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17.王都


 お昼を過ぎた頃。

 私はいとも簡単に町に到着することが出来た。


「わ~綺麗な町」

 この場所は白の石レンガで統一されていた。通路の床面や建物、防壁に至るまで全て白色。

 それはおとぎ話の城を私に連想させてくれた。


 眼前に広がるのは広場と噴水。そして人が行きかっている。


 町に着いたのはいいもの途方暮れる私は周囲を見渡す。入口付近に大きな看板が建っていた。

 それは意味の分からない記号があるものの地形らしきものがあり、私はそれがこの町の案内図ではないかと思った。

「うーん、分かんないな」


 私は近くの門兵に尋ねることにした。

「あのー、私この町に初めて来て分からないことが多くて。

 ここ書いてあること教えて頂けないでしょうか?」


「おいおい、嬢ちゃん、ここはそんじょそこらの町とは違うぜ。王都だぜ」

「ごめんなさい」


「まー、謝られてもねー」


 門兵は話しを切り替えるように喋りだす。

「この案内図を見ても分かんないつーことは文字も読めないみたいだな。

 しゃーなし、教えてやるか」


「ありがとうございます!!」


「ここは王都、地形は案内図に書いてある通り三角形をしている。

 最北が王城のある『王族貴族区』最東が『修道院』最西が『剣修院』

 今いるのが王都唯一の出入り口。王城から真下にずーと線を引いて突き当りの場所がここって訳だ。

 人が栄えているのは出入り口付近が中心だ、ここから離れれば離れるほど住宅や商店は減っていく。

 ま、つまり用事がないやつは角には行かないってことだな」


「なるほど、ではこの太い線は何でしょうか?」

「それは街道だな。

 ここから王族貴族区に伸びているのが『謁見街道』

 王族貴族区から修道院間が『王族修道街道』

 王族貴族区から剣修院間が『王族剣修街道』

 今いる場所は都心っていう呼ばれ方もしていて、都心から東が『都心修道街道』、西が『都心剣修街道』だ」


「そうなんですね」

「あと修道院と剣修院って何でしょうか?」


「おい!!それも知らないのかよ。困った子だなー。

 修道院は神聖魔法を極める場所で、剣修院は剣術を極める場所だよ」


 えっ魔法……これも何ですか?って聞いたら怒られそうだな。


「わかりました、丁寧にありがとうございます」

 そうしてこの王都の全体図を私は理解した。



「ああー、お腹空いたなー」

 王都を散策してみると多くの出店が立ち並んでいる。


「どれも初めてだし、どこでもいいよね。あそこにきーめた!!」


 私はそこで、お饅頭の様な、肉まんの様な物を買って食べた。

「んーまい。私この食べ物好きかも」

 その食べ物で私はお腹が膨れた。


 宿泊先も決まってないしこの出店のお姉さんに聞いこう。

「あの、この付近で一泊出来て安全な民宿って教えて頂けないでしょうか?」


「はー、民宿ねー、そんな言い方あんまりしないけどね。

 値は張るけど貴族様がよく泊まる宿があそこにあるよ。そこは、貴族、平民分け隔てなく泊まれるから平民そうな嬢ちゃんも泊まれると思うよ」


「ありがとうございます」


 じゃー行ってみよう。


 私はその宿に行き宿泊の手続きをした。そして今宿の自室に居る。

 今日一日は新鮮で本当に楽しかった。嬉しくて舞い上がることが多かったかも、少し反省。

 王都のことも大分詳しくなったし、このままここに住んでいけそうかな。

 明日の目標は剣修院に行くこと。そこで有名にならなくちゃ!!



 第一週:2日目

 私は今都心剣修院街道を歩いている。

 案内図で見た限りでは歩いて半日は掛かかりそうな程離れていた。それでも昼には着くのだから心配する必要はないよね。

 歩いて感じることとして、門兵の言っていた通り都心から離れれば離れるほど周囲から建物が減っていき茂みや林に変化していく。


 周りに建物が何もなくなった時、私はすこし独りぼっちになった気がして走った。


 そうして直ぐに到着する。その場所は剣修院。

 そこにはいくつもの建物が集まっている。

 それは横長の二階建てが多い印象を受けた。おそらく剣修院に通う人達の宿舎なのだろう。


 私はその奥で一際目立つ建物を目指す。


 近づいてみるとそれは人が中で訓練するのではなく、石材で建設された神社に相当する建物であると分かる。

 そして裏に回ってみる。そこには質の良い砂が撒かれた広大な敷地がある。

 そこに沢山の人達が模擬戦や素振りをしていた。


 私はそこにつかつかと進んで行く。そして誰かに聞こえるように大きな声を出す。

「どなたか私と戦って頂けませんか?」

 声帯までも掌握している私の声はあたりに澄み渡ったのだろう。誰もがこちらを振り向いた。


 私の声に反応したのは近くの訓練士ではなく、石造りの建物に一人鎮座している中年女性。

「おいおい、嬢ちゃんよ。ここが何処だが分かって言ってるのかい?

 その見た目からは誰一人としてあんたに負ける奴はこの中にいないと思うぞ」


 おそらく彼女がこの中で最も強い、そんな雰囲気を私は感じ取る。そしてその隣には女性と同じで赤髪の凛とした青年が直立不動で立っている。


「お願いします」

 私は誠心誠意、頭を下げてお願いする。


 その言葉が届いたのだろう。女性が声を出す。

「ブラウニーおまえが相手をしてあげろ」

「はい!」

 そうして一人の若い女剣士が前に出てくる。


 鎮座した中年女性は私の武装を見て判断したのだろう。公平性を正すため他の者に木剣を持ってくるよう指示する。


 貸し与えられた木剣は私の持つ小剣と比べ長く両手持ちであると分かった。

 これは少し練習しないと。


「ほんの少し練習する時間を下さい」

「構わんよ」

 女剣士はそう言うと待ってくれた。


 私は木剣を両手で持ち素振りをする。

 それを五回繰り返した後、私はこれから模擬戦をしてくれる女性に対して言う。

「よろしくお願いします」


 しかしそこに鎮座した中年女性が割って入る。

「ブラウニー下がっていい、私が相手をする」


 その時会場がどよめいた。

 それはそうだろう、この中で最も身分の高い人が飛び入りで入って来た不届き者の相手をするというのだから。


 でもそれは私にとって都合のいいこと。私は再度挨拶をする。

「よろしくお願いします」


 そうしてこの世界で私の初めての戦いが始まった。




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