第八話 スケベェー村長とカーミラ
「ふぉっふぉっ・・・自己紹介がまだだったな。わしは、スケベェー・スケベノスケこの『ムギの村』の村長をやっとるのじゃよろしくな」
ブフッー!スケベェー・スケベノスケって(笑)
おれは、必死に笑いそうになるのを堪えると自己紹介を始めた。
「おれは、スメラギ・ヒエンしがない旅人だ。」
「で、こっちが」
「ヒエン様の妻のユニと言います。」
嘘を言うな!嘘を!!
「ほぉー、随分と別嬪さんじゃの」
と、いいながらスケベェ村長はユニの尻に手を回した。
「あらあら、名前の通りスケベェなようね村長さんったら」
ユニは笑いながらそう言っていたが目が笑ってなかった
「ふぉっふぉっ・・・」
おい、スケベェ村長の顔が引き攣ってるぞ
「ところで、スケベやろう・・・間違えたスケベェ村長 なんであいつら昼間っから真っ裸なん?」
「それはのぉ・・・」
「!」
なんだ、この気配は!
「ユニ、お前も感じてるか?」
「ええ、上の方から一体の気配が降りてくるのを感じます。」
どうやら、ユニも感じてるらしい。
気配は、徐々に近付いて来ると地面にど派手に突撃した。
「じゃじゃ〜ん!キュートな吸血鬼ちゃんのカーミラ登場!」
そして、何事もなかったかのように振る舞いながら自己紹介してきた。
「・・・」
なに、この子?いたい系なかんじ??
「ちょっとぉ〜かわいそうなやつを見る目で見ないでよぉ〜」
「実際、かわいそうなやつだろ」
「これを見ても同じことを言える?」
そう言って、見せたのは漆黒の翼だった。
「ーーカーミラか・・・」
「そうよ?」
ーーカーミラ、女吸血鬼。
「じゃあ・・・」
「ええ、村人を襲ったのも私。」
やはりか・・・
「でも、なぜだ?」
「そんなの簡単よ。若い男の裸を見るために決まってんじゃない」
「うわー・・・」
「な、なによ!引かなくてもいいじゃない!」
「そうですよ!ヒエン様!!私たちも裸になってまぐわりましょう!」
ユニは、鼻息を荒くして迫って来た。
ユニよ。お前もか・・・
「そこの男!体つきがいいわね。私のものーー」
「ふふ・・・腐腐腐腐!」
私のものにならない?という言葉を遮ってユニはどこから取り出したのかナイフをカーミラめがけて投げた。
やばい!ユニの目から光が消えた・・・
ヤンデレモードだ!
「ヒエン様は私のものヒエン様は私のものヒエン様は私のものヒエン様は私のものヒエン様は私のものヒエン様は私のものヒエン様は私のもの」
ユニは、俯くとなにかをブツブツと言い始めた。
「マズイな・・・」
経験上、こうなったら・・・
最初に被害を受けるのは・・・
「カーミラ!よけろ!」
カーミラだ!
カーミラは、突然の出来事に驚いており固まっていた。
「腐腐腐、カーミラ・・・消してあ〜げる♡」
ユニは、にっこりと微笑むと一瞬でカーミラとの間合いをつめた。
「!」
カーミラは、反応が遅れたのかナイフ攻撃をよけきれず左腕に刺さった。
「うふふ、もう一本!」
ナイフをもう一本取り出すと反対側の腕の右腕にも刺した。
「!(動けない!?)」
「腐腐腐、雷属性魔法を纏わせたナイフだから痺れて動けないわよ。」
今の、ユニはじわりじわりと獲物をいたぶる捕食者のようだった。
「ふざけんじゃないわよ!!」
「「!!」」
カーミラは、両腕に力を込めると筋肉を利用してナイフを抜いた。
「なんつー、馬鹿力・・・!」
「ふふっ、女の子に向かって馬鹿力はダメだよ?」
カーミラは、可愛らしいポーズをしながらそう言ってきた。
普段なら、可愛いと思えるが状況が状況なだけに可愛いとも思えない。
「腐腐っ、ヒエン様に色目使いやがって・・・殺してやるです。」
やばいな・・・本当にやりかねんぞ
「隙ありぃ!」
おれは、ユニをどうやってなだめるかで頭がいっぱいだったのでカーミラの放った魔法に気づかなかった。
「しまっ・・・た」
なん・・・だ?
意識・・・が
「何をしたの!?」
意識が・・・どんどん遠のいて・・・
「ふふ、簡単なことよ?睡眠魔法を使ったの。」
そう言ってカーミラはおれを楽々と抱えると笑いながら飛んでいった。