学校
はい、シンデレラです、12歳になりました。
学校へ入学します。
今日の私の格好は、くすんだブロンドの髪にぼさぼさの三つ編み、黒縁瓶底メガネです
最近はずっとこの格好です
街歩きは好きなので偶に歩いていたけど
普通の格好で外に出ると
男性の露骨な視線が酷くなってきました
顔、全身、顔と見られて、ニヘラとされてナンパ
このパターンが固定化されました
自分で言うのもなんですが
順調に超美少女として成長してます
もうね、謙遜とかそういうレベルじゃないのは明白
シンデレラで可愛くないなら他の人は何?
となるレベルです
前世地味子の私としてはそういう男性の視線に慣れていないので正直キツイ
光り輝く金髪が注目を集め、虫を引き寄せているとは
お母様談、その通りだと思います・・・
因みに王子は24歳、未だに婚約者のこの字も有りません
うわー、本当に止めて欲しい。
学校の方は、リゼ姉様とシア姉様が
「私達の妹が入学するの、よろしくね?」
と、根回しをしてくれたお陰で、2年生と3年生の先輩方からも良くして頂けると言う事で安心しています
全四年制の学校で、12歳入学の16歳で成人卒業なので
私シンデレラ12歳、アナスタシア姉様13歳、マリゼラ姉様14歳とほぼ隙なく姉様達が居るのは心強いですね
姉様達が居なくなる時には私が最上級生となりますし
一先ず、学校生活はなんとかなると思います。
そうそう、入学して最初の授業は皆で自己紹介なのですが
くすんだ髪にぼさぼさ三つ編み、瓶底メガネの私が挨拶すると
「ぷ、なんだ、アレ」
「もう少し身嗜みを・・・」
「び ん ぞ こ (笑)」
「地味」
みたいな声が挙がって安心致しました
変装完璧!ふっふっふー
これで地味子シンデレラとなりますが
仮にこのままいって、舞踏会が開催されても
金髪美女シンデレラと地味子シンデレラは同一人物とはならないでしょう、とのお母様の案です。
自分の自己紹介を終えて、他の人の自己紹介を聞いていると出会いました
きっと生涯の友達になると思います、なぜなら・・・
「シーラ・スノウです、よろしくお願いします」
と自己紹介する女の子、この子確実に転生者!
だって格好が三つ編みに瓶底メガネなんて私と被ってる
この発想、基本的に日本人じゃないと出て来ないと思うんですよ
地味な子=瓶底メガネ、三つ編み、って
しかも「シーラ・スノウ」って名前、これ
シーラ・スノウじゃないですかね?
真偽を確かめにお昼になった瞬間に突撃です
「あの白雪さん、お話したいんですけど良いですか?」
「はい、私も貴女と話をしたいと思ってました、シンデレラさん」
ニコリと答えるスノウさんの瞳は雄弁に語って、、
ゆう、べんに・・・
お互いに瓶底メガネだから目が見えん・・・
何処からか「ダブルメガネ(笑)」とか言われます
聞こえてんぞコラ・・・
中庭のテーブルスペースへ移動して来ました
此処は障害物が無いので周囲に人が近付いたらすぐに分かります
「シンデレラさん、先に確認したい事が」
「はい?」
「生麦、生米、」
「なまたまご?」
「青巻紙、赤巻紙、」
「きみゃきがみ」
「隣の客は」
「よくかききゅーきゃくだ」
「東京特許」
「きょきゃきょくきょくちょー」
「・・・」
「・・・」
うん!言わんとする事は分かる
日本人しか分からない事を言って、答えられたら日本人かつ転生者と確認出来るんだよね?
けど、すまん、滑舌悪くて・・・
「ごめんなさい、」
「あ、いえ、こちらこそ、舌回らなくて・・・」
「ふふ、初めましてシンデレラ、日本人だよね?」
「うん、初めまして白雪姫」
はい、白雪姫と友達になりました。
彼女、白雪姫ちゃんは私と同じ転生者です
気付いた時には転生していて何で死んだかは不明
「所でシンデレラ、貴女なんで学校に来ているの?
