第二話 混乱しています 1
こんにちは。
第二話の「1」になります。
早速追いつかれました(苦笑)
けど、出来るだけ煩雑にならず、かつ失踪もせず、推敲もしっかり行いながら投稿・公開を行っていきますので、これからもよろしくお願いします。
「ど・・・どういうこと!?」
鏡の前で何度見ても、鏡の中には見覚えの無い男の人が映っている。
ううん、それだけじゃない。
胸もペタンコになってるし、肩幅も少し大きくなってるし、それに・・・
その・・・下に、無いはずの物が・・・
頭の中がごちゃごちゃになっている鏡に映る男の人の後ろにお母さんがゆっくりと通り過ぎていった。
「あっ・・・」
そうだ、お母さんなら・・・
「お母さん!」
僕の一言に振り向くお母さんだったけど、その顔は普段と変わらなかった。
「僕、変だと思わない?」
「・・・変?」
どこが?
そんな顔をしているお母さんに、何故かこっちが戸惑ってしまう。
「ほら、それよりも早く学校に行ってきなさい」
「学校って言われても、ぼく・・・」
どうすればいいの。
なんで僕、男の子になっちゃってるの。
頭の中がぐちゃぐちゃで、何から考えれば良いかわからない。
お母さんも、それ以上は何も言わずに洗面所から出て行っちゃった。
「そうだ、お父さんなら・・・」
洗面所を飛び出しリビングへ向かうと、テレビの声を聞きながら新聞を読んでいるお父さんの姿があった。
「お父さん!」
その声に反応したお父さんだったけど、やけに塩対応というか。
「どうした?」
「え・・・えっと・・・」
「勉強でわからない事でもあったか?」
「え・・・あ・・・えっと・・・」
普段通りのお父さん。
でも、それが僕にとっては違和感しか無い。
『わからないこと』って、今の僕の状況が『わからないこと』なんだけど。
「僕、変かな?」
「変?」
お父さんの疑問の眼差しが全てだった。
「・・・ううん。なんでもない」
もしかして、お父さんもお母さんも、僕の変化に気付いていないのかな。
・・・ううん、そんなはず絶対ない。
昨日のお父さんもお母さんも、ちゃんと僕を『女の子』として見ていてくれていた。
お母さんとに至っては、お母さんのいたずらに少し疲れたくらいだし。
でも、それならどうして・・・
自分の部屋へ向かい、制服に着替えようとソレに目を向けた瞬間、そこにあるのが学ランとズボンだったことに気付く。
「・・・これって」
コレがここにあるってことは、昨日まで『男の子』だったってこと?
「・・・・・・」
頭の中が熱を帯びだし、煙も浮かび上がってきていた。
なんで、こんな事になってるの。
まさかと思い、頬を強くつねったら、そこから強い痛みが生まれた。
「どうして・・・」
昨日まで、間違いなく『女の子』だった僕は、夢の中の僕だったの。
夢の中の僕が色んな事をしていて、その夢から目が覚めたの。
・・・だったら僕、寝過ぎでしょ。
「・・・・・・」
なんて言ってる場合じゃないか。
「天音、もうすぐ朝食済ませないと時間なくなるわよ!」
お母さんの声が向こうから聞こえる。
もう、こうなったらどうにでもなれだ。
パジャマを脱ぎ捨て、ズボンとカッターシャツを身に纏う。
今までスカートだったからか、脚に感じる布地の感触が、善くも悪くも違和感に思う。
学ランも羽織ってリビングへ向かうと、テーブルにお味噌汁を置くお母さんがクスクスと笑い始めた。
「さすがに学ランは早いわよ。まずは朝食済ませてからでしょ?」
「え・・・そう、なの?」
「そうよ。今までそうしてきてたのに、寝坊助さん?」
「あ・・・えっと・・・」
今までって言われても、こっちの世界の僕の生活スタイルなんてわかるわけないよ。
「いただきます」
ため息混じりにお箸を持ち、お味噌汁に口をつける。
具材は違うけど、今まで慣れ親しんだお味噌汁の味。
それを感じるとまた、頭の中で不気味な何かが僕の思考回路を阻害してきた。
「ほら、お父さんも食べないと遅れるわよ」
「あ、ああ。そうだな」
横目でお父さんの姿を見ると、僕の向かいの席で腰を下ろしながらも、何か言いたげな雰囲気になっていた。
「どうした?」
「え・・・?」
「なにか、あったのか?」
「え、えっと・・・」
言えるわけが無い。
『男の子になってる』なんて言ったら、さっきのお母さんと同じ反応をされるに違いない。
そんな事を思うと、首を横に振る事しか出来なかった。
「ごちそうさま」
何をどう考えれば良いのだろう。
僕は、これからどうすれば良いのだろう。
お茶碗の上にお箸を渡し、カバンと学ランを手にしては、お母さんに怒鳴られるよりも先に玄関を思い切り開けた。
公開は不定期になります。
基本的には以下の内容を目標に公開していく予定です。
・日曜公開
・18時公開
・週に一話〜半月に一話ペース




