002話 いくら好きでも流石に理不尽です
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「それでは誰でも良いのでステータスを測る為に前へ出て来ていただきたい」
どうやらステータス測定は、1人1人前へ出て行われるみたいだ。
これがチートスキルや英雄並みのステータスを持っているなら何も問題ない。
寧ろ、羨望の眼差しを向けてもらえて少し良い気分になれるくらいだ。
ただ、そうなるとは限らない。
ここにいる30人の生徒の内、1人、2人は劣等生、つまりステータスもスキルも劣っている奴がいるはずだ。
それはアイツかも知れないし、コイツかも知れない。
いや、俺かもな。
今はまだ異世界生活が始まったばかり格差など何1つないけれど、いつかは足手まといとして蔑み目で見られるだろう。
だから、ステータスはこっそり確認したかった。
だけど、これはしょうがない。
俺が何か言った所で変わる訳では無いのだから。
クラスメイトは誰が最初に計測するのかを伺っていた。
どのタイミングでやろうとステータスが変わる訳でも無いが、空気感は変わってくる。
「誰も行かないなら俺が」
先陣を切ったのは蓮也。
周りの空気とか気にしないタイプだからな。
それにコイツがステータスが低いなんて事はありえない。
謎の水晶に手を当てて、体感10秒くらいじっと動かずにいる。
この長いとも短いとも取れる沈黙の時間の間、酷い緊張感が辺りの空気を凍てつく程に冷ましていた。
「これがステータス・・・」
静かな声と共に空中に浮かぶ文字。
前にいた世界では中々味合えない感覚。
まるでVRのゲームをしているようだ。
名前 :鷹越蓮也
レベル:1
職業 :剣の英雄
スキル:【剣術】LV3、【魔法剣術・風】LV1、【身体強化】LV1
「おぉーー!これはとても素晴らしいですよ!このレベルでここまでスキルが豊富とは!それに職業も|英雄系ですね!」
測定していた眼鏡の男が興奮気味に蓮也に伝えた。
クラスもこの凄さに気付いて、ざわざわとなっている。
特に女子の目はハートになっていた。
俺も驚く所ではあるが、蓮也ならこれくらいのステータスになっていてもおかしくない。
誰から見ても英雄みたいな男だからな。
きっと魔王を倒すのもコイツだろ。
それよりも自分の心配だ。
戦わないと宣言はしたものの、自分の身は守れるくらいのステータスはないとこの世界では不安になる。
チートスキルは強請らないので、せめて攻撃系のスキルをください。
「なら次は私が行く!」
次は尾美さんが前に。
ここでまた強力なステータスが出れば、より一層自分達のステータスにも期待が高まる。
それは待ちきれ無くなったオタク達が、次は自分の番だと列を作り順番を待ち始めたのを見れば明らかだ。
期待してる所悪いけど、2人は才能の塊みたいな奴らだから別次元の存在だと思った方が良い。
名前 :尾美水夏
レベル:1
職業 :魔法の英雄
スキル:【火魔法】LV4、【水魔法】LV4、【風魔法】LV4、【魔力操作】LV2、【魔力拡張】LV2
「こ、これも凄いですよ!またしても珍しいとされている英雄系の職業です!しかも、基礎魔法の5つの内、3つもレベル4で習得されている!お手本、いや、誰もが目指すべきスキル一覧ですよ!」
誰か彼の興奮を止めてやってくれ。
このままだと興奮し過ぎて、鼻血だして倒れるぞ。
尾美さんのステータスを聞いて、またしても上がる黄色い声。
余計に張り切る男共。
なんて単純な生き物なんだ。
さっきよりも列に並ぶ生徒の数も増え始めた。
そんな言っている俺も自分のステータスが気になって仕方なくなって来たので、こっそりと列に並んでいるのはここだけの秘密。
「次の人どうぞー」
その後もテンポ良くステータス測定が進んで行き、ようやく俺の番が回って来た。
測定していた眼鏡の人も最初の2人がピークで徐々にテンションが落ち着いている。
俺としては、やかましい人に見られるよりは楽で良い。
「はい、ここに手をかざしてくださいね」
散々見て来た光景だから分かっているのに、マニュアル通りも言わんばかりに説明される。
彼も飽きているし、さっさと済ませてあげるのが彼の為かと思い、言われた通りに手をかざす。
すると全身に伝わる不思議な感覚。
誰かに360度全身を見られているような、でも、嫌な感じというよりも家族に見守られているような暖かな感じだ。
名前 :古井士郎
称号 :恋愛初心者の転生者
所持金:0G
ステータス
学力:20(限界値:50)
運動:20(限界値:50)
魅力:25(限界値:50)
話術:25(限界値:50)
運気:30(限界値:50)
スキル:【空気読み】、【護身術】、【言い訳】、【日付記憶】
「・・・。」
「・・・。・・・えっ?」
測定している男と目を合わせて黙る。
これは今までみんなが出ていたステータスとは全く違うステータス。
どこかで見た事あるなと思ったら、ドキラブの主人公のステータス画面に似ているではないか。
「こ、これは今までに無かった現象ですね。確実に珍しくはありますが、強いのかと言われたら。そもそも、これらが何を意味しているのかも」
「どうした測定員。トラブルか?」
騒ぎを聞きつけて近くへとやって来た国王。
俺はやましい事はしていないと誓えるが、これが理由で王城を追放なんて事になったりはしないよな。
「うーむ、確かに見た事はないが、もしかすると意外な場面で活躍してくれるかも知れない。今後に期待しよう」
「た、助かったー」
意外にも寛容な態度を示す国王。
色々と勘繰っていたが案外普通の良い人なのか?
まぁ、それよりも自分のステータスが問題だろう、
確かに俺はドキラブは好きだ、いや、大好きだ。
だけど、こんな異世界で恋愛ゲームのステータスを並べられても何の役にも立たない。
神様が見ているなら一言言わせて欲しい。
「いくら好きでも流石に理不尽です」
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