舞踏会
白雪姫こと雪ちゃんと家族になって4年
楽しくも騒がしい学校生活も終わりを迎える最上級生
シンデレラの私も16歳になり
遂に、舞踏会が開催され参加する事に
事前に着飾ってどんなもんか試しました、すると・・・
「やば・・・」
「ヤバすぎ・・・」
「シンディ・・・」
「これは・・・」
皆、絶句しております
私のドレス姿を見て、口をポカーンと開けています。
「・・・」
姿見で自分の姿を確認します
「うわ・・・」
見事な金髪は変わらず、碧眼は年齢を重ねた事で瞳の奥に深い色合いが生まれ更に魅力的に
青いドレスは金髪と白く透き通る肌を引き立たせ
特に胸元はオフショルダーによって強調されている
この4年ですっかり女らしい体型になった私
脚はスラリと長く、お尻はキュッと上に引き締まり
腰はくびれ、胸は、かなり・・・
前世の地味子の時はギリギリ、び、Cあったものが
今世は余裕のごにょごにょ、くびれと細さも手伝って、更に大きく見える。
ぶっちゃけて言うと絶世の美女、いや美女という年齢でも無いか
16ならまだ少女に入るだろうから
絶世の美少女が姿見の中に佇んでいた。
「シンディ・・・」
「ん、何?雪」
「エッロッ!」
「ええ・・・」
「どエロね、女の私でさえクラっと来たから男なんて入れ食いじゃないの?」
「エルティーナも美人だったけど、シンデレラも負けず劣らず、ううん、この国1番かも・・・」
「シンディのお話疑っていたけど、王子様が行き遅れていて
実際シンディがここまで綺麗になると確かに一目惚れされるのも有り得るね」
「ね・・・」
「雪、どうする?」
「んー、二通りある、ダッサイ格好で行ってバレないようにするか、敢えて本来の姿で行って釣ってしまうか」
「釣る?」
「そう、ダッサイ格好で行って万が一にもよ?
逆に王子の目に止まって、眼鏡を外してみてくれなんて言われたら青い瞳を見られちゃうでしょ?
そうなると、その後逃げてから捜索された時に普段から瓶底メガネを掛けているシンデレラに辿り着きかねないわ。」
確かに、ダサい格好なんて王子の伴侶探しの舞踏会会場に行けば逆に目立つ
変に興味を引いてしまう可能性があるし
それで気に入られでもしたら、後の捜索の時にモッサリシンデレラはメガネ取ってみろとなるだろう。
「それよりは今後の行動が読める、本来の展開に持って行った方が利点があると思うの
金髪碧眼に目を眩ませてしまえば、もっさりシンデレラなんて絶対目に入らないし」
「うん、そうだね、確かに物語に沿った方が良いかも」
「でしょ?」
物語の流れで行っても青い瞳は見られてしまう
でも、シンデレラの判定材料は青い瞳ではなく
ガラスの靴がピッタリ合うかどうかなのだ
前者だと、青い瞳を特徴に捜索されるが
後者だと顔がどうこうではなくガラスの靴判定に誘導出来る利点があった。
という事で舞踏会当日、着飾って参加する事にした
「雪、会場、よろしく・・・」
「任せて、私は先に行ってるから、あとは計画通りに」
「うん」
先に雪を見送り仕込みをお願いする
私は少し遅れて行く
お母様達が見送りに来てくれた
「シンデレラ、気を抜かないでね」
「シンディ綺麗だよ、今回ばかりはそれが心配」
「無事で帰って来てね」
「うん・・・、仕方ない、いってきます・・・、って、あっ!」
「なあに?シンデレラ」
馬車に家紋が・・・
これはマズイ、私の身元がバレる
計画どうこうの話じゃない!
焦る私、そこへ
ポンッ!と音を立てて妖精のおばあさんが現れた
うん!ご都合主義よろしく!
シンデレラだからやっぱり来るんだね?
「困っているようねシンデレラ」
「「「だ、誰・・・」」」
「どうしたの?こんな綺麗であとは城へ行くだけじゃない!」
周囲の疑問も完全無視して話を進めるおばあさん、メンタルつえーな!?
「あー、馬車の家紋が・・・、ついでに御者も顔バレると・・・」
「びびで、ばびで、ぶー!」
ぽぽん!と音を立てて、別の馬車とネズミの御者
馬は魔法で用意したのだろうか?
「ありがとう、で、おばあさん貴女何者ですかね・・・?」
「うふふっ、王家に仕える魔法使いよ?
王子様の伴侶となる者に手を貸しなさいって言われたから来たの。」
「っ!」
待て待て待て、それはヤバイ
こんなちゃぶ台返しを平然と出来る存在が王家側に居るなんて
追われたらシンデレラは絶対逃げきれないじゃないか。
「あら、王家との契約もこれでお終い、私はこれで自由よ!やっと妖精の森に帰れるわ!
今後誰にも手を貸さないからそれは安心して?」
普通に心を読むな・・・
妖精パワーか?
と言うか、王子の伴侶となる者に手を貸せって、私に決まってるのか・・・
「現状、可能性が高いってだけでそうとは言えないけどね。
未来視の妖精だから可能性が見えるのよ私!」
「なるほどね、ありがとう妖精のおばあさん、でも家紋を消して、御者も馬車も別に用意してくれるなんて、どちらかと言えば私に力を貸しているように思うんだけど・・・」
「あらあら?王様は王子の伴侶となる者に力を貸してやれと言っただけだから間違ってないわ。」
「あー、つまり、シンデレラに力を貸しただけで、王子に有利に働く様にしろとは言われてないから、と?」
「うふふふふ」
怖っ!何、その底知れない笑顔
契約って言ってたけど、王家、王様の事嫌いなの?
「うふふふふふ、嫌いよ、私を騙して契約で縛り付けるんだもの、でもそれもこれでお終い!
あ、シンデレラ、貴女は知ってると思うけど魔法は・・・」
「12時、ですね?」
「ええ、では、良き未来を掴み取る事を祈っているわ、さよならっ!」
うーん、言うだけ言ってさっさと行ってしまった・・・
なんで王様は王子の伴侶を連れて来いと言わなかったのかくらいは聴きたかったけど
ぽん!
「あ、それはね」
来た・・・
「妖精は直接的な干渉はしてはいけないの、だからお手伝いだけ、じゃあね!」
ふむ、そうなると妖精さんは今後来たとしても
例えば王様が「舞踏会の娘を連れて来い」と言っても直接的には無理って事か
それに王家に恨みが有りそうな口振りだったし本当に今後は出てこなさそうだ
取り敢えず理不尽な魔法パワーで見付けた!捕まえろ!
の心配はないだけでも安心だ・・・
さあ、いざ舞踏会へ!