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格パラ外伝 意志を継ぐ者達  作者: 福島崇史
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お、、、おぅ、、、

花山と島上の試合を見終え、崇と吉川が控え室へと戻ってゆく。


「どうやった?」


「ん~、、、薦めてくれた朝倉さんには申し訳無いけど、特にこれといった感想はあらへんかな、、、」


「まぁ今回は相手がイマイチやったからな、彼女のポテンシャルが見えん結果になってしもたけど、、、今後やりたいとは?」


「正直、今の段階でやりたいとは思わへんけど、組まれたならば断る理由も無いよ」


そんな会話をしている内に控え室へと辿り着いていた。

ドアを開くと試合の近づいた藤井が、高梨の構えるミットへと打撃を叩き込んでいた。

ドラムの様に心地よく弾け、リズムを刻む藤井の打撃。

それだけで仕上がりとコンディションの良さが判る。


「調子よさそうやな」

崇が声を掛けると、軽く息を弾ませながら藤井が振り返った。


「あ、おかえりなさい。試合どうだった?」

うっすら汗を滲ませた顔で尋ねる藤井に、吉川が鼻を掻きながらバツ悪い顔で答える。


「ん、、、まぁまぁ、、、かな、、、」

隣で苦笑う崇と、そう答えた吉川を見比べた藤井。何やら察したのだろう、細かい内容は聞こうとせず


「ふ~ん、そっか」

それだけを口にすると、再び高梨とのウォーミングアップへと戻って行った。


今リングで行われているワルキューレ・ファイトの3試合目、それが終わると直ぐに藤井の出番である。

対戦相手はネットワーク加盟の空手道場、勇神館所属の山岡(やまおか)太一(たいち)

かつてグングニル旗揚げ1周年記念イベント

「バースデー」

において両者は対戦している。

(拙作、格パラ第80話 Dear Mama参照)


その時は山岡の打撃が藤井を圧倒。

しかしダウンを重ね、後が無くなりながらも藤井が、フロントスリーパー(ギロチンチョーク)に捕らえ、大逆転勝利を収めている。

山岡は余程悔しかったのであろう。

(もう1度やれば必ず勝てるっ!)

そんな想いを抱え、敗戦直後から再戦を熱望していた。

勇神館館長の柴田から、その事を伝え聞いていた崇が藤井へとその旨を伝え、藤井もそれを快諾。

そんな流れから実現したリマッチである。


心の病だけで肉体的には何の障害も無い藤井に対し、山岡は小人症を抱えている。

そう聞くとフェアでは無いマッチメイクに思うかも知れないが、年齢や体格も近い上に実験的に行われた前回の試合、それが噛み合っていた事もあり、実行委員の間でも再戦に異を唱える者は皆無だった。


数分後、遠くで鐘の鳴り響くのが聴こえて来た。どうやら試合が終わったらしい、、、

パンパンと自分の顔を叩いた藤井。

臨戦態勢に入り、その顔は既に闘士のそれへと変わっている。

吉川がセコンドに就く為、道具の入ったバケツを手に藤井の横へと並んだ。

崇もそれに並び、吉川の手からバケツを奪い取る。


「俺が持つよ」


「あ、ありがと、、、」


しかし藤井がそれを嗜めた。

「ダメだよ福さん、、、福さんは本部席に戻らなきゃ。さっきの試合も席を外してたんだしさぁ。せっかく大作さんが気遣って用意してくれた席でしょ?それを無下にしちゃダメだって!!」


「お、、、おぅ、、、」

相変わらずというか、大人顔負けの藤井の気配りに圧倒された崇。

言葉が出ずにその一言しか返せずに居た。

(こいつ、ほんまに15~6才の子供か?てか、それ以前に発達障害ってのも信じられんな、、、)


そんな事を想う崇へと、藤井の言葉が更に降りかかる。

「セコンドはママと高梨さんにお願いしたからさ、福さんは本部席から見守っててよ!」

子供に諭される30代半ばを過ぎた男、、、

「お、、、おぅ、、、」

またもそれしか答えられない崇の前を藤井を先頭にして、笑いを堪えた高梨と吉川が通り過ぎて行った。


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