ハリル氏解任の是非
ハリルホジッチ氏が日本代表の監督を解任された。多くのサポーターやファンがこの解任に対して反対であるように思う。反対派の意見には以下のようなものが散見される。
「ハリル氏はリアクションサッカーが得意なのでWC本番でこそ輝くサッカーをするはず」
「親善試合の結果は関係ない、予選は一位通過している」
「日本人にやっとデュエルの必要性を教えてくれた」
「今回の解任は礼を失しすぎている」
「H田選手とK川選手やスポンサーの意向で解任されている、おかしい」…etc
まあ言いたいことは分かるし、共感できることもあるが僕は解任もまあありか、と思っている。
そのためこれらの反対意見に対して僕なりの答えを書いてみたいと思う。
まず、ハリル氏の真価は本番!という意見についてだ。この意見の根拠は彼がアルジェリア代表を率いて前回の王者であるドイツを追い詰めた、にあるのであろう。
また日本代表を率いて最終予選で初めて豪州に勝ったことも関係していると思う。親善試合では徹底的にテストだと割り切っているんだ、なんて意見もみた。
ただ、これらの根拠にはいくつか反論したい点がある。
一つは前回のWCだけで評価しすぎ、だ。ドイツを追い詰めたのは確かに凄いことではあるがたった一回である。
前年のプレミア優勝チームをCL圏から脱落させたモイーズという監督だってリーガ10位ちょっとのクラブを率いてバルセロナを撃破したことがあるのだ。
メッシとネイマールがベンチスタートであったことを踏まえても凄いことには変わりないと思う。何が言いたいのかといえば一回ぐらいならまぐれかもしれないだろ?ってことだ。
一回だけじゃない!豪州にも完勝したじゃないか!というかもしれないが、足元でパスつなぐ豪州に完勝したことを誇られても困るのだ。親善試合だったとはいえアギーレ時代にもそのスタイルの豪州に完勝している。またザックJ時代の豪州との試合は一試合目は審判がなかなか酷かったし、ニ試合目はまぐれゴールを決められただけのものだ。こういったことを踏まえればあの豪州に2-0はそこまで評価できる対象にはならないと思っている。
またハリル氏はコートジボワール時代、アフリカネイションズカップでベスト8で敗退している。これらを踏まえれば本番に強い!との主張には希望的観測が多分に含まれているように思えてならない。精々親善試合よりは本番では良いサッカーをする、ぐらいに留めておくほうが無難ではなかろうか。
次に、日本人に世界基準のデュエルの必要性を教えてくれた監督、これにも反論したい点がある。
まずデュエル、すなわち対人の強さを鍛えることを疎かにしてたのは何名かの生粋のJリーガーぐらいだ。年齢による衰えを除けば海外組は欧州に行った当初より明らかに体が強くなっているのが分かる。
で、A代表のメンバーをみれば欧州を経験していない常連の選手なんか昌子選手ぐらいだ。
またよくよく考えてみればデュエルのという言葉を使わなかっただけで球際、対人、といった言葉はこれまで様々な人が重要視してきた要素であることが分かる。
またこのデュエルに一番踊らされているのは恐らくファンだ。
香川選手がデュエル強くない、なんていう人をチラホラと見かけるがかれは対人勝率70%超えを記録したこともあれば、シャビ・アロンソを徹底的に消した事もある。日本のあのポジションの選手ではかなり強い部類の選手であるのだ。
まとめれば、球際、対人といった言葉をまとめてデュエルとして伝えたのがハリル監督であり、これを重要視していなかったのはにわかファンぐらいであり、その強度がリーグ全体で弱かったJリーグの選手にしか関係ない事であったと言いたい。
今回の解任は礼に欠けている。これには両手を挙げて同意しよう。実際失礼だったと思う。だが世界基準でいえばこんな解任劇はよくある。前年度いくらいい成績を残そうともフロントと意見がぶつかれば解任、なんて例は毎年のようにあるし、無くなることもないだろう。よって個人的には大騒ぎするほどのことでもないと思っている。
で、最後のとある2選手が解任の理由説だ。ハッキリいって真相はわからない。事実として豪州戦に出られなかったとある二人はそこで不満を抱えていたこと、協会に不信感を申し出た人がいたこと、はどうにもあったようだが。
WC出場を決める大事な試合に出られなかった二人が不満を抱くのは分かるし、そこで熱くなるぐらいじゃないと寧ろ不安なのでこれについては問題ではないように思う。
ただその後その二人の意向に基づいて協会が解任を決めたのならこれは問題だ、というのは同意する。
というかもしこの通りなら完全に協会が悪い。
試合に出られない選手が不満を持つのはある種当然で彼らが協会からのヒアリング時に愚痴をこぼすのは許されても、それを協会が鵜呑みにするのは駄目だ。
まあ大本のFIFA含め、サッカー協会なぞ基本腐っているので当てにしないほうが無難だろう。
総じて言えば僕が今回の解任劇に対して不満があるとすれば時期と協会がイマイチ信用ならないところぐらいだ。とはいえ僕が贔屓にするクラブチームのフロントも酷いのでフロントだの協会だのはどこも酷いんだ、と妥協してしまっている。
みなさんは今回の解任劇に対してどんな意見を持っているのだろうか。