上姉下姉。
「シンディこれからは気を付けなさい、貴女母親似だからこれから育ってボン、キュッ、ボンになるわよ」
「え」
「エルティーナの生き写しだもの、きっと細くくびれている癖にスタイル抜群になるのは見えているわ・・・」
「母を知っているんですか?」
「知ってるも何も学校の同期だもの、よく世話を焼いたのよ、あの子も美人の癖にポヤッとしてるから隙があって男共に・・・」
「お、ふっ」
「まあ、過去の事はいいのよ
邪魔者が居なくなったから、やっとシンディと仲良く出来るわ!」
父よ、貴方は泣いていい、酷い言われようだ。
「シンディ、私の事はマリゼラ、リゼ姉って呼んでね!」
「私はアナスタシア、シア姉!」
「あ、はい、私は・・・」
「「シンディ!」」
「はい」
「私のことは好きに呼んで良いわ、エルティーナの事もあるし・・・」
「えーと、じゃあ義母様で・・・」
そもそも母は物心付く頃にはもう居なかったのでそんなに気にしていない
義母はその辺り私に遠慮したのだろう、随分と優しくて困ってしまう。
「ふふ、母と呼んでくれるのね、ありがとうシンデレラ
これからは仲良くしましょう?
習い事も見直して、好きな事をすれば良いわ」
「え、あの」
「嫌だったのでしょう?習い事、マナー、ダンス、教養全般に、楽器」
「あ、はい」
勉強自体は別に嫌いでは無い
ただ父が連れて来た教師が片っ端からキツイ人ばかりでウンザリしていただけ
転生者の記憶は父が亡くなる前後で思い出した
シンデレラの記憶も有る
何処そこの誰々さんは5歳で出来ましたよ、とか
この程度も出来なくて王妃?、とか
失敗する度に鞭で叩かれたり、とか
最悪オブ最悪な教師ばかりだ
私は誰々さんでは無いし
王妃になるなんて言っていたのは父だけだし
失敗して鞭で叩かれる度に痛みと恐怖で動けなくなる、身体は強ばって失敗、するとまた叩かれる、と言った悪循環
アレ?こっちの方が酷くね?
シンデレラよ、いじめてきたのは義母ズじゃなくて家庭教師ズか?
「あんのクソ教師共なんて全員クビよ!
シンディを鞭で叩くなんて首を撥ねてやりたいわ!」
「ダンスの教師も棒で叩いていたわ、クビクビ!」
「まあ!そんな・・・、ごめんなさいシンデレラ、わたくしがあの人を止められなかったばかりに・・・」
どうやら義母は知らずに、姉達は何かと私の様子を伺っていたようだ
「あ、いえ・・・」
「お母様、これからは私達と一緒の教師にお願いすればいいわ!」
「そうそう、ダンスの先生も優しいし、お勉強の先生は口うるさいけど立派な先生よ
マナーの先生は少し厳しいけど鞭でなんて絶対叩かないから安心してシンディ」
「それは、楽しみです、勉強は嫌いじゃないけど、こっちの先生は全員嫌いだったから・・・」
「あら」
「ふふふ、シンディも言うわね!」
「まあ、あの教師陣は無いよね
叩いて出来る様になるなら教師なんて必要ないんだからアンタらが率先して辞めろって話よ!」
それは本当にそう思う
教師が悪い、では無く
生徒の出来が悪い、と責めるのは自分の教師としての技量をまず疑って欲しい
出来る子、出来ない子が居るんだから
この子はこの位のラインで合格点とか、得意だし意欲も高いからもっとハードルを上げてみようとか
色々と出来るだろう
まあ、それもこれも父が王妃!と言っていた手前
全部完璧に出来て当然、というハードルになっていたのだろう
父よ、すまん、貴方が原因だ・・・