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∫闇医者と新薬 共通①

時は西暦3000年を経た。しかしIT企業が発展する中で医学は2000年台と同じ程度のまま、進歩をしていなかった。



「ツケで頼むわー」

「患者さん、早く金返さないと臓器を売ってもらうからね」

今日は持病の薬が切れたので病院に貰いに来ている。

なんだか物騒な会話が聞こえてくるけど、もう慣れてしまった。

この病院の建物は黒塗り、内部は普通、でも法的に怪しい。


「ひさしぶり。薬貰いに来たの?」

問診している先生は鬼無(きなし)という若い青年。

彼は医者は医者でも闇医者。

無免許証だが免許のあるヤブ医者より腕利きが売りのやはりヤバイ病院である。


「僕の診察は評判いいのに君と来たら…そんなに僕が嫌なの?」

聴診器を使った診察は任意らしいので断っている。


「診察ごときで意識されてもね…」

落胆した鬼無先生にため息をつかれる。

「別にそういうわけでは」

「信憑性なし免許なし世間体最悪の闇医者で悪いね」

裏の仕事と無免許であることに引け目があるのか鬼無先生は卑屈になる。


「闇とか光とか関係なく男性は男性ですし…」

「まあ昔より女医も増えたしねー」


私からすれば彼は闇医者でも私を救う天使のようなものには変わりない。

「それにいいんです私の病気の薬は国内じゃ違法だもの。それに…これがないと私は…」

病気を抑えるのに必要な薬は国内で処方を禁じられているから

私は普通の病院にいかず闇の病院に通うしかなかった。


「ホント進歩しないよねー他国ならとっくに許可されてるのに」

私が患っている新種の病、特効薬はなく不治の病だと思われていたが遠い外国で作られた薬は丁度病に効いた。


「君も運がないねぇせめて無難なインフェルノンザなら治る可能性もあったのに、新種の病だもんねぇ」

「…どうして私はこの病になったんでしょう」

私のかかった病気、それは――――


「あ、ネズミ」

「えっネズミ!?こないで!“嫌だ!!”」

強く嫌ったものが目の前から消えてしまう。

そんな非化学的で不可思議な病である。



異変が起きたのは、病院に通い始める一ヶ月前に、田舎の村を訪れた日。

田舎村は都会が増えて緑のほとんどない今ではめずらしい自然豊かな場所だった。


『あーオジゾウサマの掘りが薄くなってる』

『きっと千年くらい前に作られたものじゃない?』


妹と田畑で遊んでいた時、妹は虫を捕まえて私に近づけた。

『バッタひろっちゃったー!』

『やだやだ!!“捨てて!”』

眼前に虫を寄せられた私は取り乱して叫んでしまう。

すると、虫は急に目の前から消えてしまい、私は落ち着きを取り戻した。


『あれ?バッタは?』

『にっ…逃げたんでしょ』

私は逃げたのではなく瞬間的に消えたことを気づいていたが、それを悟られないように事実を偽る。


ドクドクと鼓動が速まって、それをなんでもないようにごまかした。


都市にある自宅に帰ってからは誰にも言わずに病院を探して、ようやく見つけたのがここだった。


『今日はどうされましたか?』


なんて素敵な人なんだろう。

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