041話 宿屋に泊まると起こること
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!
武器を選び終えると夜になっていた。
比較的治安は良い街だが、夜に出歩くのも物騒なので宿屋を探して休む事に。
どこも高そうだ思いながら探していると、1軒だけリーズナブルな価格の宿を見つけた。
見た目は他の宿屋と比べて少し古びてはいるけれど、清掃が行き届いていない訳では無い。
蜘蛛の巣が張っていて、壁も塗装が剥がれているのなら抵抗があったが、これなら問題無く泊まれるだろう。
中へ入ると1人の中年女性がいた。
体型はふくよかでエプロンを掛けている。
手には食材の入ったバスケットを持っていることから、夕食の準備でもしていた所だろう。
こんな忙しい時間帯に声を掛けるのは少し憚られるが、この宿を逃す訳にもいかないので仕方ない。
「すみませーん」
声を掛けると、おばさんは立ち止まって振り返る。
「なんだい客か?珍しいね」
「ここに泊まりたいんですけど」
「ってことは、アンタら旅人だね。ここの住民が安いこの宿使うはずもないし。4人部屋なら1つ空いてるよ。それ以外は満室さ」
俺達は丁度4人。
だけど、女子と同じ部屋に泊まるというのは流石にハードルが高く無いか?
旅をしていれば、いずれこの様な機会もあるだろうと覚悟はしていたが、まさかこんな序盤で訪れるとは。
「とりあえず、その部屋をお願いします」
迷っていても仕方ない。
こんな知らない街で野宿するという訳にもいかないのだから。
部屋に案内されると、そこには2つのダブルベッドとテーブル1つ、ソファー1つ。
値段帯からしてもっと酷い部屋を想像していた。
掃除が行き届いてないとか、寝具が汚いとか。
それも大丈夫なら文句の付けようが無いほど完璧な宿だ。
こうなってくるとセットで付いてくる夕食も気になる。
「ここ、ベッド2つ」
白司録が真っ先にその話題に触れた。
俺も気にしないようにはしてたのに。
まぁ、この場合1番正しいのは俺がソファーに寝る事だろうな。
他に方法があるとは思えない。
「言っとくけど、ソファーで寝るのはダメだから。だって、体に悪いし。明日はクエストなのにゆっくり眠れないと毒よ」
考えが読み取られていたのか先回りしてソファーを封じるミラ。
「体に悪いという言い分は分かるけどな。それだと誰か俺と一緒に寝る事になるぞ」
「そ、それはそうだけど」
「はいはーい!ベリーは全然シローと一緒に寝ても良いよ!」
「えっ!?良いのかよ?普通に嫌じゃないのか?」
「私も嫌じゃない」
「白司録まで・・・」
そこまで俺に気を遣って慈悲の心を与えてくれるとは。
感動で涙を流してしまいそうだ。
だけど、どちらと寝る事になっても心臓に悪い。
隣に整った顔があったら誰でも緊張してしまうものだろ。
それが2人なら特にな。
「別にアタシも嫌って訳じゃないけど、誰が寝るかは公平に決めるべきでしょ。話し合いなんて、後からあれこれ言う事になる原因よ」
「まぁ、それもそうだよな。俺は本当に3人が良いならそれで」
ソファーはお世辞にも柔らかいとは言えない。
だから、ベッドで寝ても良いと言うならその方が良い。
「だったら、ジャンケンで公平に決めるべき」
「ジャンケン?何それ?聞いた事ないわ」
「グー、チョキ、パーがあって、グーがチョキに強くて、チョキがパーに強くて、パーがグーに強い三すくみになって手遊び。こっちではないの?」
「なるほど、空想魔法戦線みたいことね」
ベリーもその言葉を聞いて納得したみたいだけど、俺達からしたらそっちの方が耳馴染みがない。
だけど、何と無く想像は出来るな。
有名なRPGとかで良くある属性の有利不利をジャンケンみたいに使うのだろう。
「じゃあ行くよ。じゃーんけーん、ポン」
「やったー!ベリーの勝ち!」
結果はベリーの勝ちだった。
ベリーはジャンケンに勝ってはしゃいでいたが、これは単純にジャンケンという勝負事に勝ったから嬉しいという認識で良いんだよな?
決して、俺の隣で寝れるからという理由ではないんだよな?
恋愛経験のない俺にはその判断が出来ないので、はっきり言って貰わないと困る。
勘違いしたままその気持ちを墓まで持っていく事になるから。
コンコン、コンコン
ベッド問題も無事終わるとノックが聞こえる。
まだ返事も返していないのに開く扉。
「アンタ達、夕食の用意出来てるよ。食べたくなったらいつでも声掛けな」
おばさんはそれだけ伝えて他の部屋へと行ったしまった。
愛想がないと思ったけど、わざわざ温かい食事が出来る内に声を掛けてくれるのは優しさか。
「お腹ぺこぺこー。早くご飯食べに行こー」
「アタシもお腹空いて来た」
4人揃って食堂へ。
10人〜12人は座れそうなテーブルに3人の先客がいる。
その先客も身なりからするに旅人だと思う。
固まって食事をしている所を見る辺り、俺達と同じくパーティを組んで旅をしているのかと下手な推測をしてみる。
今はそんな事よりも食事の方が大事だけど。
4人が集まるとおばさんは料理を運んで来る。
テーブルに出されたのは、こんがりと揚がってサクサクそうな茶色の衣に何かしらの肉が包まれていて、それを卵で閉じてある丼物だった。
こっちの世界では何という料理名か分からないけど、見た目的にカツ丼だよな。
ふんわりとした蕩けた卵から香る甘い匂い。
それを追いかける様にして食欲を唆る出汁の形容し難い匂いが鼻の奥までしっかりと届く。
箸を手に取り、カツを一掴み。
「これはこれは・・・」
持っただけで分かる肉の柔らかさと。
そして、我慢出来ずに口に放り込むと肉の旨みが出汁の波に乗って広がっていく。
出汁は自分自信も高いポテンシャルがあるのにも関わらず、あくまでもカツという丼の中の主人公にその座を引き渡しているのが、この丼の素晴らしさを物語っている。
味は濃い方が美味しく感じると言う俺の中の常識を全て覆してくれた。
「美味しそうに食べるねーシロー」
「本当本当。ダイエットしてる時には横にいて欲しくないかも」
「どうせ食べるなら楽しまないとそんだろ」
「私、食べるの好きじゃないけど、士郎が一緒なら食に興味が湧くかも」
今日の晩御飯中の話題は食に関する事で持ちきりだった。
やはり食べ物は共通言語なのか、途中から名も知らない先客達も会話に参加して来たのも悪くない思い出だ。
ご覧いただきありがとうございました。
よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!




