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格パラ外伝 意志を継ぐ者達  作者: 福島崇史
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カップヌードルとウルトラマン

崇の提案に、実行委員は皆が即答を控えていた。

同意すべきかどうか、互いに探る様な目を送り合っている。

そんな空気を読み取って崇が更に続けた。


「仮にペナルティーを与えず、鳥やんの勝ちなんて事にしても観客は納得せんやろし、逆に悪質やからって理由で鳥やんを反則負けにしても納得はせん、、、

メインイベントが後味悪いと、大会そのものが印象悪くなるもんや。それだけにスッキリさせる為にも鳥やんにはイエローカードを与え、同ポイントからの延長を行うのがベストやと思う。

たとえそれで白黒つかんでも、グラップスでの再戦を発表しとけば期待感を持たせる形で終われるしな」


「なるほど。その再戦を承認させる為に俺を呼んだ、、、そういう事っスね?勿論うちはそれでOKっスよ」


五十嵐の言葉に頷いた崇が、決断を促す視線を実行委員へと這わせる。


「時間が無い。他に妙案があるなら聞きますが?」

その問い掛けはほぼ脅迫であり、実質この時点で答えは出ている様なものだった。


「わかった。その意見に乗ろやないか。アンタの意見を求めたんは元々ワシ等の方やしな」

この渡嘉敷の発言を皮切りに、他の面々もそれぞれ同意の意思を示した。

そしてすかさず、大作がマイクのスイッチをONにする。


「長らくお待たせしましたが、審議の結果が出ましたので御報告させて頂きます!」


歓声がうねる中、大作のマイクは続く。


「先の鳥居選手による毒霧行為には、蛮選手と同じ様にイエローカードを与えます。

これにより両者は同ポイントとなりますので、、、これより延長ラウンドを行いますっ!!」


この裁定に、待ってましたとばかり会場が爆ぜた。

そして大作は一呼吸置き、歓声が落ち着き始めた頃を見計らって延長ラウンドの内容を告げる。


「延長ラウンドのルールについて御説明申し上げます。3分1ラウンドのみのエキストララウンド、先にポイントを奪取した方を勝者とするサドンデスルールで行いますっ!!

そしてそれでも決着がつかない場合は再延長は行わず、、、

2ヶ月後、グラップスのリングにて両者の再戦を行いますっ!!」


誘爆する様にどよめきが拡がって行く会場内、その爆心地であるリング上では鳥居と蛮が笑みを浮かべていた。

審議時間のお陰で体力の回復を計れた両者だが、審議中も身体を冷やさぬよう常に動いていた。恐らくはこうなる事を予想していたのだろう。


満を持して2人を手招くレフリーの新木。

そして誘われるまま、ゆるりと歩みを進めた鳥居と蛮。

それを包む緊張感と期待感が、悲鳴の様な音を上げて軋む。


「俺さぁ、、、カップヌードルも3分待ち切れんで食べてまうタイプなんよ。せやから兄さんの事も3分待たずして喰ってもうたるわ♪」

蛮が腰を落とし、左拳を目の高さへと上げた。


「フンッぬかせっ!こっちこそウルトラマンばりに3分で怪獣退治させて貰うわっ!!」

鳥居が右拳を上げ、左足でトントンとリズムを刻む。


「悔い無い様に全部出し切れ!ええなっ!?」

両者に目を配った新木が2人の間で手刀を構え、掛け声と共に一気にそれを振り下ろした。

「ファイッ!!」


蛮の左拳と鳥居の右拳が1度空中で合わされた。

まるでそれがN極とS極だったかの様に、弾かれた両者が構えたままで距離を取る。


祭りは未だ終わらない、、、



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