しかも何、その変装」
白雪姫の疑問も当然です
まさかシンデレラが継母義姉達と打ち解けて仲良く過ごしているなんて想像も付きませんからね
物語通りならシンデレラは絶賛いじめられ中で
学校なんか通わせて貰えません
そのシンデレラが学校に来ていて、しかも謎の地味子変装
これまでのことを説明します。
「へえー、継母がいい人だったんだ」
「うん、姉様達も優しくて、そういう白雪姫こそ来る国、間違ってない?」
「私? 私は物語を巻いて終わらせたから」
「物語を、巻いた?」
「そう、白雪姫の物語知ってる?」
「もちろん、えっと・・・」
鏡よ鏡、鏡さん、この国で1番美しいのは誰だい?
って始まって、嫉妬に狂った王妃が白雪姫に毒林檎を食べさせ昏倒
その後、王子様のキスで目覚めてハッピーエンド。
「この国で1番美しいのはって、この国って何処だと思う?」
「え?隣国辺り?森の多い国、有るよね?」
「当たり、わざわざ毒林檎も食べたくないし
白雪姫の私が国を出たから、あの国1番の美人は誰でしょうね?」
「え、ストーリークラッシュ?」
「うん」
「ありなの?」
「アリじゃない?別に物語に縛られてる訳じゃないし、白雪姫の次に美人の人が毒林檎食べて王子にキスされんじゃないかな?」
「うわ、エグいやり口!」
1番の白雪姫が国外に出たから、2番目以降で美しさ競えば?
なんて凄い皮肉だよね、特に妃様にとっては
「アハハ!眠ってる間にキスしてくる王子なんてイヤだし、勝手にやってればいいのよ」
「え、じゃあ、その変装はなんなの?隠す必要なくない?」
「やー、これは多分シンデレラと一緒」
「私と?」
「ええ、貴女こそ何故瓶底メガネ掛けてボサボサ三つ編みなんかにしてるの?
それに髪も本来なら金髪でしょ?」
「それは・・・、まあ自分で言うのもなんだけど超美少女で男の人がゾロゾロと・・・」
「だと思ったわ、私もよ?
黒髪自体は珍しくないから雑な三つ編みにして、目元隠せば大体人相は分からないじゃない?」
そう言って白雪姫は三つ編みを乱暴に解き、瓶底メガネを外す
「うわ、美人・・・」
「でしょ?お互いに自分で言うのもなんだけど、よね」
「うん、ほら私も」
私も瓶底メガネを外して碧眼を見せる
「あー、もう目だけで分かるわ、シンデレラ超美少女だ・・・
何その瞳、宝石?」
「髪は染めてるんだ、お母様に言わせれば「光り輝く金髪が虫を引き寄せている」って」
「ぷは、誘蛾灯か!!」
「下町の散歩が好きだからブラブラしてたんだけど、すれ違う男の人達に付けられちゃって最近変装なしじゃ1人では歩けないんだ・・・」
「それは強烈ね私にも覚えがある、同情するわ、で?そっちの物語はどうなってるの?」
「えっとこっちは・・・」
王子は順調に独り身生活、このままだと私が16歳の時には舞踏会が開かれてしまう
さてどうしようか?と、いった状況を話す。
「成程、爵位もあって王命には逆らえないから舞踏会に行くのはほぼ確定か」
「そうなの、どうしよう?」
「んー、色々と有るけど基本的には受け身の対策しかないかな・・・
ちょっと長くなるから家に遊びに行ってもいい?
優しい継母と義姉も見てみたいし」
「う、うん、それは良いけど、白雪姫は今何処に住んでるの?」
「私?私は学校の寮生活、こっちに知り合いがいた訳じゃないしね」
「あ、そうなんだ」
「今度の休み、空いてる?」
「うん、」
という訳で白雪姫ちゃんとお友達になって週末作戦会議となります!