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危機

「居たか!?」


「いいえ、ですが貴族街一帯は封鎖しております、今の所検問所からはネズミ1匹通しておりません!」


「探せ!近くに居るぞ、絶対に捕まえろ!」


と、騎士達が犯罪者を追っているかのように巡回が厳しくなっている

バレた?早くないかな、やっぱりさっきの騎士様かな・・・

でも黙って逃げたらそれこそあの場で追い掛けられていただろうし・・・


「ふう・・・」


時間を掛けて王都内全域を自分の足で歩いていて良かった

万が一という事で鬼ごっこの為に地図を片手に土地勘を鍛えていた甲斐があった

昨日の内に移動しておけば良かったな

まさか次の日の早朝に来てしまうとは思っても無かった

王子がそれだけ執着している証かな?





「チュー・・・、シンデレラ大丈夫でチュか?」

チュー太は心配そうに首元から顔を出した


「うん、大丈夫、何とかして囲いを抜けないと・・・」


「僕が偵察するでチュ!」


「お願い」


「チュ!チュチュっと鳴いたら人が居る、チュ!っと鳴いたら誰も居ないでチュー?」


「分かった。」


チュー太が来てくれて本当に助かった、1番怖いのは曲がり角でバッタリ遭遇だ

騎士と至近距離で鉢合わせたら絶対に逃げきれない

先手先手で人の位置を教えてくれるチュー太が居なかったらとっくに捕まっていた。


騎士とは言っても普段は城の勤務が主だ

体力では負けるけど、土地勘と目で上を行く



「チュ!」

チュー太の偵察を武器に鬼ごっこが始まった。







数刻後、私は追い込まれていた

直接遭遇していないけど、数に勝る騎士団のローラー作戦で逃げ場がジワジワと削られて行く


「はあ、はあ、はあ・・・」


「シンデレラ・・・、チュウ・・・」


「大丈夫、大丈夫・・・」


今、私は裸足だ、膝も擦りむいて痛い


1度危ない時に慌ててしまい転んだ

靴が脱げて、ギリギリ隠れてやり過ごしたけど

無造作に置かれた靴を見付けられてしまい捜索に本腰が入ってしまったようだ

あまり、いや、かなりマズイ・・・


「チュー・・・、残りは此処を中心に5区画だそうでチュ」


「そう・・・」



ハアーっとため息を吐いて、少し気を抜いてしまった

「あっ!居たぞ!こっちだ!」


「っ!!」


「チュチュー!!ヂューヂュー!!」


「うわっ、なんだネズミ!?」


騎士に見付かった瞬間、チュー太が飛び掛って気を引いてくれた、ありがとう!

姿を見失わせる様に、曲がり角を細かく刻む

だけど、後ろからガシャガシャと具足の音が迫って来ていた

「はっ、はっ、はっ、っ、っ!」


必至で逃げる、チュー太は頭が良い

引き際が心得てるからきっと無事だ

私は・・・


ガシャガシャガシャ!


「は、、は、、はぁっ!、」


ガシャガシャガシャガシャ!


近い!捕まる!!

走っても走っても音は遠くならない

後ろは怖くて振り返れなかった


「っ!?」

もうダメか、そう思ったと同時に脇道から手首を掴まれ引っ張り込まれてしまった。


逃げるのに一生懸命で失念していた

騎士に捕まってもアウトだけど、それ以外の人に捕まってもアウト

例えば近所の貴族、協力者、そして暴漢

貴族街と言っても影に住む存在は少なからず居る

地味に装っているとはいえ、中身はシンデレラ

暴漢だとしたら、さぞや魅力的に目に映る事だろう

私は諦めて騎士に助けを求める事にした


「っひ、や!誰か、たす、ンンンンンーー!!」


口を塞がれた、やばいやばい、誰か助けて!

必至に暴れる、暴漢にヤラれる位ならまだ捕まって城に連れて行かれた方がマシだ

正体がバレた時には、王家の捜索から逃げていた事もあるから

確実に城からは逃げ出せない事は確定する

それでも、流石に暴漢はゴメンだ

バタバタと暴れ、何とかして離れなければ!

バチン!とビンタの手応え


「ぐ、待て待て、私は助けに来たんだ、静かにっ、シーっ、シーっ!」


「はえ?」


助け?

どういう事?と私の手首を掴む人を見る


「え?」


最初に見えたのは灰銀色の髪

宰相の・・・、デューク大公その人が目の前には居たのだ。


「デュっ!?」


「シー・・・、こっちへ、安心して貴女を騎士団に、王家に差し出したりしないから」

人差し指を私の唇に当ててくる

落ち着いた声色、凄いイケボだ、この人!

失礼、大公様。


ていうか大公様、顔近い、ヤバイ、間近で見ると本当に好みの顔だ

学生間、社交界では「地味」と評される灰銀色の髪

容姿も「特筆する程では無い」と評されているけど

ぶっちゃけそんな事は無い。

「落ち着いた大人の色気」という印象が強い、いやまあ私好みの容姿だって理由何ですけどね?


「レディ シンデレラ?」


「は、え? なんで名前を・・・」


「それは・・・」

ガチャンガチャンガチャン!

具足の音が間近に迫る、やばい追われてたんだった!


「セバス」


「はい、シンデレラ様失礼致します」


「ほ、ぉあっ!?」

大公様が呼んだと思ったら、どこからともなく老執事が現れて私をお姫様抱っこして空へと舞った


本当に飛んだ、建物の屋根の上に着地をして私を降ろす


「シンデレラ様、暫し此処でお待ちを傍らに侍女を置かせて戴きますので御用があれば其方に」


「は・・・」


セバス?さんは飛び降りて大公様の横に並ぶ

待って、人1人抱えて屋根までジャンプって人間出来たっけ?

魔法は有るけど妖精しか使えないし、身体能力は基本地球と同じな筈・・・


「覗き込むとバレますよ、シンデレラ様」


またもや音もなく侍女さんが隣に控えていた


ガチャンガチャンガチャン!

「ここら辺に居るはずだ!探せ!!」


「騒がしいね、何かあったのか?」


「は、っ!?大公様!!失礼致しました!」


「うん、職務御苦労様、それでどうしたのかな?」


「は!件の舞踏会のご婦人らしき人が近くに居ると、捜索しておりました!」


「へえ、捜索、女性ねえ?」


「は!大公様どうして此処に」


「そこ、私の屋敷なんだよね、騒がしいから様子を見に出たんだ、なあセバス」


「はい、朝から具足の音と捕まえろ!等と物騒な言葉が聞こえましたので」


「申し訳ありません・・・」


「いいや職務だ仕方ないよ、頑張ってくれ。

朝から大変だね、差し入れを団の方に送っておくから終わったらゆっくり味わうといい」


「は!ありがとうございます!失礼致します!」


忠告通り覗き込むのを止めて、下の会話を聞くことに集中していた

本当に大公様は私の事は言わず、騎士と話をして追い払ってしまった・・・




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