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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛するあの子のために、異世界人を皆殺し。

作者: 弥 流河

異世界転生・転移するなら、これくらい目的意識を持った人が主人公だったら良いなと思って書きました。

 恋人が、死んだ。


 結婚しようと思っていた。結婚指輪の為に給料を貯めていた。あの子の両親へ挨拶をした。式場の下見をした。幸せだった。


 あの子は俺の真横で、信号無視のトラックに轢かれて死んだ。どうせなら、俺も一緒に轢いて欲しかった。


 あの子のいない世界に、意味なんてない。縄を首に掛けて、椅子から飛び降りようとした時にあいつはやって来た。


「その命、どうせ捨てるなら俺に預けてみないか?」


 構わず椅子から飛び降りようとする俺に、慌ててあいつはこう言った。


「あの子が生き返るとしたら、どうする?」


 あの子が生き返るのなら何だってすると答えた俺に、あいつは告げた。


「他人の命を、犠牲にしても?」


 あの子が、生き返るのなら。


「狂ってるな、お前。そういう奴は好きだぜ」


 そう言うと、あいつは俺が立っている椅子を蹴飛ばした。


 気づくと、見知らぬ場所に居た。


「ここはお前の住んで居た世界ではない。所謂(いわゆる)、異世界って奴だな」


 あの子を生き返らせるにはどうしたらいいと尋ねると、あいつは答えた。


「この世界の人間を、皆殺しにしろ」


 それだけ言うと、あいつは霧のように消えてしまった。


 こうして、俺の物語は始まった。


 暫く歩くと村に着いた。手始めに焼いた。炎に逃げ惑う村人に後ろから近付き、絞め殺した。反撃してくる村人もいた。(くわ)で殴られたが傷一つ付かなかった。どうやら俺はもう人間じゃないらしい。村人を皆殺しにした。


 それから同じ様にいくつかの村を焼いたところ、甲冑に身を包んだ集団に襲われた。この世界の人間は不思議な魔法を使える様だ。炎や雷が何もない空間から現れたのには驚いた。剣で切り裂かれようが、炎に包まれようが、雷に打たれようが、この体に傷一つ付かなかった。甲冑の集団を皆殺しにした。


 いくつかの街を落とすと、勇者と名乗る男とその仲間達が現れた。勇者はこの世界に来て初めて見た日本人だった。彼もどうやらこの世界に飛ばされて来た様だった。仲間達は皆、見目麗しい女性達だった。俺も早くあの子に会いたいと思った。勇者達は、何時ぞやの集団とは比べ物にならない規模の魔法を使ってきた。傷一つ付かなかった。勇者達を皆殺しにした。


 どうやらこの世界には勇者がたくさんいるようだ。あれから何人もの勇者と名乗る日本人が現れた。皆殺しにした。


 俺に立ち向かってくる者がいなくなった。仕方がないので、国々を潰してまわった。全ての国を滅ぼしたが、この世界の人間すべてを殺したわけではない。虱潰しに残りの人間を殺してまわった。不思議とどこに人がいるかは感覚でわかった。


 何年もの月日が経ち、ようやく最後の一人を殺した時に再びあいつは現れた。


「よう、お疲れさん。これでこの世界の人間はいなくなったな」


 約束通りあの子を生き返らせてくれ。


「ああ、彼女はもう生き返っているよ。あの事故はなかった事にした」


 彼女に会わせてくれ。


「それは無理な話だ」


 何故だ。


「だってあの世界でお前はもう、死んでいるだろう?」



嫌な話でごめんなさい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スッキリしてて大変良いと思います。 [気になる点] 散々悪事を尽くした後にハッピーエンドだったらもっと良かった。
2017/10/24 18:48 退会済み
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