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クラスで異世界転移したけど何故か俺のステータスだけ恋愛ゲームでした〜意外と戦えるみたいなので女子と仲良くなって魔王倒します〜  作者: 風野唄
第一章 囚われの姫君と裏切りの狂人

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023話 月夜の灯火、ゆらゆらと

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

クエストを受けた帰り道。

色々な話をしながら歩いていた。

休日の過ごし方やクエストの話、新しく発見されたダンジョンなど、ここの会話は聞いてるだけでもタメになる。


これだけ会話をすれば、ハレートンやクランとは出会った時の最悪な第一印象から普通くらいには印象が変わっている。

ただ、1人だけまだ敵意剥き出しの方もいらっしゃいますけど。


「そろそろ着くわ。王都に着いたら解散しましょう。クエストの処理はこちらでしておくから」

「まぁまぁ良いじゃ無いかギルドまでなら。それに報酬の分配もあるからさ」


まるで機嫌を損ねたお姫様を宥める王子様の様に、アルメノを説得するクラン。

それでも考えは変わらない様だ。


「俺は後で貰えれば良いや。この後、行かないといけない場所もあるし」

「それならアタシもそれで良いや。別にお金には困ってないから」

「気を遣わせてしまってすまない。僕から後で言っておくから」

「そんな事しなくて・・・ん?なんだ?」


犬の様に鼻をクンクンと動かして匂いを嗅ぐ。

何故だろうか、かなり焦げ臭い。


「おい、あれを見ろみんな!」


ハレートンが指を指した方向からは赤い光が漏れていた。

もう日は落ち切ったというのにも関わらず。

嫌な予感がした俺達は走って王都を目指す。


近付けば近付く程、聞こえてくる悲惨な声。

しかも、1人2人では無い。

大勢の人間が燃えゆく王都を見て絶望していた。


「馬鹿野郎!直ちに冒険者ギルド行って水魔法使える奴集めろ!」

「あ、あぁ!分かった!」

「これはどういう状況ですか!?」

「クランさん!いきなり街のあちこちで一斉に火事が起こったんだ!街の火消しは多くないから消火が間に合ってないんだよ!」


慌てながらもクランの登場に安堵したのか状況の説明をしてくれた。

同時に火事が発生するのは人為的な火災だ。

しかも、組織的な犯行。

始めに思い付くのは極死楽だが、統率の取れるリーダーを失った今、そこまで大きな犯罪を成し遂げるとは思えない。

一体、誰が何の目的で。


それにしてもこれ程までに火災が進行していると俺達だけでは手も足も出ない。

そのまま黙ってこの惨状を見る事しか出来ない自分に腹立たしさすら覚える。


「【水魔法】"アクアウェーブ"!」


馴染みのある声が聞こえたと思えば、いきなり大きな波が現れた。

その波は大きな音を立てながら、燃え盛る家屋を飲み込み一瞬で鎮火した。

残ったのは黒くなった木の柱と、目に入ると痛い灰色の煙だけ。

目を背けたくなる様な悲惨な現場だ。

これがここだけではなく、街全体で起こっていると思うと恐ろしい。

 

「尾美さん!尾美さんも消火活動中なの?」

「そうなんだよ!私は水魔法が使えるから何かしなきゃと思ってね。それで居ても立っても居られなくなったんだ。ごめん、今は先を急ぐから!」


早口で言葉を綴ってその場から立ち去っていく尾美さん。


彼女もまた優しい心を持った人物だ。

この状況をどうにかしたいと必死に動いている。

それを引き止めようとするのは野暮だよな。


俺も何か出来ること探して動かないと。

まだ火災が収まっていない場所へと行き、避難の補助をしようと走り出した。

すると、足下で何かを踏んだ感触がある。


何かと思い見てみると粉々になった魔石と多くの金属の破片だった。

魔石は色からして火属性の魔石。

そうなるとこれが出火原因だと思ってまず間違いない。

うーん、散らばったパーツからして何か見覚えがある気もする。


「何してるのシロー!街の奥の方を助けに行くよ!」

「ごめん、今行く」


まず優先すべきなのは街の安全を確保する事だ。

考えるのは後からでも出来る。

破面を少しだけ取っておき、急いで街の中へと。


小さな子供や老人を避難させたり、道端にまで転がっている瓦礫を片付けたり、やる事を探せばキリがない。


最初は絶望していた街の人達もそれを見て1人、また1人と手伝う者が増えていく。

自然に声を掛け合い、助けが必要な場所があればすぐに駆け付ける。

この街の強さというのが伺える瞬間だった。


「子供があの瓦礫の下にまだいるんです!誰か!誰か助けてください!」


必死に助けを求める母親がいた。

しかし、他の人は動かない。

正しくは動けない。

瓦礫は幾重にも重なり合い、大人が何人束になって掛かろうともビクともしないだろう。


「少し離れてください。俺が何とかします」


今の俺ならどうにか出来るかも知れない。

いや、どうにかするしかない。

助けを求める人がいて、そのまま見過ごす訳にもいかないからな。


腕を捲って頬を叩き、気合いを入れる。

そして、瓦礫の下に手を入れて持ち上げた。

全身から力が湧いてくる。

ジェネラルゴブリンと戦った時とは違う温かな力。


「うおぉーーー!!!」


瓦礫が完全に持ち上がり、下からは弱りきった小さな男の子が現れる。

母親はそれを見た途端に急いで我が子を抱き抱えた。

男の子は救出出来たが息が弱々しい。


「ありがとうございます。ありがとうございます。何とお礼を言えば」


安堵の気持ちから過剰なまでの感謝を述べる母親。

俺としてそんな事よりも子供を優先して欲しい。


「早くその子の治療をしてあげてください。まだ息はあるみたいですが、かなり弱っているみたいですから」

「はい、本当にありがとうございました」


足早にこの場から立ち去った。


これで小さな命を救えたと思うと心がスッキリする。

だけど、自己満足で終わってはいけない。

まだ助けを求める人はいるはずだ。


体力が尽きるまで走って走って走りまくる。

そうして街全体が鎮火される頃には朝日が登っていた。

疲れ果てた住民達が所かまず倒れ込んでいる。

中には眠りについてしまった者まで。


後から通りすがりの人から聞いた話ではこの大火災で死者は3名、重軽傷者126名の被害が出たらしい。

ギルドや騎士団、火消しなど色々な人間の迅速な対応があったからこそ、ここまでの被害で済んだが、決して少ないとは言えない人数だ。


嫌な空気を肌で感じる。

何か底知れぬ悪が動いている気配がして。

ご覧いただきありがとうございました。

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