001話 青春は恋愛ゲームの中に置いてきた
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青春と言われたら何を思い浮かべるだろうか。
友達との熱い友情?
いや、違う。
汗水流して打ち込む部活動?
いや、違う。
可愛い幼馴染との楽しい恋愛!
これ一択に限る!
人は恋愛をする為に生きていると言っても過言ではない。
・・・、多少は過言かも知れないが、大体の人の頭の中は恋愛ばかりと相場が決まっている。
俺、古井士郎も絶賛大恋愛中なのだ。
『べ、別にこのお弁当はアンタの為作った訳じゃないんだから!』
「可愛いなー。照れちゃって。本当はそんな事思ってない癖に」
『何よ、ニヤニヤしちゃって。・・・感想、教えなさいよね』
「サイコーーー!可愛い過ぎだろ!」
あまりの可愛さにテンションが上がる。
ツンデレからしか摂取出来ない栄養素があると絶対に俺は思うんだ。
あー、こんな子が彼女な俺って人生勝ち組だな。
「おい、画面見てニヤニヤして気持ち悪いぞ、士郎。てか、わざわざ学校に携帯ゲーム機持って来て恋愛ゲームするならリアルで恋愛しろよ」
「おいおいおい!蓮也、今のは聞き捨てならねーな。この"ドキドキラブリーデイズ"を馬鹿にしたのか!言いたい事は分かるが、俺の彼女を馬鹿にするのは許さねーぞ!」
「そのゲームは馬鹿にしてねーよ、お前を馬鹿にしたんだ」
「なんだ、なら良いか。・・・って!尚更良くねーよ!」
目の前で俺の事を軽く罵る彼の名前は、鷹越蓮也。憎くもイケメンでスポーツ万能の成績優秀な男だ。
幼馴染でなければ一緒交わる事の無かった人種だと思っているが、相手も似た様な事を思っているだろう。
俺達はただの腐れ縁で繋がった少しだけ気の許せる関係ってだけ。
「お前は良いよな恋愛に困る要素が無くて」
「モテるってのも困り物だぞ。女の子達のドロドロとした争いに巻き込まれるんだからな。見えない所でやってるのが余計にタチ悪いよ」
「見えてる所でやられても嫌だっての」
「た、確かに!珍しくまともな事言うな士郎」
なんて、失礼な事言うんだ。
俺はいつだってまともだろ。
ただ、ちょっとだけ二次元にのめり込んでいるだけ。
それ以外は普通だ、普通。
「ねぇ、鷹越くん。ちょっと良いかな」
「えっ、今?」
急に同じクラスの女子生徒に話しかけられた蓮也。
チラッと俺の方を見るが行ってこいっと促す。
俺との会話なんて、中身の無くて特別なことは無いいつでも出来る様な話なんだから。
それよりも勇気を持って話し掛けて来た女子生徒の気持ちを優先してやれ。
まぁ、結果は見えてるけどな。
また1人の時間に戻る。
でも、大丈夫だ。寂しくなんかない。
この恋愛ゲームをしている時だけは、恋愛とは縁のない俺のつまらない日常を忘れられるのだから。
「きゃーー!!!何これ!」
「おい!床から変な光が出てるぞ!」
「これはお約束って奴ですな!」
突然、教室は朝方の日差しより眩しい光に包まれた。
視界は徐々に真っ白になり、目を開けていることすら困難になる。
三者三様に混乱するクラスメイト達の声だけが聞こえる。
だけど、俺は不思議と冷静だった。
二次元には詳しい方だからな。
「俺もついに異世界デビューか」
この状況で呑気にもそう呟いた。
───
「ここは・・・?」
広い空間に西洋の屋敷みたいな装飾が施されている。
何となくどこかの国の王様の城だろうという想像が出来るが、ここはお約束として口に出してみた。
「ひゃほーーー!異世界だ!」
「ねぇー、怖いよここどこ?」
「俺達はさっきまで学校に・・・」
周りには同じくクラスメイトが混乱したまま辺りを見渡していた。
現実世界ではあり得ない光景に泣き始める者まで。
それも仕方ない話だ。
ここに来れば、空気感だけでこれが大掛かりなドッキリではないと察せれるのだから。
そのタイミングで1人の男がやって来る。
派手なお召し物に、立派な髭、良い物を食べて出来たであろう肉の詰まったお腹は如何にも国王という感じがする。
遅れて、その妻と思われる女性が隣に付く。
クラスメイトは全員2人に注目していた。
この状況を知っているであろう人物だ。
だから、藁にもすがる思いで助けを求めたい。
「いきなりお呼びしてすまない30人の勇者達よ。ここは、君達のいた世界とは異なる世界、ヨルイーブン。そして、私はこの国、タタルトの国王のマックジー・タタルトだ」
「場所とかアンタが誰とかなんかはどうでも良い。なんで俺達がここに集められたのかだろ」
蓮也がクラスを代表する様に問い掛けた。
だけど、この問いは意味を為さない。
何故なら、こんなお約束の展開で返ってくる答えは、元より1つしかないのだから。
国王はその問いが来るのを待っていたと言わんばかりに、一歩前へ出て改めて畏まりながら声を張る。
「君達にはその異質な力を使って、魔王を討伐して貰いたい」
魔王討伐。
よくある転生物の始まり。
だけど、実際に起こってみると不安が大きい。
何も知らない世界でただ漠然と魔王討伐を掲げられても、一部例外を除いて殆どの人は、はいそうですかとはならなかった。
「ふははは!キタキタ!ここから僕の異世界伝説が始まるだ!」
「ちょっとオタク達うるさい!魔王とか意味分からないし、アタシは嫌なんだけど」
「そ、そうですよ。も、もも、もしかしたら死ぬ可能性だってある危険な話ですよ」
「みんな!落ち着こう!」
クラスを代表するイケメンのもう1人、委員長の尾美水夏が、クラスをまとめ上げる様に声を掛ける。
イケメンと言っても性別は女子なんだけどな。
所謂、王子様系女子ってやつだ。
「私達はどう足掻いてもこの世界から逃げ出せないと思う。だから、少し話を聞くべきだよ」
「ありがとう。彼女の言う通り、君達が元いた世界に帰る方法は限られている。私達がしっている方法は、魔王が持つ秘宝での帰還だけ。しかし、君達には強要するつもりはない。戦闘に参加しない者もそれなりの待遇を約束しよう」
帰る方法は1つじゃないのか。
確実な方法が魔王の持つ秘宝なだけで、無理にリスクを犯さなくても帰れる可能性はある訳だ。
とはいえ、ここで要求を呑まないと何も知らない世界で自給自足の生活が始まる。
それだけは避けたいから、大人しく従っておくべきか。
「戦わなくても良いのなら」
「まぁ、確かに。それに行く宛なんて無いし」
クラスの意見はとりあえず国王の命令に従う方向で進む。
この国王が悪い人かどうかは判別出来ないが、そもそも魔王討伐なんて乗り気にはならない。
死ぬ可能性がある場所に自ら進んで行くなんて正気とは思えないだろ。
俺も非戦闘員としてのんびり異世界を堪能するか。
はぁー、どうせならドキラブの世界が良かった。
「それでは30人の勇者にはステータスの確認をさせてもらう」
国王がそういうと背後の扉からゾロゾロと従者が現れて何かの準備を始めた。
国王という階級の人間がやけに無防備に俺達の前へ出るものだと思ってたけど、後ろにはしっかりサポートがあった訳だ。
尚更、断った時のことを考えると恐ろしいな。
ご覧いただきありがとうございました。
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