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格パラ外伝 意志を継ぐ者達  作者: 福島崇史
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重い首飾り

試合が再開され、再び両者が構えを取る。

保科はピーカブースタイルをやめ、右構えのアップライトに戻っていた。

基本的にピーカブーはボクシングの構えである。その為に蹴り技を出す事も出される事も想定していない。

それをやめたという事は、手技だけで吉川を仕留めるのは難しいと判断しての事であろう。

ある意味、吉川を認めた証とも言える。

それを見た吉川も、本気になった保科に対し奇をてらった戦法は失礼とでも感じたのか、サウスポーをやめオーソドックスなアップライトに構え直す。


それは静かな再開だった、、、

細かい打撃の応酬こそあるが、見合う展開が暫し続いている。

保科は先の疲労から未だ回復していない様子。

肩で息をする相手を前にしながら、吉川は攻め込まずにいる、、、そして観客がそれを野次り始めた。


「チャッチャと行ったらんかいっ!!」


「お見合いなら他所でやってやぁ~!」


「保科ぁ~そろそろ技出してほし~なぁ~!」


等々、、、関西らしくガラの悪い物やウケを狙った物が、そこかしこからリングにぶつけられる。

それを見かねたのか、珍しく藤井が大声を張った。

「ママッ!チャンスだよ行かなきゃっ!!」

それに背中を押されたかの様に、吉川がグイと前に出た。

左ジャブを起点に、ストレート、フックまでもブン回しながら保科をロープ際まで追い詰める。


ガードを固め身を丸くした保科。

打撃とロープの間で、ドリブルされるボールの様に身体が揺れている。

ロープ際の攻防、、、

リング上は攻守が入れ替わったものの、先と同じ光景を描いていた。


そして距離が十分に縮まった頃を見計らい、打撃の間隙を突いて保科の両腕がスルリと前へと伸びた。

それは吉川の首筋に大蛇の様に絡みつく、、、

誰もがクリンチかと思ったが、そうでは無かった。

保科は両腕で輪を作り、吉川の頭部を逃さぬ様に固定すると、それを左右手前へと振りながら機銃掃射の如く膝蹴りを連打し始めたのだ。


「首相撲」

ムエタイでそう呼ばれる技術である。

逃げられぬ様に相手を固定しての打撃、、、言うならば立ち技でのマウントパンチにも等しく、危険極まり無い。

吉川も腕をクロスさせ必死にガードしているが、致命打を防いでいると言うだけで、やはり何発かは貰っている。


保科は吉川よりも背が低くかなり重い、、、

そんな相手がぶら下がる様に首にまとわりついているのである、吉川からすれば自分よりも重いネックレスをしているに等しく、当然だが(かせ)となって思うようには動けない。

そんな状態で一方的に突き上げられる膝を防いでいると、ガードする腕その物にもダメージが蓄積されてゆく、、、


そしてついに堅固であるはずのクロスガードが弾かれたっ!

(あっ!マズ、、、)

吉川の顔が焦りで歪む。

(イケるっ!)

保科の目が勝機に光る。

次の瞬間、鈍い音と共に吉川の頭部が跳ね上がった!

踏鞴(たたら)を踏む様に後退る吉川、それを保科が尚も追う。


そしてとどめとばかり、右足を天高く振り上げた。

「踵落とし」

元々はテコンドーでネリョチャギと呼ばれ、頭上高く振り上げた足を高速で叩き落とし、その踵で相手の頭部を狙う技。

跳ね上げられ天を仰ぐ吉川の顔面を、(まさかり)の様な踵が襲うっ!


だがその直後、崇と藤井は信じられない物を見せられる事となる、、、


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