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クラスで異世界転移したけど何故か俺のステータスだけ恋愛ゲームでした〜意外と戦えるみたいなので女子と仲良くなって魔王倒します〜  作者: 風野唄
第一章 囚われの姫君と裏切りの狂人

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029話 笑顔を求める若人

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

最初は単純な理由で尾美(おび)に付いて来た。

女子の中でも綺麗な尾美と一緒に捜索できるならそれで良いと思ったからだ。

加えて、尾美は実力もあるいざとなった時はどうにかしてくれるだろうと。


そうして、戦闘が始まり窮地に立って始めて日比野(ひびの)は後悔した。

守られてばかりいる自分の不甲斐なさと、迂闊に敵の女の子に話し掛けてしまったという事実に。


「彼女はあの大剣で派手に攻めて来るタイプです。冷静に避けてから反撃に出ましょう」


こんな時でも冷静な尾美が眩しい。

日比野はただ逃げる事だけを考えていた。

あの破壊力を持った女に勝てるはずがないと思っていた。

だけど、尾美を違う。

勝って前に進む意志が見える。


それが余計に日比野を惨めにさせる。


「危ないよ!日比野くん!」


戦意を半分失いかけていた日比野は、目の前の攻撃が来るのに気付くのが遅れた。

気付いた時には避けるのが間に合わないギリギリの距離だ。

日比野は半分諦めた。

自分が蒔いた種ならこうなるのも仕方ないと。


「・・・うっ!」


しかし、そうはならなかった。

尾美は日比野目掛けて飛び掛かり、体全体で押し飛ばす。

無抵抗の日比野はそのまま無傷で地面に倒れ込む形に。

だけど、尾美は庇った時に大剣が掠り、腕を軽く負傷した。


狼狽える日比野。

自分が足手纏いなばかりに尾美が怪我をしたという事実が、余計に心を苦しめる。


「大丈夫か!大丈夫じゃないよな。こういう時は。まずは止血か?」

「日比野京蘭(けいらん)!!!落ち着いて」


腹から出た尾美の声に、日比野は耳を傾けた。

落ち着きなさいと言われたので、深呼吸をする。

パニックに陥っていた思考が少しだけ冷静になった。


「私は大丈夫。そして、君も大丈夫だよね?何も問題ない。倒せる相手だから、落ち着いて」


尾美の言葉がすっと心へと入る。

温かい言葉に目が覚めた。

日比野は自身が弱い事を知っている。

だけど、その弱さを持って戦わないといけない時がある。

それが今だっただけの事。


「さっきからアタシは空気みたい。オヨヨー・・・。悲しいなッ!」


容赦無い大剣での一撃。

大剣との距離が近くなるにつれて、冷たい金属から放たれる威圧感が増していく。


怪我を負った尾美は痛みを堪えて何とか動くが、動き出しが遅れてしまったのでこのままでは大剣の錆となるだろう。


「うおぉーー!!!俺は日比野京蘭!世界を笑顔で溢れさせる男だ!」


尾美が日比野を庇った様に、今度は日比野が尾美を庇った。

たった1本の刀で、あの大剣を防いでいる。

足も手も力を込めていて震えていた。

限界なんてものはとっくに超えているだろう。


「どこからそんな力が湧いてくるのよ!うざったいんだけど!【身体能力強化】"レベル1"!」


攻撃に重さが増す。

身体に掛かる負荷が膨れ上がる。

だけど、日比野は立っていた。

辛そうな顔こそしているが、立って尾美を守っていた。


「実は俺、火事の時に現場にいたんだ」

「えっ?どしたのいきなり」


尾美は突然の告白に困惑した。


「聞いてくれ、せめてもの懺悔を。ふらっと店の前を通り掛かるといきなりランプが現れて、何かと思ったら次の瞬間には火事になってた。俺、怖くなって火事が起きた事も、犯人にされるんじゃないかとって事も。だから、その場から走って逃げたんだ」

「・・・そうだったんだ。でも、犯人じゃなかったんだよね」

「そうじゃないんだ。あの時、俺が中に入って避難を誘導していれば。あの時、俺が少しでも消火にあたっていれば。俺は弱い自分が嫌いだ。・・・火事の後に見た街の人の涙が今も頭から離れないんだよ」


敵の攻撃は止まない。

雨の様に降り注ぐ攻撃。

今までの日比野ならとっくに死んでいただろう。

だけど、想定以上に堅い守りがあった。


これには敵の女も苛つく。


「つまりはアンタが殺したって事だよね!あはは!可哀想な人間!」


安易な挑発。

心を乱す為の作戦。

今の日比野には全く通用しない。


「・・・そうだよな。だからッ!だから、今度こそは!俺がそいつらの笑顔を守る英雄(ヒーロー)になってやるんだよ!」


[強い魂が女神の加護に共鳴しました。日比野京蘭に新たな職業:【守護の英雄(ガーディアンヒーロー)】を与えます]


「なんだっ!明らかに変わった!」


敵の女は1歩退く。

明らかに先程までとは違うオーラを日比野は放っていた。

近付くのさえも躊躇う別格の力。


「クソッ!ウチをあまり怒らせんじゃねー!【身体能力強化】"レベル3"!」

「ぶっ放せ!俺の全力ッ!!!【リフレクションカウンター】!!!」


ぶつかり合い力。

日比野の方が押していた。

それに合わせてより一層、込める力を上げる敵の女。

しかし、力を込めれば込める程、跳ね返ってくる力が増えているのに気付いていない。


「うおぉーーー!!!」

「認めねぇー!ウチがこんな負け方するなんて絶対に!」


最後の足掻きで喰らいつく。


「頑張れ!日比野くん!」


尾美の言葉が一押しとなり、ついに均衡は破られた。

跳ね返った攻撃が自らの身を滅ぼす。

何とも屈辱的な負け方だった。


日比野は動けなくなった敵の下まで歩き、


「お前がどんな奴かは知らないけど、自分の行いを悔い改めるんだな」


と言葉を吐いた。

これは自分に向けた言葉でもある。

弱い自分を悔い、今までの行動を恥、そして今、新たな自分として生まれ変わった。

この成長が今後の日比野を強くさせるだろう。


「そうだ!大丈夫か尾美ちゃん!」

「大丈夫だよ、このくらいの傷」


そうは言うものの顔は痛みで悶えていた。

この傷を負わせたのは自分のせいだと落ち込む日比野。


「そんなに落ち込まないでよ、日比野くん」

「そうだ!今度、今度絶対に埋め合わせするから!」

「あはは!それ、日比野くんが遊びたいだけじゃないよね」

「ち、違うから!」

「期待してるね、英雄(ヒーロー)さん」


いつもの凛々しい尾美とは違う、可愛らしい年相応の女の子の笑顔。

そのギャップに心を打ち抜かれたのは言うまでない。

ご覧いただきありがとうございました。

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