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§近未来的神秘学 共通①

「博士、私…今日16になったんだけど」

「うん?」

「もうみんな結婚しちゃったんだよね」

「相変わらずJPNの人は結婚が早いな~二千年くらい前の時代が現代にきちゃった感じ?」

「結婚する年齢に制限がないからね」


現在西暦3000年、ほんの20年前、日本はJPNと名を変えた。

医療や科学の技術など人の暮らしを利便的で豊かにし

かつ植物による自然環境を維持できた。

まさに発展した時代である。


しかし、幾度年数を重ねても少子高齢化は止められることはなく、人間の数は半分ほど減った。


それを見かねた政府は法律の改正によって、異性、もしくは同姓と必ず結婚することを義務付けた。

とにかく孤立した生活を良しとしないらしい。


「レンゲ、相変わらず人間アレルギーは治らない?」

「うん、むしろひどくなってる」

「まあ普段からホログラムやロボット関係に囲まれてるから無理もないね」

私は物心ついたときから自分意外の人間が苦手。


裕福な暮らしではあるが両親は仕事で家にいない。

父親は小児用車、母親は家政婦ロボット、ペットはホログラム。

見事に孤独な子供時代だ。


しかし人が苦手、といってもこの国の人限定だろう。

言葉は翻訳機を通さなければ通じないし。

身近な人とは見た目もタイプも違うのでかろうじて平気である。

第一、目の前にいるのはホログラムでもない人間だ。

彼の名はシュルーツェPR生まれでNY育ちの外国人。


人形のように細い金髪に青い目をしている。

一見モデルのように整った顔をしているが機械系の博士だ。


「…もったいないというか宝の持ち腐れってやつ?」

「何を?」


シュルーツェ博士と結婚できたら解決するのに、法律がそれを許さなかった。


「JPNにも2500年前にはハーフって言うのがいたんだよね…」

「他国ではたくさんいるよ。むしろ純潔のほうがめずらしいね」

「どうして駄目なんだろ…そんな法律さえなければ解決出来たかもしれないのに」

「ああ…必ず結婚して家数を減らしてコストダウン法?」

「それもそうだけど…」

「人間が嫌なら人間そっくりのアンドロイドとでも結婚しとく?」

「こっそり戸籍をでっちあげたり?」

「知り合いに女性アレルギーのひとがいたんだ」

「その人に女性型アンドロイドをあげたとか?」

あてずっぽうで答える。


「ご名答。さすがに戸籍をでっちあげたりはしなかったけど住民票くらいは作ったよ」

「でっちあげないと作れないんじゃ…」

「あ、そうかもしれないなあ」

政府関係の仕事も受ける博士だからか、そういう事もサラっと出来てしまうらしい。


「別に今捕まるわけじゃないから、また今度考える眠いし」

博士とは住んでいる国の違いから時差でまったく反対の時間だった。

私はずっと眠気をこらえていて、通信を遮断し、すぐに睡眠をとった。


「ひさしぶり」

「ひさしぶり博士」

博士は二週間ぶりに姿を見せた。


あくびをしながらあれから忙しかったのだと告げる。

今日はこちらでは朝、向こうは夜だ。


「前に言ってたアンドロイドの話、どんな容姿と性格がいい?」

冗談だろうと本気にはしていなかった事を覚えていてくれた彼には申し訳ないがこの二週間、私はアンドロイドの話など忘れていた。


人の顔をまともに見ていないので特に理想の相手が思い浮かばない。

いたらアンドロイドを作る段階にはならない。


悶々と頭を悩ませているところに、家政婦ロボの運ぶ料理からスパイシーな香辛料臭がプンプンとただよっていた。

偶然テレビでケータリングの有名カレーを食べている人が取材されていて、とっさに閃いた。


「じゃあインドル人」

「えっなんでそのチョイス!?」

博士は突拍子もない発言に驚く。


「毎朝カレーを作ってくれたら最高」

さらにいまテレビの人が言った言葉をそのまま引用してしまった。

本当はこれといってインダルにする理由もないが、カレーは好きだからいいだろう。


「えー理由がカレーなら、目の前にいる博士そっくりのイエローレンジャーでよくない?」

どうしてわざわざ博士そっくりのアンドロイドに毎日カレーを作ってもらう話になったんだろ。


イエローレンジャーがなんなのかもよくわからない。


「インドルのほうがそれっぽい博士の顔ならこの機械で毎日見てるよ」

「うっ…飽きたらポイか…」

「人聞きの悪い」


仕方がないのでそこらへんを歩いている人でイメージしよう。

地面から五センチ浮いて走るクルマに乗って、まわりをキョロキョロ探る。


「来ちゃった」

「博士!?」

なぜ海外を飛び回っている博士がここにいるのだろう。

そっくりさんか、と目を疑ったがどうみても本人だ。


「人が苦手ならアンドロイドのモデルを探すのも無理だと思って」

「もしかして二週間留守にしていたのは」

こっちにこられるよう準備していたとか?

「入国手続きと仕事を片付けたからだよ」

こうして博士も電動スクーターに乗せ一緒に町を見ることになった。


「あ、聞き忘れてたんだけど男型と女型どっちがいいんだった?」

「どっちでも…けど旦那さんより友達がほしいかも」

結婚相手どころか友達もいない。

「ああ、アンドロイドなら気を使わないから親しみやすいだろうね」

「博士は友達いっぱいでしょ?」

妙に機械人形を友達にすることに関大だけど。

「友達と呼ぶだけなら簡単だし沢山いるよ、心から友達と呼べるかは別としてね」

意外と核心をつく話をされて、この人は偉大な博士なんだと認識する。

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