第七話 到着・・・!!
「ここが、『ムギの村』か・・・」
やっと、ついた!
おれたちは、今『ムギの村』の入り口にいる。
「そうね、やっとついたわね」
おれのとなりで微笑んでいたのはユニだった。
え?ユニって誰かって?
そうだなぁ・・・
説明するために数十分くらい前に遡る必要がある。
〜数十分前〜
まだ、おれたちが『落命山』にいた頃。
「ハァハァ・・・死ぬかと思ったぜ・・・!」
危うく、三途の川渡るとこだったぜ!
「ずみばぜんでじだ!」
お姉さんは、鼻水と涙を流しながら謝ってきた。
すげぇ、面白い顔になってる(笑)
「いや、うん個人的に面白いのが見れたから良しとしよう。」
「ありがどうございまず!」
お姉さんは、涙と鼻水を垂らしながら抱きついてこようとしたので咄嗟的によけた。
「あぶねぇ!危うく服が鼻水まみれになるとこだった。」
「うわぁぁぁん!」
おれがよけたことによってよけいに泣き始めた。
「ひどいでずよぉ!よげるなんで!!」
「当たり前だろ!よけるなんてのは!」
誰が、好き好んで鼻水まみれの服なんか着るか!!
「ところで、あんたは誰なんだよ!ほんとに」
さっきから泣いてばかりでいるので誰だかまったくわからずにいた。
「ユニコーンです!」
「はっ・・・?」
なに、言ってるの!?
ユニコーンて人間ちゃうやん!
「スメラギ様が信じられないのも無理はありませんが私はユニコーンです!」
まぁ、確かにユニコーンの言う通り、ユニコーンらしさは残ってるけど・・・
「まぁ、ユニの言う通り・・・ユニコーンだっていうことは信じるよ。」
じゃないと、話が進まないから。
「ユニ・・・?」
「そっ、ユニコーンじゃ呼びづらいからね。だからユニ」
もしかして、気に入らなかった?
「う・・・」
「う?」
「嬉しいですぅ!スメラギ様の!愛を!感じます!!」
名前つけてあげたくらいで大げさだな。
ースメラギヒエンは、ユニコーンと契約をしました。ー
「は?」
なんで、契約・・・?
「おそらくは、スメラギ様が私に名前を与えてくれたからではないかと・・・」
えっ、なに名前つける=契約って・・・
いつの時代やねん!?
「フフッ!責任とってくださいね?///」
「おいいいぃ!?」
やめろ!顔を赤らめるな!腕を絡めてくるな!
「さて、いつまでもここにいるわけには行かないから・・・」
おれは、ユニの腕を振り解くと『ムギの村』に向かって歩き始めた。
「っと、その前に・・・」
おれは、くるりと方向転換するとケルベロスの死体に歩み寄り『火炎球』で焼いた。
「ゆっくりと眠れよ・・・」
そして、手を合わせて祈りをした。
「今度こそ・・・!」
おれは、立ち上がると山を降りる準備の確認をすると山をおりようとした。
「待ってください!私もついていきますわ!」
おれの後を追っかけてユニが慌ててやってきた。
「えぇ、めんどくさい!」
確かに、お供は欲しいと思ってたけどさ・・・
「!?」
まさかの一言にユニは落ち込んだ。
「うそうそ、ついてきていいから。」
落ち込んでいるの見るとついついいじめたくなるんだよね。
「!!」
パァー!という擬音が聞こえてきそうなくらい嬉しいという表情になった。
「スメラギ様!大好き!!」
「ユニ、おすわり!」
抱きつかれるよりも先に地面に伏せさせた。
「よし、いい子だ。」
おれは、ユニの頭を撫でた。
「次は、ユニコーンの姿になってくれ!」
ユニは、ユニコーンの姿になると褒めて褒めてと言わんばかりに頭をつきだしてきた。
角がくい込んで痛い・・・
「よし、よし!いい子だ!!」
ユニ(ユニコーン)は、アヘ顔になっていた。
「ユニ・・・おれを乗せて『ムギの村』に飛べ!」
「了解!」
ユニは、おれが背中にまたがったのを確認すると美しい羽根を広げ優雅に空を飛び始めた。
「(ヒエン様が私に跨っている!興奮してきたわ!!)」
・・・この、変態的な考えがなければ
「スメラギ様・・・もう少ししたら『ムギの村』につきますよ?」
「なぁ、ユニそのスメラギ様ってくすぐったいからヒエンって呼んでくれないか?」
おれは、何気ない気持ちでそう言ったのだがユニはそうでもなかったらしく・・・
「無理です!貴方様は、女神様に選ばれた尊きお方なのですよ!?様つけは当然です」
と、慌てふためいた。
「そんなものか・・・」
たぶん、これ以上なにか言っても反論しかされないのでいうのを諦めて寝っ転がった。
「着きましたよ?起きてくださいヒエン様!」
「ふあーぁ、おはー!」
ユニの背中が気持ちよくて寝てるあいだに『ムギの村』に着いたらしい。
「はい、おはようございます。」
ユニは、人間になると微笑んだ。
さて、行くとしますか。
〜そして、現在〜
「なぁ、ユニ・・・ここって『ムギの村』で間違いないよな?」
おれは、目の前で起きてる惨劇に思わず確認をしてしまった。
「え、ええその筈ですが・・・?」
ユニも、思わず固まってしまうほどの惨劇だった。
「な、なんで男の人たちが昼間っから真っ裸で阿波踊りやってんの!?」
「これは、これは旅人の者。驚かせて済まないね」
あまりの地獄絵図に吐きそうになっていると杖ついた老人がやってきた。