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40.XX

本日は3話同時投稿です。最新話から飛んできた人は38話を先に一読願います。


 俺は今ラテス=ヒポクと一緒に光に包まれている。


 彼は俺にお願いをして来た。それは嘘かも罠かもしれない。

 そして彼は話が上手い。俺を誘導し一つの選択肢しか与えなかった。

 俺は彼との戦闘を望まない。それは所持している武器と能力が一対一の状況で圧倒的に不利だったからだ。

 そして何よりも能力の相性が致命的な程に俺が不利。

 弾丸の雨を俺がかい潜って彼に触れ地面へと縫い付けたとしても、時間を巻き戻す能力で俺の能力を無効に出来る可能性が高い。

 更に彼は俺の記憶を持つ。それがどこまで知っているのか分からない。

 最悪の想定として俺の能力の全てを知っている。その前提で行動しなればならない。


 俺は彼に従うしかない。

 俺にとって幸いなこと。彼が嘘偽り無く真実を言っている可能性は高い。

 もし俺を殺したいのであれば、すぐにでも持っている銃で俺を撃てばいい。俺は簡単に死ぬだろう。

 そうしない理由。それは彼が本当に俺に協力を求めているから。




 目を開くとそこには巨大な研究所。


「時間と場所。それは前世で私がSTOP細胞を発見する直前、そしてその研究所。

 ああ、成功だよ!!」

 彼は転移が成功したと喜んでいる。


 だが俺は疑問に思う。

 俺達はタイムマシーンに乗って時間を移動したことと同じ状況になるんじゃないのか?

 そしてそこでラテスを殺した場合、タイムパラドックスが起こるんじゃないのか!?


「君の心配はタイムパラドックスだろ?私がそれを想定していない訳がない。」

 

 俺の疑問も彼は想定済らしい。じゃあどうするんだ!!


「私は自身の能力であの世界へと巻き戻る。その時君の存在はどうなるんだろうね?

 君がこの世界にどうやって来たのか?その答えは存在しなくなる。

 私は神の力で戻る。言い換えれば君は神によってここに出現したことと同義である。

 それは君の存在が不確かなものになることを意味しているのではないか?」


「もしそこで、君が君として存在出来ているなら。私のお願いを実行してくれ!!」

 その言葉と同時に彼は能力によって消えた。



 俺は前世に取り残された。

 そして今なお俺として存在している。この意味は……


 俺は俺に出来ることをやるだけだ。


 研究所の中に入って行く。分かり易い様に一室だけ部屋の光が灯っている。

 俺はその部屋の前で立ち止まる。その部屋に入室するのに暗証番号が必要。


 俺は目を閉じラテスの言葉を思い出す。

『研究室の番号は0615。私の娘の誕生日だ』


 そうして俺は研究室の中に入る。そこにはラテスがいる。

 彼は不審者を見てゾッとした顔をしていた。


 もちろん今から俺がお前を殺す。


 彼からしてみればもう少しで娘の命を助けられる。その目前にして何者かに襲われているのだ。

 今彼の心は自分の運命を呪っているだろう。

 でも違うんだ。あなたは娘に死よりも辛い苦痛を与えて、それをずっと後悔していたんだ。

『今この瞬間に自らに死を』そう遠い未来で君が望んでいるんだよ。


 ラテスの喉元を俺はナイフで切り裂いた。


 この瞬間、転移者全ての共通点が失われた!!

 だから起こるだろう。俺達転移者はこの世界の運命と力強く結びついている。

 

 俺は運命に引き戻される!!




 気が付いた俺は自分のマンションの扉の外にいた。戻ったのか……

 服装がついさっき来ていたものから、仕事帰りのスーツに変わっている。

 俺はポケットから鍵を取り出し、部屋の中に入る。


 そうだ、どこまで巻き戻ったんだ!?

 俺はスマホを出して日付を確認する。


『2017年02月24日』


 俺はスマホを取り落とした。震える手が止まらない。


 今の俺は犯人じゃない。そして今なら明日のアリバイを作れる!!


 その瞬間、急いで俺は駅まで走った。

 そうして新幹線でマンションのある東京から愛知まで移動する。



 もう焦らなくていい。俺が新幹線に乗る道中、監視カメラや駅員が俺の顔を覚えてくれているだろう。

 ありがとうラテス。あなたが俺の運命を変えてくれた。


 そうして愛知県の一軒の家に着く。

 ピンポンとチャイムを鳴らす。もう夜遅くだ、寝ているだろうか……


 その時女性の声がして扉が開かれる。

 そこには母がいた。俺のせいで一段と皺の増える前の、まだ若い母。

「こんな夜遅くにどうしたの!?」


「お母さんお腹すいた。飯作ってくれない」


「帰ってくるならちゃんと連絡しんきゃいかんよ。

 冷蔵庫に残ってる物でしか作れないけどそれでいい?」


「お母さんが作ってくれるものなら何でもいいよ」



 そうして俺の前に料理が出される。

 炒飯と麻婆豆腐と肉じゃが。全てあつあつで湯気が出ている。


 俺はそれを食べる。

「お母さんありがとう。おいしいよ」


「どうしたの、あんた何で泣きよると?」


「あったかくて、懐かしいんだ」




 最終章 完

物語はこれで完結です。ありがとうございました。

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