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7/13

冷凍倉庫の出来事と、自宅での体験

 私の叔父の知り合いからの話だ。仮にAさんとしておく。

 Aさんは、その日ある冷凍倉庫に配達に来ていた。地震が起こり、津波が来る。その時、冷凍倉庫の人から言われ屋上へと避難した。

 そこで、Aさんは過ごした。

 周りからは「助けてください」と声がいくつも聞こえた。

 夜になると、段々とその声が小さく少なくなってきた。

 3/11は雪が降っていた。かなり寒かったのを覚えている。

 Aさんは、「助けてと言われても、助ける方法もないし助けられない」と言っていた。




 もう一つは、私が体験したことだ。

 実は、この1週間である出来事に遭遇した。

 夜になると、外から足音が聞こえてくるのだ。一人、二人じゃない。3~40人の足音だ。

 電気がつくまで、ずっと聞こえていた。

 叔父曰く「そろった足音だ」と言っていた。私は「いや、足音はずれていた。一人一人の足音だった」と記憶している。母曰く「時折、窓を叩いてた」らしい。

 寝ていると、外から聞こえるのだ「ザ……ザザ……ザザ……ザ」と。

 砂利道を擦るような音だ。実際に、砂利が置いてあった。だが、砂利がある場所と茶の間は離れている。


 一瞬だけ、車のライトか何かで家の前が照らされたことがある。

 そこには、何の影も映っていなかった。


 助けを求めていたのかもしれない。津波によって一瞬で死んで。死んだことが分からないから、家族がどこにいるか分からないからここまでやってきたのかもしれない。

 もしかしたら、ただ聞きたかったのかもしれない。「家族はどこですか」「家が津波でなくなったんですけど……」

 それでも、私はカーテンを開けることも、ドアを開けることもできなかった。

 してはいけないと思ったからだ。

 霊感がある母も同じことを言っていた。「窓は開けるな。入ってくる」



 今は、もう聞こえない。それでも、ずっと耳に残っている。


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