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第九話 囚われのヒエン①

「知らない天井だ・・・」


おれは、異世界に来たら一番言いたかった一言を言って体を起こした。


ガシャン!


ん?ガシャン?


「ってぇ!なんじゃこりゃあ〜!?」

なんで、両手両足鎖で縛られてるの?


なんということでしょ、おれの両手両足がベットに鎖で縛り付けられてるじゃありませんか。


これじゃあ、まるで


「監禁だな☆」


て、ちょっとまてちょっとまておれよ!


監禁って、なんですの?


監禁いわれても意味わからんから困ります!


・・・ ・・・よし、一旦落ち着こう。


「なして、監禁されたんだ?」


魔法で眠らされたとこまでは覚えてるんだけど・・・


「そうだ!思い出した!!」


カーミラのやつに拉致監禁されたんだ!


くそぉ!思い出しただけでも腹が立つぜ。


「あーら、気づいたみたいね?ボウヤ」


「・・・・・・誰?」


声がしたと思ったらドアが思い切り開けられてケバいおばさんが入ってきた。


「ああ、ごめんごめん。こっち(・・・)のほうが良かったね」


そう言って、ケバいおばさんは見覚えのある姿になった。


「・・・お前かよっ!」


まさかのカーミラだったというね。


「ふふっ、驚いた?」


「ん?ああ、まぁな」


正直、かなり驚いたが。


「その顔は、かなり驚いたな?可愛い♡」


カーミラは、俺の頬を優しく撫でた。


「食べちゃおうかしら。」


カーミラは、何やら不気味なことを言っていたが無視しよう。


「ところで、そのカーミラって呼び方やめてくれないかしら?他人行儀みたいでやなのよね。」


んなこと言われても他人だしな。


「カーミラってのはあくまでも種族名みたいなものだし・・・」


「なら、ミラってのはどうだ?」


カーミラからもじって見たんだが?


「あら、いいわね。今度からミラって呼んでね?」


カーミラ改めてミラは、はにかんだ。


ースメラギヒエンは、カーミラと契約しましたー


・・・・・・またか


「?どうかしたの・・・?」


俺がげんなりとしているとミラが心配そうにこちらを見てきた。


「ううん、なんでもないよ?」


おれがにっこりと笑うとミラは、鼻を押さえた。


「(かわいいぃぃぃ!今すぐにでも食べたいぃぃぃ!!(性的な意味で))」


カーミラ・・・ミラは、ヒエンの可愛さに心の中で悶えていた。


「(なんだか、寒気が・・・)」


おれは、なぜか寒気がした。


「(そうだ!あのヤンデレ女もいないし、この際私好みに調教しちゃう!?)」


ミラは、何やらよからぬことを企み始めてる。


ヒエンよ!逃げろぉぉぉ!!


「(いやいや、待てよ?いきなりではなく少しずつ好印象を与えていっていけばいいのでは?)」


すでに、印象がマイナスになっていることに気づかないとはなんともめでたい頭をしている。


「(よし!)ボウヤ、お腹すいてない?なんか作るわよ?」


「(そういえば、異世界こっちに来てからまだ何も食べてないな)」


おれは、あらためてこの数日間を振り返ってみると何も口にしてないということを思い出した。


思い出した途端になんか空腹感に襲われてきたぞ・・・


「なら、このドラゴンの肉で適当に肉料理作ってくれ」


おれは、ポーチ(女神特製)からドラゴンの体の一部を取り出した。


「 」


(こんな、かわいいボウヤがドラゴンを!?嘘でしょ!)


ミラは、ただただ絶句していた。


それもそうだろ。


ヒエンが取り出したドラゴンの一部は危険度SS級の魔物『ダークドラゴン』なのだから。


出くわしたら逃げることを優先しろと小さいころから教えられてきたドラゴンの体の一部が自分の目の前にあるのだ。


自分よりも、いや自分たちよりもはるかに劣っている人間という種族が『ダークドラゴン』を倒した。


ただ、それだけでも信じがたいのだが


愛おしいと思っている相手が実は自分よりもすごいのだと思わされ魔族としての誇りと女としての何かを失った気がしたのだった。


ここで、もし木の枝一本で倒したとヒエンが話したら気絶してしまうだろう。


「わ、わかったわ。これで適当に作るわね。」


ミラは、ドラゴンの肉を受け取ると部屋から出ていった。


そして、数分後・・・


鼻腔をくすぐって逃げていく匂いを漂わせながらミラが部屋に入ってきた。


「お待たせ〜。ドラゴンとキルキャロットの炒め物で〜す」


そう言って、目の前のテーブルにおいたのはドラゴンの肉とニンジンの炒め物だった。


「おお!うまそうだな!」


「うふふ、うまそうじゃなくてうまいのよ?」


ミラは、にっこりと笑うとあーん!をしてきた。


「なん・・・だと・・・」


いきなりのあーん!はきついぞ。


まぁ、両手両足縛られてるからこうする以外に食う方法がないから仕方が無いが。


「仕方がないか・・・」


おれは、仕方なくあーん!されてやった。


「!」


なんだ!この美味しさは!?


「そうかぁ、美味しかったかぁ〜良かったァ〜」


ミラは、ニコニコとしながらそう言っていた。

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