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和気藹々

「やば、国出ようかな」


「えっ!?」


「なんで!」


「あ、いや、なんでもないです・・・」


口滑った

将来何したい?なんて聞かれてて

訳の分からない例え話から突然国出ようなんて

完全に頭のおかしい子だ。


「シンディ、どういう事?」


「ヤ、ナンデモナイデス、シアネーサマ」


「誤魔化そうとしてもダメ、国出ようって聞こえたわ!」


「聞き間違いジャナイデスカネエ、リゼネーサマ」


何とか誤魔化そうとしたが

義母が前に立ちはだかり真剣な顔で迫る

「シンデレラ、答えなさい」


「はい・・・」

怖っ!

義母様その顔怖いわ!

もしその顔で虐められてたら絶対耐えられない・・・


全部言った、全部!オール!

転生の事も、これから起こりうる事も!

すると


「シンデレラ、貴女の言う事は俄には信じられません」


「・・・はい」

そりゃそうだ、前世の記憶があって

この世界のお話を知っている

しかも自分は王子に見初められる、なんて夢見がちな子供の戯言だ。


「でも、頭から否定もしません」


「え?」


「王子は今22歳です、シンデレラは10歳」


「はい」


「貴女の話を総合して判断すると、6年後のシンデレラが成人する年に王子は28で行き遅れていて、と言う話になるかと思います」


「そう、だと思います」


「実際今の王子に婚約者が居ない、そして婚約の話も出ていません

水面下では話があるかも知れませんが、婚約者候補の話さえも出ていないとなると恐らくシンデレラの言っていた通りの未来になる可能性は高い」


「・・・」


「王家の子供は王子1人、血筋で挙げるのならば大公様の御家も有りますが、あちらも後継の男子1人のみ」


因みに、現在の王様と王妃様、大公様、大公の奥様は皆同い年で

王子と大公様のご子息も同じ歳の22歳、乳兄弟で気心の知れた関係らしい

王様の側近、宰相として現大公様が

将来的には王子様が王様の後を継いで、大公様のご子息も大公様の後を継いで・・・

と言う流れらしい。


「ですが可能性は可能性、挙げたらキリがありません

シンデレラ、未来の有るか無いか分からないことよりも今の事を考えましょう?

王子に良い御方が見つかる可能性も十分にあります

近隣の諸国には歳の近い、または歳下の姫君も居ます

公爵や侯爵の娘も国内外に多数居るのですよ?」


確かに義母の言う通りだ


この世界が「童話シンデレラの世界」だとしても

既に義母と義姉達は元のストーリーを逸脱した、とても優しい人達となっている

私に至っては転生者とかいう例外中の例外中、イレギュラーだ

つまりバタフライエフェクトよろしく、これから話がガンガン変わって行く可能性も十分にある。



「まあ、シンデレラが将来について不安に思っている事は理解しました。

それは今後貴女の言う通りに沿った場合、私達は必ず協力します、それで一先ずは安心出来ませんか?」


「はい・・・、はい。」


「宜しい、では取り敢えずみんなでお風呂に入りましょう」


ニコリと義母が宣言する


「はい?」


「髪洗ってあげるわシンディ!」

「あー、姉様ズルい!私も!」


「な、なんで?」


「言ったでしょう?あの人に言われて貴女とは距離を取らされていたと、本当は仲良く時間を過ごしたかったのよ

灰も早く落とさないと肌と髪が荒れちゃうわ」


「シンディは綺麗過ぎるから、良い染髪剤も探さなきゃ」


「染めて、眼鏡を掛けて、地味な服装にしたら流石に目立たなくなるだろうし」


「本当は綺麗にオシャレしたいけど、シンデレラの場合は過剰な美になってしまうから・・・」


「は、はい、それはまあ静かに暮らしたいので是非とも地味に・・・」


「あと、それ止めてね!敬語」


「え!?」


「そうだよ、家族なんだから」


「私、妹欲しかったんだよね、シンディよろしくね」


「う、うん、よろしくお願・・・、よろしく、かあ様、姉様」


「きゃっー!可愛いわ、撫で回したかったの、肌もすべすべだし、灰被っているのに匂いも隠しきれてないし」

スリスリとシア姉様が頬擦りをしてきた


「あ、シア姉様、灰が付いちゃう・・・」


「いいのいいの、今から一緒にお風呂入るんだから」


「お風呂お風呂ー!」


ハイテンションではしゃぐ姉様達、優し過ぎない?

まあいじめられたくなんてないから家族関係が良好なのは望む所だけど。



こうして私の少し変わったシンデレラ生活は幕を開けた。




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