第1話:義理の弟
はじめまして、水城朱音と申します。
これが初投稿になる小説なので、もしかしたら見苦しい部分もあるかと思いますが、よろしくお願いします。
ジリリリリリ!!
いつも6時半きっかりに鳴り出す目覚まし時計。
この時間に起きなければまず間違いなく会社には遅刻してしまう。
しかし、朝に弱い私は中々布団から出る事ができない。
「おい、亜子!いい加減目覚まし止めろよ!毎朝毎朝うるせーぞ!!」
そう言って私の部屋に入ってきたのは3つ年下の義理の弟、祐樹だ。
「うぅぅん、もうちょっと…」
私はまだまだ寝たりなくて布団で頭を隠す。
「もうちょっとって…起きなきゃ遅刻だぞ!」
何やら布団の外で祐樹が大声を張り上げている。
これがいつも繰り広げられる祐樹と私の光景だ。
祐樹は大げさに「はぁっ」とため息を吐くと布団に手を伸ばし思いっきり引っ張った。
すると、そこには大の大人が丸まって寝ている。こいつは猫か!?そう言いたくもなるが、これもいつものこと。
急に無くなった暖かい温もりにどうしようもなくなって、渋々起き上がりその温もりを奪い去った張本人を睨みつける。
「ちょっと!寒いじゃない!何すんのよ!?」
「寒いじゃねーよ!起きろって!」
腕を組んで見下ろしてくる祐樹の顔は怖い。こんな時は逆らってはいけない。
「あーはいはい。起きればいいんでしょ?」
私は仕方なしにダラダラとベットから降りてクローゼットまで移動する。
そんな私を一瞥すると「ったく、やっと起きたか…」などと、ぶつぶつ言いながら祐樹は部屋から出て行った。
スーツに着替え、下に降りて洗面所へ行って顔を洗う。それからリビングに向うとご飯のいい匂いがしている。
「やっとお出ましか。飯なら出来てるから早く食えよ」
「うん。ありがと」
そう。朝ごはんを作るのは私では無い。
祐樹は私より早く起きて毎朝朝食を作ってくれる。
ほんと出来たやつだと思う。
この家には私と祐樹の2人暮らしだ。
3年前までは赤の他人同士だった私達が一緒に住むキッカケになったのは、うちの母親と祐樹の父親が再婚したからって言うのが大まかな理由。
最初は家族4人で暮らすって話だったんだけど、うちの母親が新婚気分を味わいたいと駄々をこね、私達の住んでいる家から10分程度のところにもう一軒家を建て、さっさとそこに引っ越していってしまった。
残された私達はどうするか散々話し合い、折角立てた一軒家を手放してしまうのはもったいないと言う事でこの広い5LDKの家に一緒に住むことになったのだ。
そして、今年25歳になる私、川原亜子は義理の弟の祐樹に密かに恋心を抱いてたりする。




