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格パラ外伝 意志を継ぐ者達  作者: 福島崇史
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荒れる本部席

ゴングが鳴ると、途端に本部席は慌ただしくなった。

最後に見せた鳥居の毒霧、あれをどうするか、、、

レフリーの新木が独断では裁定出来ず、本部の判断を仰いだ為である。

リングアナがマイクを通し、審議を行う事を観客へと繰り返し告げている。


そして本部席

剛柔会代表 渡嘉敷 久志


勇神会代表 柴田 勝


有田道場主宰 有田 保


烏合衆主宰 朝倉 大地


そこに加えてグングニル代表の福田 大作


ラグナロク構想がスタートした時からその考えに賛同し、早々にネットワークへと加入してくれた各団体の面々。

後に他の団体も加入しネットワークの輪は拡がったが、このメンバーとグングニルが力を併せ、1から全てを作り上げたからこそ辿り着けたのが今回のラグナロクである。

それ故このメンバーはネットワーク内でも別格であり、実行委員という役職に就いている。

本部席ではそんな面々が顔を突き合わせ、先の毒霧について議論中であった。


「蛮選手がやった純粋なパフォーマンスと違い、鳥居選手のはポイント調節の為の悪質な物に思えます、、、イエローカードどころか、レッドカードにも値する」

静かにではあるが、どこか怒気を感じさせる口調で柴田が言う。

そしてそれに同意したのが渡嘉敷だった。


「確かにのぅ、、、客観的に見てアレは武人にあるまじき行為や思う。悪質な行為と取るならばキッチリ罰っさなおえんわなぁ」


「いや、ちょっと待って下さい、、、

彼の、、、鳥居君の気持ちも解る気がしませんか?あんな形の勝ちじゃなく、延長に持ち込んででもスッキリさせたい、、、

確定していた勝ちを捨ててまでその選択をした、、、その漢気を汲んであげるべきではと、、、」

四角い顔一杯に汗を滲ませながら、有田が考えを力説する。

そして最後に意見を述べたのは、自らも数試合レフリーを務めた朝倉だった。


「まぁ新木さんが迷うのもしゃあないわな、、、俺が裁いてたとしても決めきれんかった思うわ。でも第三者として見たなら、有田さんと同意見やなぁ、、、俺も未だ現役やから鳥居ちゃんの気持ちは解るしな」


意見は見事2つに割れた。

そして皆の視線は必然的に大作へと集まった。

それを笑顔で受け止めたまま大作が言う。


「あ、俺はパス」


「はぁ~っ!?」

柴田が呆れた


「なっ、、、!?」

渡嘉敷は驚いた


「いやいや、、、」

有田は咎め


「ハハハハッ♪」

朝倉は笑っている


「いや、だって俺、鳥やんの所属する団体の長だもの。この議論に加わるのはアンフェアっしょ?」

澄まし顔で言ってのけた大作。

そう言われれば、、、と皆も納得したらしく、どうしたものかと下を向いて考え込んでいる。

そして暫しの沈黙の後、ふいに渡嘉敷が口を開いた。


「福井さん、、、アンタはどう思うね?」


「え?あ、、、いや俺は引退したし、もう部外者だから」

突然話を振られた崇が戸惑いながらそう答えるが、渡嘉敷は尚も喰い下がる。


「部外者だからこそじゃ。大作君はグングニルの長ゆえ発言を控えると言う、、、考えれば尤もな話じゃ。しかしアンタはもうグングニルの人間では無くなった。こうして意見が割れた以上、アンタの意見も聞かせて貰いたい」

他の面々も同意見らしく、頷きながら崇を見つめていた。

しゃあないな、、、とばかし大きく息を吐いた崇。


「わかりました。ならば発言させて貰います、、、がっ!その前に大作、ちょっとええか?」


「ん?」

キョトンとする大作に崇が告げた事、それは


「グラップス代表の五十嵐君を呼んでくれるか?」

という意外な物であった。

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