∮人類餞別 共通B-1 Iam エレライド
―――銀髪の長い耳をした男は珍妙な人間が一人入りそうな筒状のなにかを発見した。
男はこれがイニシエの機械であると察する。中を覗くと透明な窓から人の女が入っているのに気がつく。
なんと美しい女か、しかし男はカタギではなく人間でもない。
ゆえに住む世界の違う人間の女を自分の元へ連れていくわけにはいかなかった。
男は機械をあろうことか政府機関へ運び、密かに姿をくらませるのだった。
◆◆
「うーん」
―――良く眠った。長い間コールドスリープしていたから体が固くなっている。
バキバキと音をならしていると、部屋に誰かがはいってきた。
「目が覚めましたかゼミカ=エレライドさん」
さらりとした平均的な長さの黒髪に紫眼、白衣の男がいった。
「貴方はなんで私の名前を、というかここはどこ!?」
「ここは政府の特務機関、貴方がその機械に入っているのを著明の親切な誰かが運んでくださったんです」
彼は私の質問に淡々と答えをのべる。
「はあ……」
コールドスリープから目覚めたら解剖されることもあると言われていたが、とうとうその日がきたようね。
「そして私はトルヴィスク。このラボの局長です」
「なんとなくそんな感じはします」
私がびくびくしていると、彼は優しく微笑んで安心させようとしてくれた。
「大丈夫、貴女は見ればただの人間だとわかります。ただその不思議な機械は研究させてもらいますけど」
「あ、はい。いいですよ」
コールドスリープ機はかつて私をここに入れた人いわく一度しか使えないそうなので捨てるのにも困るし。
「いいんですか?」
「ええ、これ一度しか使えないらしいので」
意外そうなトルヴィスクに真実をつげた。
「では再利用できるようにしてみますか……」
研究者魂に火をつけてしまったようだ。
「あの、ところでなぜ私の名前を?」
「だってマシンの外側に書いてありますから」
たしかに英語で名前が書いてある。あれか、持ち物には名前を書いときましょう的な。