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004話 俺、意外と戦えるらしい

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

タタルトの城壁を出て魔物を狩りに行くまでの道中は遠足の様に賑やかだった。

街の人々は何事かと思って、こちらをチラチラと見ている。

こんなに注目されるのは流石に恥ずかしいのでやめていただきたい。

もっと静かにする方法は無かったのか。


「それにしても、士郎(しろう)だけ恋愛ゲームのステータスとかウケるな」

「お前なぁー、人事だから好き勝手言いやがって!」

「いやいや、俺だって大変だっての嬉しくもない期待を背負わないといけないんだから。どうせなら、農夫とかの方が俺には合ってたぜ」


蓮也(れんや)は本気でこういうことを言うから信じらない。

お前の職業は1番合っていると思う。

他の奴が持っていても正直ピンと来ない。


道中は蓮也と雑談をしながらも重要な作業をする。

それはポイントの割り振りだ。

実践はすぐそこまで迫っているのだから、それまでには戦えそうなステータスにしておきたい。

その為にもベリーストのお陰で手に入れた110ptを強化に充てる必要がある。


確か方法は取得可能一覧から可能だと書いてあった。

なので、とりあえずステータスを開いてみると新たに取得可能一覧と交友関係一覧が追加されている。

交友関係一覧も確認したいところだが、今は時間が無いので取得可能一覧を開く。


[取得可能一覧]

検索:『 』[フィルター]

取得可能

学力1UP:1pt、学力限界値向上:50pt、運動1UP:1pt、運動限界値向上:50pt・・・


ネットの検索の様に表示された一覧。

そこには何ページにも及ぶスキルやステータス向上について書かれている。

これを読むとなると1日、2日では足りないだろう。

兎に角今はポイントも少ないし、運動に30ptだけ使っておこう。

残り80ptもあれば十分他の強化には使えるはずだ。


[運動30UPを選択すると30ptを消費しますがよろしいですか? はい/いいえ]


ここで安心安全の再確認方式。

ポイントの使い間違いも防げる親切設計だ。

迷わずはいを押した俺は、全身から力が漲るかどうか確認する。


「最悪だ。なんも変わってねぇー」


騙されたと思い、絶望に打ちひしがれる。

この30ptをまた手に入れる為にどれほど苦労しないといけないと思ってる。

1時間で60ptしか手に入らないんだぞ?

そもそも女子と話せない俺にとっての30ptの価値は、今現在命より重い可能だってある。


八つ当たりと言わんばかりに地面に転がっていた石ころを蹴り飛ばす。

蹴り飛ばすまでの動作では体が軽いなどは感じなかったが、何故だか石ころは遠くへと飛んでいく。

まさか、俺が気付いて無かっただけで確実に効果はあったのか。


偶々、石を蹴ったお陰で、ポイントが無駄では無かったという安心感を感じれた。

なので、蹴った石に手を合わせて謝っておくことに。


「八つ当たりして、済まんな石ころ」

「なんだ士郎。ついに頭のネジ外れて石と会話してるのか?」

「お前、もっと石ころに敬意を払えよ蓮也」

「冗談じゃないなら尚の事こえーよ」


蓮也も異世界に生きていれば石ころに感謝する日がいずれ来るさ。多分な。


「それではこれより魔物の討伐を行う。レベルが上がれば、ステータス欄では見れないが身体能力や魔力の向上に繋がるから魔物討伐も重要な要素の1つだ。まぁ、今日は実践1日目、レベルが上がる程はしないけどな」

「お気遣いありがとうございます。私達は生き物を殺す事に抵抗がある者もいるのでご了承ください」

「その辺はこちらも配慮しておこう。昨日まで虫の殺せなかった人に、いきなり殺傷は難しいと心得ているからな」


尾美さんの注意はよく周りが見えている発言だった。

オタクや不良組は恐らく魔物を殺す事に抵抗がない。

だけど、女子達には負担が大きい。

ここでトラウマを抱えさせてしまっては、今後の人生に関わる。

それだけは避けたいのだろう。


「まずはスライムを倒す所から始めよう。説明をするとあの魔物は10歳の子供でも倒せ・・・」

「スライムなんてチュートリアルモンスターの説明はいらないですよ!僕が一発で!」


説明が終わっていないにも関わらず、果敢にもスライムに飛び掛かるオタクA。

可愛らしい見た目からして弱そうなので、先走る気持ちは分かるけど、説明書をちゃんと読まないタイプは後で苦労するぞ。


「グハッ!カハッ!た、タイム!もう殴るのやめてーーーー!」


ほら、言わんこっちゃない。

オタクは雑魚だと侮っていたスライムに瞬殺されていた。

そこへ逆さず監督官をしている騎士団員がフォローに入る。

スライムは殴る蹴るが攻撃手段なので、簡単に死ぬ事は無いみたいだが、それでもズタボロのオタクをみると用心が必要だと思わされる。


「彼は油断してしまったみたいだね。今回はスライムだったからこの程度済んだけど、これが続くようならこの中の誰かが死ぬのもそう遠くないだろう」


いつも優しい言葉では無い。

冷たくも冷静な言葉が俺達の心臓へと突き立てられた。

俺達はこの世界では死が常に隣で待っている事をこの時ようやく理解したのだ。


先程の遠足の様な雰囲気はもうどこにも無い。

統率の取れた軍隊の様にテキパキとしている。

ありがとう、オタクA。お前の尊い犠牲は忘れない。

まぁ、まだ普通に生きてるけど。


「スライムは動物や人間に擬態する力を持っている。攻撃自体は成人男性と同じくらいの力と言われているが、油断したら彼のようになるから気を付けるように。それと倒し方も他の魔物とは異なり、体内にある核を壊さないといけない。でも、核はかなり脆くて少しの衝撃でも壊れるから工夫すれば簡単さ」


アドバイスを聞いた俺達はその辺にいるスライムと格闘を始めた。

蓮也、尾美さん、数名の運動部や不良は飲み込みが早く次々とスライムを倒していく。


「俺も少しは頑張るか」


ステータスを上げた事で魔物討伐にも少しだけモチベーションが出て来た俺は、スライムを探して討伐を試みる。

ぴょんぴょんと平原を駆け回るスライム。

そのマスコット的な愛らしさから倒すのを躊躇うが、こいつも放置していれば何かしらの害を及ぼすだろう。


「ごめんな、スライム」


まずは試しに近くの石を軽く投げてみる。

スライムの前に転がる石。

それに気付き、人間の姿へと擬態してこちらへと向かって来た。

俺としては可愛いスライムより普通の人間の方が殴りやすくて助かる。


拳に力を込めて、半透明な体から見える核を狙って一発殴ってみた。


パンッ!


風船が割れた様な破裂音と共に粉々になるスライムと核。

半透明な液体が綺麗な草原に散乱する。

余りにも衝撃的な光景に俺は固まるしか無かった。

他の人を見る限り、ただ殴っただけでこんな事になる訳ないよな。


つまり、俺の力が強すぎたのか?

もしかして、あの運動のステータスを上げたのが効いているとか?

どちらにせよ、この事は黙っておいた方が良いと俺の本能が言っている。

でないと、確実に面倒な事に巻き込まれるだろう。


結局、この光景は見て見ぬふりをして、こっそりとみんなの下へ戻るのだった。


ご覧いただきありがとうございました。

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