え、そんなに!
「ガルルルル」
ど、どうしよう! 戦えるけど気絶しかけているマーシャをかばいながら戦うのは……
あ、そうか。
『水よ、マーシャを守り給え』
水防球をマーシャに張った。
さてこれで……
「ナミ、どう料理してやろうかしら……!」
「そうニャね…… 食べれるかもしれないから消し飛ばさないようにしなきゃニャ」
「ガ、ガル……」
私たちの殺気に気づいたのかオオカミは後ずさりし始めた。
お金になるかもしれないし逃がすもんか……!
逃げられる前に殺っちゃおう!
「ナミ! 回り込ん」
「ニャ!」
言い切る前にナミは地面を蹴りオオカミの後ろに回り込む。
オオカミが移動したナミに気を取られているうちに!
『水よ、押しつぶしたまえ』
そう祈り手を勢いよく合わせる。 するとオオカミを包み始めていた水の水圧が上がっていきオオカミの首の骨を折った。
「夕飯ゲットニャー」
「でも転生してからまだ何も食べたことなかったわよね。 これを食べて大丈夫なのかな……」
私は横たわっているオオカミを見た。 確かに丸々太っていて食べようと思えばいけるかもしれない。
まあ、マーシャに聞いてみないと分からないんだけどね。
「マーシャー、起きてー」
「んん……?」
マーシャはまた寝ぼけながら起きてきた。
「え! 私はまた気絶してしまっていたのか!?」
「うん、それはもうぐっすりと」
「なんということだ…… 元領主だというのに情けない……」
「ところでこの鋭牙狼はどうしたのだ? この動物は希少で一匹二十万位するのだが……」
「え、そうなの!?」
まさかこの太った狼がそんなにするとは…… この世界恐るべし……
「じゃあこの子は持っていこうかな」
そう言いながら私は鋭牙狼を水で包みボール状にして運べるようにした。 いざとなればこの使い方で私たちも移動もできるかも。
「なあ、海凪よ。 そなたは頻繁に魔法を使っているようだが体力は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、私の魔力は無限だから」
「……え!? 無限だと!? ならいつまででも魔法が使えるのか!?」
「う、うん」
驚くのも分からなくもない。 現実で言うところの無限に走り続けられる、みたいな感じなんだもんね。
そう考えるとチート能力なんだなあ。
「それでマーシャ、ここがどこだかわかる?」
「ここか…… 多分ここは国の外れにある村、ハイラ村の近くだな。 ここならまだ噂も届いていないだろうし数日は安全だろう」
「じゃあ一日くらい休む?」
「ああ、そうしよう」
そうして私たちはハイラ村に向かって歩き始めた。 今、ハイラ村で何かが起きているのも知らずに……
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