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4/13

3/13~3/16

 寒いので、石油ストーブを付ける。上は網になっているため、やかんやフライパンをのっけてホットケーキを焼いていた。

 母は、「せっかくだから」と鍋で米を炊いていた。最終日あたりには、いい感じのところまでいった。

 幸いにも、数日前に地震に強い水道管にしたため水は出る。ガスと電気は出なかった。


 小学校のころから親交があった先輩たちが学校の体育館にいると知った時、私は会いに行こうと出ようとした。祖母がアルミホイルで包まれた何かを渡してきた。

「〇〇ちゃんたちに、あげておいで。避難所は甘いのが出ないはずだから」

 中身はさっき焼いていたホットケーキだった。祖母なりの気遣いだろう。私は「わかった」と返事をし、袋に詰めて体育館へと向かった。


 体育館に入る。みんな、なんとなくスペースを決めてそこに布団やシーツなんかを引き寝ていた。

「〇〇先輩。お疲れ様です。これ、うちの祖母から」

 挨拶をして、ホットケーキを渡す。多分、喜んでいたとは思う。

 一言、二言話して体育館を出た。周りには、仕切りなんてものはない。ああいったものが入ってくるのは、もっと先の話だ。


 配達業をしてた叔父が戻ってきた。叔父は一言「お前、〇〇君知ってるか?」

 〇〇は、中学校の同級生だ。あまり面識はないが、幼稚園が一緒だからまぁ、あいさつ程度はする。

「どうしたん」

「〇〇くんな。津波にのまれて死んだんだ」

「……そっか」

 何を言えばいいか分からなかった。あまり面識がないから、何も言えなかった。




 そういえば、家の前に毛布をかけて置いていた。祖母曰く「困った人が持っていけるように」らしい。

 実際に毛布が数枚なくなっていた。確か、声をかけてきた人もいたはずだ。戻ってはこなかったけど、毛布がどこかで役に立ったのならそれでいいか。


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