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婚約?

「ダメよ!そんなことは許さないわ」


デューク様のお母様はそう言い放ち、コチラへとずんずん近付いてきます。

言葉の通り、とても厳しい表情でした


「母上、どういうおつもりで」


「そんな事は許さないと言いました」


「何故、彼女がダメだと?」


「デューク、座りなさい」


「母上答えてください、何故・・・」


「座りなさいと言っています」


「・・・」


1歩も譲らないお母様に埒が明かないと思ったのか

デューク様は渋々私の対面のソファーに座り・・・


「何をしているのです、床に座れと言ったのです」


「「は?」」

私もデューク様も呆気に取られますが、リュシエル様は怖い顔のまま床を指差し


「早くなさい」


「・・・」ス、


ソファーに座る私、目の前には仁王立ちのリュシエル様

リュシエル様の前には床に正座のデューク現大公様


なにこれ?


「デューク、貴方まだここに至って呑気に何を言っているのです」


「?」


「今、すぐに、婚約しなさい!」


「「はああー!?」」


婚約!?


「話は全て聞きました、セバスからも詳細な報せは聞いています。

デューク、貴方この歳になって何を呑気に「王子の件が解決したら」などと言っているのですか

つい先日シンデレラさんを奪われ掛けたというのに、この屋敷に消えた姫君が居ると嗅ぎつけられて、王子が訪問して来たらどうするのです!」


「いや王子だって流石に此処に押し入ったりは・・・」


「甘い!その油断が1度命取りになりかけた事をもう忘れたのですか!?

元々好いていた癖に、トゥラヴス家は当主不在だからとか、成人してから申し込むとか、へっぴり腰の弱腰ばかり!

今すぐに婚約を申し込まないなら、さっさと王子に引渡しなさい!」


「っ!」


はああー、ちょっと本当に王子様は勘弁して欲しいです・・・

というか好いていたって、デューク様の話も少し違う様な・・・


「シンデレラさん」


「はい!なんでしょうか!」


「不満かも知れませんが今はデュークと婚約してくれないかしら?

貴女の事は調べがついています、王子が嫌で嫌で堪らないのでしょう?

デュークが気に入らなかったら婚約破棄をすれば良いのです、勿論捨てられるのはデュークの方、貴女に迷惑は掛けません。」


「ほえっ!?」


「母上!何をっ」


「デューク、愛した女性がいつまでも自分の手元に居るなんて思わない事ね!

嫌なら必至に口説き落としなさい!

でもダメだった時に全ての不利益は貴方が全部受け止めなさい、女は婚約破棄となっただけで生きにくいの、良いわね!」


「は、はい・・・」


「よろしい、ではシンデレラさん。婚約しましょうか」


「あ、あの?」


「よく聞いて、ウチは良いのよ、大公家だから王家とやり合っても負けないわ

でもね、貴女のお家は? 仮の話だけど、貴女と消えた姫君が結び付いて王子にバレた時

王子がトゥラヴス家に行って婚約を迫った段階で終わりよ?」


「っ!!」


そうだ、ウチは伯爵家

王家から娘を差し出せと言われてしまえば当主代行のお母様は従う意外に選択肢は無い

断れば、伯爵家だけでなく、花嫁修業中の姉様達にも迷惑が掛かる


「理解したわね、大公家であるウチなら王家でも婚約者を横から取る事など許されません

事が片付いてデュークが嫌なら婚約破棄で良いわ、私が許します

窮屈な思いは絶対にさせないから私を信じて?」


「・・・」


どうする、と言っても選択肢は無い

王家の疑惑の目は確実にトゥラヴス伯爵家、私に向いているのだから

お母様、姉様、雪にも迷惑は掛けられない・・・

貴族を止めて姿を消しても一時的には凌げても

見つかってしまうと逆に後ろ盾が無くどうにもならなくなりますし・・・


よし!女は度胸!



「リュシエル様、御迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします」


「ええ任せて、義娘1人助けられない大公家じゃないわ」


険しい表情から一転、リュシエル様は笑顔になって私の頭を撫でて来ました。



「しかし母上、このタイミングでの婚約はどう考えて怪しまれる・・・」


「はあー・・・、デューク、貴方はなんですか?」


「な、なん??」


「ロード大公家、現当主デューク・ロード、王国宰相でしょう」


「ああ・・・」


「貴方とシンデレラさんは2年前から婚約していました、以上!」


「・・・いや、それは職権乱よ、」


「やりなさい」


「はい・・・」



王国のトップ2、国王様と宰相様

実務面では事実上国の頂点であるデューク様に不可能な事は無い


リュシエル様の筋書きでは

デューク・ロード大公とシンデレラ・トゥラヴス伯爵令嬢は2年前に婚約済みで

それを知った某家の手の者が気に入らないと私を誘拐、始末しようとして行方不明になったが

大公家の精鋭によって無事救出

当分の間は大公様のお屋敷に保護する事に、と・・・


2年前の婚約?

書類偽装・・・


某家?

愛しい婚約者シンデレラを攫ったとしてデューク様が激怒

実行犯は切り刻まれ、家は絶対の忠誠を条件に事を表に出さないとした・・・



この後、セバスさんとチュー太がトゥラヴス家から戻って来たのだけど

今度はリュシエル様の手紙を持って再び私の家に行く事になります


お母様も雪も驚くだろうなあ

明らかに騎士に追いかけ回されている私、かと言って助けにも行けない

数時間経っても拠点に来たという報告も来ない

そこへ突然ロード大公家からの遣いとチュー太が来て保護と無事の連絡


よかったよかったと思っていたら

また同じ人が来て、今度は大公様と私は婚約しました、と・・・


うん、どうしてこうなった?




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