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むかしむかし、あるところに竹(イネ科の植物)をとって生活しているお爺さん(以下、甲)と妻のお婆さん(以下、乙)がいた。
ある日、甲が山(一個人が勝手に竹を取っているので国有林と考えられる)に竹を取りに出かけると、光る竹を見つけた。
竹は通常、光らない。
非常な不審物であるにも関わらず、甲は光る竹に近づいた。(不審物を発見した際には当局に連絡するのが正しい対処法である)
すると光る竹から三寸程の可愛らしい女の子が出て来た。三寸、つまり約9cmである。1/144スケールのガンプラでも約13cmなので、非常に小さい女児だったといえる。
甲は女の子を家に連れ帰り、自分たちの子として育てることにした。当時は養育権の問題はあまり重要視されていなかったことがうかがえる。
その後、甲が山に行くたびに竹の中から金(元素記号 Au)を発見する日が続き、一家は豊かになった。
竹から金が出ることは現代では確認されないが、1989年4月神奈川県川崎市の竹やぶで約1億円が発見された事件はある。何がそうさせるのかはわからないが、竹やぶにはドリームがあるのだ。
やがて女の子はすくすくと育ち、美しい女性となり、なよ竹のかぐや姫(以下、丙)と名付けられた。
丙の美しさが評判となり、いろんな男性が丙と結婚を望むようになった。
当時は映像媒体がないので人伝えの言葉による伝達か、せいぜい似顔絵くらいなものである。多少の誇張があったとしても不思議はない。
どちらにしても丙はモッテモテで、ついには5人の貴族(以下、ABCDE)が彼女に求婚を申し出る事態に至った。
5人は丙の気を引くため笛を吹いてみたり和歌を詠ってみたり、モテたかったらバンドやろうぜ的なノリで丙にアピールをした。
丙もイラっとしたのだろう。自分と付き合う条件に、5人に無茶なプレゼントを要求したのだ。
Aには「仏の御石の鉢」
Bには「蓬莱の玉の枝」
Cには「火鼠の裘」
Dには「龍の首の珠」
Eには「燕の産んだ子安貝」
である。