036話 白馬の王子のナンパ術
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「そいつらは"泥喰らい"と呼ばれる卑しくて目障りな奴らなんですよ。だから、罪を犯した泥喰らいは殺処分するのが当たり前。それがこの国の当たり前なんです。ですので、早くそのガキをこちらへ」
無理矢理にでも奪おうとして手を伸ばす店の男。
だけど、俺は彼の手が届く前に手に持った少年を下ろした。
途端、死にたくないという生存本能から必死に逃げ出す少年。
店の男は罪を犯した少年を逃がした事に酷く腹を立て、俺の方を睨んでいる。
だけど、これで良かった。
あの子はまだ何回だってやり直せる。
「貴方、何をしたか分かっているのですか?どこの出身かは知りませんが、この街にはこの街のルールが存在する。それに従って貰わないと困りますよ」
この街での貧富の差が激しいのは先程の少年を見れば明らか。
そして、その差が激しい差別的感情を生み出す。
誰が聞いても気分の良い話じゃないな。
「ほら、これで良いでしょ?」
ここにも1人耐えられなかった人がいた。
ミラは自分の懐から金貨を取り出して地面に投げる。
ざっと5万Gぐらいはあるだろうか。
「これは?」
「この街のルールに乗っ取ったのよ。この街の絶対的ルール、"お金以上に強い物はない"でしょ?」
「お金を粗末にするのは許せませんが、言っている事は正しい。今回ばかりはこの5万Gに免じて、許してあげましょう」
お金を拾い、満足そうな顔で立ち去る男。
ミラの言う通り、本当にお金が1番力を持っているらしい。
街へ来てから少ししか経っていないが、闇の深さが垣間見えてた。
気分が下がってしまった俺達は、気を取り直してギルドへと向かう。
「なんか前にベリーが来た時と印象が違って見えるなー」
「ベリーは王族。お金に繋がるから無碍にはしない」
「どうにかならないのかな。ベリーとしては許せないよ、こんな状況」
「街を出る以外どうにもならないのよ。こんな街でも栄え続けているのは一定層の需要があるから。つまり、ここの気持ち悪い仕組みを好む奴らもいるって訳」
「うーん、なんか納得出来ないけど、仕方ないって事だよね」
今まで外の世界をあまり知らなかったベリーにとって、始めて見た暗い影の部分。
純粋な心がそれを拒絶している。
ただ、これは人間の持った影の一部に過ぎない。
旅を続けていけば何回も遭遇する事になるだろう。
果たして、その時彼女は耐えられるのか。
少し心配になってしまう。
反対に白司録は冷静だった。
彼女にとってはこれが当たり前だと言わんばかりだ。
それぞれがまだ見せぬ悩みを持っていると思うが、彼女達に対する理解が浅い。
だけど、今後一緒に旅をする事になれば、知る機会があるかも知れない。
そうなった時、果たして俺は彼女達が抱える悩みを解消出来るのか。
その自問自答にでさえ、俺は容易く頷く事は出来なかった。
「さて、ここがセレントロンのギルドよ!」
タタルトの時と違って、扉が豪勢だ。
無骨な男達には似つかわしくないだろ。
そう思いながら中に入る。
すると、中の様子までタタルトとは大違いだった。
キラキラと光る眩しいシャンデリア。
わざわざカウンターにまで引かれたくどすぎる真紅の絨毯。
そして何より違うのは冒険者の風貌だ。
タタルトでは絵に描いたような筋肉を詰め合わせた男達がむさ苦しく集っていたが、ここは貴族の舞踏会にしか見えない。
整えられた装備品に、若い見た目の男女達。
所々見受けられる気品。
でも、本当に彼等が魔物を倒せるのか。
少し疑問が残る。
そんな事を考えていると周りからコソコソと話す声が聞こえて来た。
注意深く耳を澄ませてみると話の内容は俺達の事についてのようだ。
いや、ミラとベリーについてと言うのが正しいか。
片方はA級冒険者、片方は一国の王女。
知名度は当たり前のようにあるだろう。
引き換えに、隣には冴えない男がぽつんと佇んでいる。
それをよく思わない男達から向けられた嫉妬の視線は、肌に痛く突き刺さった。
「やぁ、お嬢様方。このギルドに何か様かな。おっと、これはこれは。ミラ様に、ベリースト王女、それに・・・そちらの麗しきお姫様のお名前もお伺いしても良いかな」
ミラやベリーだけに飽き足らず、挙げ句の果てには白司録までナンパし始めた。
気持ちは分からなくもないけど、明らかに困っているのは言うまでもない。
「俺か?俺は士郎っていうけど」
「なんで君が答えるのかなー!」
眉間に皺を寄せて、こめかみに血管を浮かばせながら詰め寄って来る。
「いや、名前聞いたからさ」
「ぷっ、あはは!絶対、シローの事じゃないよ」
「ベリーもそう思う」
思わず吹き出してしまうミラと呆れるベリー。
それに耐えられず怒り狂うナルシスト。
日本ではこれを火に油を注ぐと言う。
「君は僕をコケにするのが好きみたいだな。君がそのつもりなら仕方ない。"精霊の使徒"のリーダー、A級冒険者ギムレット・ジライムが告げる!ここにシローとの一騎討ちを申し込む!」
「断る」
「ちょっと待てー!!!早過ぎるだろ!もうちょっと驚きとか、恐れとかはないのか!?」
「ない。そもそも戦うメリットがないだろ」
相手は自尊心が保たれるかも知れないが、俺が勝っても何も残らない。
ただただ時間だけが奪われる。
そんな意味のない戦いを好き好んで受ける奴がいるとは思えない。
「勿論、この勝負を受けるにあたって互いに賭けをしようじゃないか。そっちが負けた時には麗しき姫君達を僕達のパーティへ。万が一、僕が負けるような事があれば、君の願いを1つなんでも聞こう」
聞こえは対等、いや寧ろこちらに良い条件かも知れない。
だけど、俺は最近ようやくEランクになった冒険者。
側から見れば分かり切った勝負を挑んでいる。
「その勝負、俺の独断では決められないな」
「だろうね、姫君達の意志も必要だ」
「アタシは良いわよ」
「・・・ベリーも良いよ」
最後の1人も小さく頭を縦に振った。
「決まりだな」
「今から泣く準備をしていた方が君の身の為だよ」
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