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クラスで異世界転移したけど何故か俺のステータスだけ恋愛ゲームでした〜意外と戦えるみたいなので女子と仲良くなって魔王倒します〜  作者: 風野唄
第一章 囚われの姫君と裏切りの狂人

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033話 狂った女に愛された男

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

「シロー。貴方はこの世で最も重要な物は何だと思いますか?」

「お金とか力とかだろ」

「そうですね。世の中、そう答える人もいます。でも、私は違うと思います。この世で1番重要なのは愛ですよ。それも薄っぺらい誰もが吐ける愛ではなく、命を賭してでも守りたい愛です」


今の空気には似つかわしくない甘い論理。

それがどう繋がってくるのか俺にはまだ理解出来ない。

だから、余計な事は口を挟まずに聞いていた。


「私はこの家で1番愛を欲していました。だけど、お父様は私に愛などありませんでした」

「どうしてそんな事が言える」

「お父様が1番愛しているのは、母でも、娘達でも無く、このタタルトの国民だからです。私は長らくお父様と過ごして来ましたが、そう感じざるを得ませんでした」


目がより一層暗くなる。

思い出したくもないように語るラズリ。

彼女は実父の事を恨んでいる様に思えた。

いつからそこまでの憎悪を抱いていたのか気になる。


「それでも良かった。ちゃんと私達にも同じくらいの愛を注いでくれるのなら。でも、皮肉な事に1番愛を求めた私にだけそれは手に入らなかった。私はタタルト家の長女で、男の兄弟はいません。だから、私は政治の道具として育てられました。その瞬間からラズリ・タタルトは死んだのです」


この家に息子がいないという事は跡を継ぐのはラズリか、その結婚した相手だろう。

だから、四姉妹の中で特にラズリは政治の要素を強く受けて育つ事は必然だ。

しかし、それは子供にとって残酷な事。

性格形成をする上で大きな影響があるのは言うまでもない。


歪んでしまった原因は理解出来た。

だけど、それでこの事件を起こしたと言われて納得は出来ない。


「だから、最後に試したかった。もし少しでも愛しているという気持ちがあるなら、お父様本人が誘拐された私を助けに来てくれると信じて」

「でも、来なかった」

「えぇ、やはり愛はありませんでした。だけど、この話も悪い事ばかりではないんですよ?」


何かを思い出して口角が上がり、頬に手を当てながら妖艶な表情で惚ける。


「だって、貴方が助けに来てくれたのですから。出会った最初から感じていた胸の高まりは嘘ではなかった。あぁ、貴方は私の王子様。この私が強く愛を求めるだけで無く、強く愛を与えたくなる存在。あぁー、シロー。シロー、シロー、シロー。ふふっ、名前を呼ぶだけでもおかしくなってしまいそうです」


狂っている。それ以外の感想がない。

人が死んでいるのに恋や愛を語るラズリ。

最早、自分の世界しか見えていないのだろうか。

怒りの感情も最早消えていた。


["ラズリ・タタルト"の交友度・親愛度が100を達成しました。"狂愛の加護"を付与します]

[異性からの異常なまでの愛を確認。500ptを付与します]

[異性と5分の会話を確認。5ptを付与します]


「ねぇ、シロー。私、貴方が欲しい」

「悪いけど、俺はアンタとは相容れないな」

「・・・そうですか、それは残念です。でも、諦めませんよ」

「何度言われても・・・」

「しぃー」


唇に人差し指を当てる。

これ以上は何も喋らせないつもりらしい。


「そうだ。私はこの街から離れることにしました。だから、運命が私達を導く事があればその時またお会いしましょう」

「おい、話はまだ終わってないぞ!」


ゆっくりと扉へと向かう。

だけど、俺はラズリを捕らえて悔い改めさせる必要がある。

だから、手を伸ばして追い掛けた。


部屋から出たラズリを追い掛けるが、既に姿を消していた。

廊下には少し残ったワープゲートの痕。

時の鍵を持ったまま逃げられたのか。


なんて説明すれば良いのか。

古代魔導具の持ち逃げ、大犯罪の計画、そして何よりそれを実行したのが国王の娘であるという事実。

そのどれもが頭が痛くなる話だ。


だけど、時間の問題でいずれラズリの失踪は明るみになる。

なら、状況が分かっている俺が報告した方が混乱は少なくて済むだろう。


急いでマックジーの下へと向かった。

豪勢な食事を楽しんでいられる余裕などどこにも無い。

今は現状を伝えるのが最優先だ。


勢いよく扉を開けた。

何事かと驚くマックジー。

近くにいた騎士団も警戒を強めて、腰に付けた剣に手を添えている。

言葉を間違えたら待つのは死のみ。

だけど、この心から湧き出る感情から強い言葉を使わざるを得なかった。


「ラズリ・タタルトが自ら望んで失踪した」

「ラズリが?どうしてそんな事に」

「火事も、ダクマズの脱走も、誘拐も全部ラズリが計画した物だった。それで問い詰めた結果、逃げ出した」

「貴様、国王の前でラズリ様を愚弄するか!」


騎士団の1人が刃を抜いた。

反応は出来る速度だ。

だけど、避けたりはしない。

傷付く事なくお構いなく、その刃を掴んだ。

滴る血と漂う緊張。


俺は言葉を続けた。


「アンタが娘をちゃんと見ていなかったからこうなった。もっとちゃんと見ていれば・・・」


これはあくまでも空想の話。

実際にちゃんと娘として見ていれば、こんな事にならなかったのかは分からない。

だけど、今はそれを理由に憤るしかこの気持ちを晴らす手段が無かった。


「私のせいか。そこまで言うのなら、そうなのかも知れない。ただ、いくら娘であろうと多くの命を奪った罪は重い」


正論だ。

どんな理由があろうと命を奪ってはいけない。

それはどこへ行っても変わらぬ摂理。


「明日から証拠を収集した後に、犯人がラズリだと判明した際は、生捕りのみの指名手配をしよう」


あくまでも生捕りのみの指名手配なのが、唯一実娘に掛けられた情けなのかも知れない。

国王であるマックジーの表情は怒りと悲しみの狭間を行き交っていた。


今後の方針が決まった。

魔王討伐に向けて旅へ出る。

その道中でラズリを捕える。

そして、罪を償わせる。

例え、彼女が一生を掛けて償うことになったとしても。

ご覧いただきありがとうございました。

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