺らしながら近付いて来る。
明らかに見た目からして上層部の人間だろうな。
もう少しで逃げ切れるという場面だったのに一歩遅かった。
「始めまして」
「私はこの施設の最高責任者であるナーガ・クルシームです。以後、お見知り置きを」
まさか最高責任者だったのか。
そんなに偉い人がどうしてここへ。
あまりに俺が勝つから文句の1つでも言いに来たか。
それくらいで収まるのならいくらでも話を聞くんだけどな。
「わざわざご丁寧にありがとうございます。俺に何か用ですか?」
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。貴方はこの施設のディーラーに負けず、たった1000Gを200万Gにまで増やした。ただそれを祝いに来ただけです」
「お金を取られて祝いに来るなんて随分気前が良いんですね」
「ははは!面白い事を言いますね!200万くらいは我々にとって端金。これが10億、20億なら少し焦りもしましたけどね」
どうやらこれくらいの金はくれてやるということらしい。
この施設が儲かっているのは想像するに容易いので、200万が痛くも痒くもないのは頷ける。
しかし、それなら何故わざわざ最高責任者自ら顔を出したのか。
「そうだ。私の用件が何かという質問でしたね。何も難しい事はないのですが、私とビジネスをやりませんか?」
「ビジネスって言葉は余りにも抽象的過ぎて乗り気はなりませんけど」
「貴方の運は本物です。我々の技術力を持ってしても勝てない力。その力を使ってディーラーとして働いていただくのです。給料は貴方が勝ち取ったお金の3分の1。どうですか?かなり好条件ですよ」
1日で何億、何十億ものお金が行き来するこのカジノ。
そのディーラーとして働けて、尚且つ勝ち分の3分の1もお金が貰えるなら悪く無い話ではない。
それは誰が計算したって分かる単純な問題だ。
「俺はここでは働くつもりはないです」
しかし、答えは決まっていた。
俺には魔王討伐やラズリの捕獲などやらないといけないことが多い。
加えて、ここは人間に与えられた権利を無視する奴隷商を行なっている。
いくらこの世界がそれを許しても俺の心が許せない。
「そうですか。それは残念ですね」
表情は全く残念そうに見えない。
最初から断られると知っていたかの様だ。
「では、引き続きこの施設をお楽しみください」
本当に要件はそれだけだったらしく、ヒールの甲高い歩く音を鳴らしながらどこかへと消えていった。
テキパキと話す話し方やある程度引き際が分かっている感じは優秀なビジネスマンと
今日はまだまだ勝てそうな気もしたが、これ以上はクエストに支障をきたすので戻ることに。
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