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腕力戦記  作者: ビロビジャン
3/3

街へ

「ほらよアルク、銅貨だ」

「ありがとうお父さん」

「なにに使うのか知らんが大切に使えよ」

「わかってるって」


彼はいつものようにトレーニングの場所に来ていた


「ついに....ついに!やっと1金貨分の銅貨が貯まった」

「これでやっと矛が買えるぞ」


そう、彼が父親からもらった銅貨で買おうとしていたのは矛である。彼は既に剣を持ってはいたが、剣と言っても平凡なものであり安物であった。トレーニング開始当初はそれでも十分で不満などなかったアルクであったが続けているうちにだんだんもっと性能の良い武器が欲しいと思うようになった。そこで数ある武器の中から選んだのが矛である。アルクが目指している戦闘スタイルには弓やクナイなどの武器は適さない。大剣や刀、片手剣、矛といったタイプの武器である。矛といってもアルクが買うのは大矛ではない。アルクはまだ子供であり、大矛を扱うには体躯が成長しきっていない。そこで少し小さめの普通の矛を買うことにした。ただ1金貨分の矛とあってサイズは小さいが性能は良いものである。

やっとお金を貯めることができたアルク、気づけば貯めようと思い始めてから3年もの月日が流れていた。

そしてついに矛を買うために街に行くことにしたのだが、なにせ帝国の僻地の村であるこの地には武器屋などない。加えて武器屋がある比較的大きな街となるとアルクの村から100kmほど行かねばならない。この道を1人で行くのはたとえアルクが決めようとも両親が許してくれないだろう。であるから、アルクは父親の遠出について行くことに決めていた。帝国の僻地と呼ばれる村においては自給自足がほとんどであるが、たまに外部にものを買いに行ったりまた売ったりしている。その一環としてアルクの父親も街に出かけるので、それについていこうというわけである。


「前に見た矛を買うことができるなんて、長かったけど父さんの手伝いをしていてよかったぁ〜」

「それじゃあいつものトレーニング始めるかな、達成したからといってトレーニングは怠らないのがルールなのさ」


そんなこんなを経て約半月後ついに街へ行く日がやってきた









アルクがついに矛を買いに行く日

アルクは父親と一緒に村の入り口を入ってからすぐの広場に来ていた。そこで坊主頭の大男が話しかけてきた


「よう、アルクの坊主、お前も一緒に来るのか?」

「ブルのおっちゃん。そうだよ!矛を買いにいくんだ〜」

「矛?なんでそんなものを、必要なのか?」

「俺のトレーニングのために必要なのさ自分を磨くためのね」

「おい、アキス知ってたのか?」

「ま、まあな。聞いたときはなにしてるんだかと思ったが、体を鍛えることはいいことだしな、それにお金は自分で払うわけだからな」

「なるほどなぁ、まあ街に行けば武器屋はあるはずだ気長に探してこいよ坊主」

「うん、そうするよ」

「そろそろ出発するから馬車に乗り込んでおいてくれよ」


村から街に向かう人数は10人ほどで馬車が3台ほどある。馬車には大量の荷物を積む。100kmの道のりを約1日半かけて移動する。そのため野宿をするための道具も積載している。


「よーし、全員乗ったか?そしたら出発だ」


ゆっくりと馬車は走り出す。村から街までの道のりはほぼ一本道なので迷う心配はない。

加えてここは辺境の地であるため、盗賊もここで仕事をする価値がないと判断するため襲われる心配もない安全な道のりである。馬車は順調に進み、予定より少し早く街へ到着した。街は2mほどの柵で囲まれており、幾つかの場所には門がある。そこには兵士が1人配置されている。


「止まれ、この街へ何用で来た」

「ゴス村から来た。村でとれたものを売るのと買い出しだ」

「念のため荷物をチェックさせてもらう」

「あぁ構わん」

「チェックは終わりだ通っていいぞ」

「すまんなありがとう」


無事荷物のチェックが終わり街へ入ることができた。この街は人口や大きさなどは普通の街よりは少ないが木造の家が主流の村と違いレンガなどが使われた家々が立ち並ぶ。


「おし、この街には半日滞在する。出発は夕方だそれまでに馬車のところに戻ってこい。それから売るものがある奴は俺についてこい場所が決められているからな。各々することがある奴は各自でやってくれ、集合時間に間に合わん奴は置いていくからな。では解散」

「坊主はどうするすぐに武器屋に行っても持ち歩くのは辛いだろう?」

「そうだね。最初は街を見て回るよ」

「わかった治安はいい街だがなにがあるかわからん十分に気をつけろよ」


アルクはブルと父親と別れ街を散策することにした。とはいえ、武器を目的としてやってきたアルクは日用雑貨品には興味がない。かといって武器屋に長時間いるのもアレなため、買うつもりはないが防具屋に行くことにした。この街の構造は正門から続くメインストリート沿いに店があり、そこから奥に入るにつれて住宅が大きくなっていくという構造である。そのため防具屋はすぐ見つかった。

店内は以外と広く様々な防具がおかれていた。手甲や鎧など普通の装備であれば十分な品揃えだ。アルクはひと通り見た後店を後にした。武器屋に行く前に腹ごしらえをしなくてはならない。近くにあった大衆食堂のような店に入った。


「いらっしゃいやせ〜お客様は1名でよろしいですか?」

「はい、それと肉刺しを2本お願いします」

「了解しやした〜あちらのテーブルでお待ちくだせぇ」


アルクは運ばれてきた料理をすぐに食べると代金を払い、店を出た。武器を買うために貯めた金は全て銅貨である。そのため両替をしに行くことにした。街の中央にある金貸し屋で両替をしてもらい、早速武器屋に行った。

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