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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

闘って得たのは名声と強さとーーー インハイ優勝したらモテ期来た

作者: ワン太



市内の総合体育館。

ここで行われているのは、高校インターハイ決勝戦。

リングでグローブとヘッドギアを身に付けた二人のアマチュアボクサーが向かい合う。

そして、渇いたゴングの音が始まりを告げた。

迫力あるジャブを繰り出し威嚇する。



「シッ!」

「……っ」



反応良く右手でパーリーするが、相手は威力を殺しきれず顔に喰らった。

急所に向けて右ストレートを矢継ぎ早に放つ。

すると、相手は絶妙なタイミングで俺の右に左フックを被せてきた!



「(クロスカウンター!?)」

「俊彦! 打て!」

「……!」



凛とした美しい声音ーーー赤坂凛華先輩の声だ。

俺が落ち込んだ時、いつも側で支えてくれた。

今だってそうだ。

俺の恐怖や焦りは消え、冷静になった。

前足を蹴り、相手の右足の外側に付ける。

普段の先輩との走り込みで鍛えた強い足腰とダッシュ力がここで活きた。

驚愕し固まる相手の顎に向けて右を撃ち抜いた!

ひっくり返った相手は背中からリング上で大の字になった。



『ダウン! ーーーワン、ツー、スリー……」



俺は口で大きく吸い込みながらニュートラルコーナーに向かう。

相手が倒れた瞬間、俺を何かが襲った。

黄色い歓声と大きな拍手喝采が全身に浴びた。



「やった! 俊彦が倒した!」

「スゲェェ! 恐ろしい!」

「………!」



頼む、終わってくれ。

そのまま寝てろ。

立たなきゃ、俺が王者だ。



『エイト、ナイン、ーーーテン!』



レフェリーが腕を交差させて終了を告げた。

勝ち名乗りを受けた俺がリングを降りると再度、拍手喝采と称賛を浴びた。

顧問と先輩に挨拶し終えて体育館を抜ける。



「俊彦! 帰ろうぜ!」

「悪い、昌人。先帰っててくれ」



俺は体育館裏で人を待つ。

鼓動がバクバクと早鐘を打つ。

心臓が破裂しそうだ。

試合より緊張してるかもしれない。



「俊彦! 待った?」

「いえ。すみません。急に呼び出して」



俺の目の前に居るのは制服に着替えた赤坂凛華先輩だ。

黒髪の艶やかな長髪とパーツの整った顔立ち。綺麗系より可愛い系の女性。

凛華はニコッと心が癒されるような笑顔を浮かべる。



「いつものことでしょ。で、用事って?」

「あぁ、言いたいことあって。先輩ーーー俺と付き合ってください」



俺の告白を聞いて、凛華は火が出そうなほど顔を真っ赤に染めた。

だが俺も同じくらい顔が赤くなってる自信があった。

凛華は口をパクパクさせ、しばらく考え込むような仕草をした後、口を開いた。



「俊彦。いつからあたしのす……好きだったの?」

「初めて会った時から。一目惚れでした」

「そ、そう! ……俊彦。あたしを、俊彦の彼女にしてください」

「ーーーこちらこそ、よろしくお願いします」



こうして俺は先輩の彼氏になれた。



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