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107話 弱者の戦い方

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

「さて、こちらも始めよう。君達には悪いけど、戦力を分散させるのは賢い選択ではない。よって、速攻でお前等潰して仲間と合流だ」


ベータは眼鏡を掛け直し宣告した。

きっとベリーと神奈の事は弱者という認識しかしていないのだろう。

自分であれば、手こずる事なく始末出来ると。

実際に戦力で言えば2人は低い方だ。


白司録の記憶と知識を元に技を生み出す固有スキルは非常に強力だが、上手く活かせる程の身体能力がない。

ベリーも強化系のスキルは使えるがそれ以外は通常の冒険者の基準を下回っている。

相手もある程度の戦闘に関する情報を持っているはずなので、2人が後衛向きだというのは知っているはずだ。

彼の余裕はそこから来ている。


「どうするカンナ。2人でこの場を抑えきれるかな」

「ベリー、抑えるだけじゃダメ。確か私は弱い。だけど、みんなも苦しみながら前に進んでる。だから、ここで勝とう。それが成長に繋がる」


神奈は強い心を持っていた。

負けるなんて気持ちは一切無く、どうすれば勝てるかを真剣に考えている。

ベリーは羨ましかった。

口では正しさばかりを説くのに、実際の戦闘では何もできない。

そんな自分が仲間の中で1番の足手纏いだと感じている。


どうすれば彼女の様に強くなれるか。

答えは既に分かっている。


「勝とう。2人で」

「その答え、待ってた」

「相談、終わった?こっちも熱い友情ごっこに付き合ってる暇ないんだよね。だから、そっちが来ないならこっちから行かせてもらうよ?【剣術】"メガスラッシュ"」


敵は友情の余韻に浸らせる間もなく、攻撃を仕掛ける。

しかも、メガスラッシュ。

ただのスラッシュ系と侮ると痛い目を見る。

大地すら斬り裂く威力と広範囲に渡る斬撃は、当たると骨の1つも残らないということを意味している。


神奈とベリーは二手に分かれて攻撃を避ける。

間一髪という所で免れたが、元々自分の居た場所は無惨な事に。


「【強化歌い】"オールソング"」


バフを1度に全て発動させる新技。

元々無いに等しい身体能力だが、これで普通くらいにはなる。

後は適切な距離を取れば・・・、


「馬鹿にしてる?ただ避けるだけで勝てると思ってるなら甘過ぎる」


ベータの動きは速かった。

攻撃を避けた事で安心してしまっていたベリーの目の前に姿を現す。

外して当てたで一喜一憂するなんて甘い相手じゃないということだ。

常に次の行動を考えている動きをしている。


「【剣術】"剛砕斬り(ごうさいぎり)"」


自分にも強化を掛けている。

だから、この攻撃は何とか避けられる。

避けて距離を取り、また仕切り直しを。

ベリーはそう思った。


「ベリーッ!」


聞こえて来たのは、神奈の珍しく取り乱した声。

どうしてそんなに焦ってるのだろうかと不思議に思う。


「・・・あれ?上手く、力入らないや」


いきなり力が抜けて膝から崩れ落ちる。

ベータの攻撃を見て、腰が抜けてしまったのかも知れない。

攻撃を仕掛けて勝ちに行かないといけないというのに情けない話だ。

早く動かなければと思ってもまだ動けない。

代わりに視線を動かすと、地面が赤く染まっているのが見える。


「おかしいな。赤なんてどこにも・・・」


身体に触れた手が真っ赤に。

やっと理解した。いや、理解せざるを得なかった。

流れているのはベリー自身の血。

ベータの攻撃を直接受けてしまったベリーは、深い傷を負ってしまう。

焦りは不思議と湧いてこない。

ぼんやりとした意識の中で弱い自分を恨むばかり。


「【全能の書】"瞬間的有機物移動"ッ!大丈夫!?ベリー!」

「大丈夫、大丈夫だから」

「こんな時に強がらないで。【全能の書】"回復の光"」


痛みが引いて、傷が塞がる。

これでまた動けるようになった。

だけど、怪我の具合は最早関係ない。

どうやって彼に勝てば良いか。

ビジョンが頭に浮かばないのだ。


「弱過ぎるな。雑魚とは言えもっと手応えがあるかと思ったけど、想像以下だ」


相手の挑発が心に響く。

自覚はしているが敵に突き付けられると痛い。


「ベリー、言ったよね。2人で勝とうって。大丈夫、私達強くなってるから。修行の成果、見せてやろう」


優しいフォローが神奈から入る。

仲間がいるっていうのは本当に心強い。

どれだけ絶望的な状況でも負ける気がしないから。


「ベリーだって強くなった。もう弱いなんて言わせない。行こう、カンナ」

「1度死んだ雑魚に何が出来る?精々、その小さい女の足を引っ張らない事くらいだろ?」

「言葉で動揺を誘おうとしても無駄。もうベリー達の勝ちは決まったから」

「調子に乗るのも良い加減しろ。僕はお前等に構っていられる程、暇じゃないんだ。【闇魔法】"メガシャドウアロー"」


勝ちへのビジョンを思い浮かべる。

強い気持ちが強い力へと変わる。

あの修行は無駄では無かった。

そう証明する為にここで全力を出す。


「【弱化歌い】"アンチマジックソング"!」


闇により造られた槍が歌声と共に消えていく。

敵の魔力の出力が徐々に抑えられる。

魔力はスキルの源。

それが制限されるという事は自ずとスキルの威力も弱くなる。

味方を強化、相手を弱化。

差は大きく広がる。


「舐めた真似するね。たかがスキルを抑えたくらいで調子に乗らない方が良いッ!」


ベータの顔には言葉とは裏腹に焦りが見えた。

反対に冷静になるベリー。

スキルも使わず攻め込むベータに、一切の恐怖を感じない。


「【弱化歌い】"アンチパワーソング"」

「だからどうした!」


魔力の次は筋力も弱体化。

普通の人間よりも遥かに弱い状態が完成した。

止まらないベータに向かって、渾身の拳から繰り広げられる一撃をお見舞いする。


「カハッ!」


口が切れて少しだけ血が出ている。

ただそれだけなのに大袈裟に地面へ転がっていた。

今まで強いが故に怪我の1つもまともにした事がないのだろう。


「ほら立ってよ。ベリーの戦い方見せてあげる」


ベリーは力強く拳を握った。

ご覧いただきありがとうございました。

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