空から降るのは
お題「空から降るのは」に基づいて作った作品です。
虫の知らせとでもいうのだろうか。普段は目覚まし時計が鳴っても寝ぼけ半分で投げ飛ばし、姉貴にフライングラリアットをかまされてようやく起きる俺が、今朝はなんとなく目が覚めた。枕元を見ると、時計は投げ飛ばされることなく、静かに六時半を指している。いつも起きる時間だから、とうとう体に叩き込まれたということなのか。
そんなことを考えながらリビングで朝の準備をした。テレビをつけて、トーストをセットして、牛乳を注ぐことはもう習慣になっていて、半ば無意識的にできるようになっている。だから俺の意識は、自分の席に着いてテレビの画面を見たときに初めて覚醒した。
『巨大隕石の衝突により、日本時間の2014年8月25日午前0時に地球上の生物は絶滅します』
青い画面をバックに白い明朝体の文字だけがあり、明るい効果音もアナウンサーの声もなかった。そういえば夏は夜も開けっ放しにしている俺の部屋の窓から鳥の声が聞こえなかった気がする。それに、家の中が不気味なくらい静かだ。
「父さん? 母さん?」
両親の部屋は真っ暗で、母さんのベッドはそのままの状態、父さんのベッドは使われた形跡すら無い。タンス貯金の隠してある引き出しの中も空になっている。
「姉貴?」
こっちの部屋は電気がつけっぱなしだ。クローゼットに入っていた服や小物がほとんどぶちまけられていて、事情を知らなければ泥棒が入ったと勘違いしていただろう。何を思ったか、姉貴がいつも寝るときに抱いていたぬいぐるみも無い。
再びリビングに戻ってトーストをかじりながら、今度はスマホ片手に情報を集めることにした。世界が終わる日にもインターネットは使えるようだ。ニュースサイトはあまり動いていないが、掲示板が活発に動いている。おかげで知りたい情報は手に入ったが、残念ながら世界が終わることを否定してくれるものではなかった。
そうなると、今度はこれから明日の零時までの間をどうやって過ごすかという話になる。アナウンサーも記者も俺の家族も、最後のときに思い残すことがないようにそれぞれやりたいことを果たしに行ったのだろう。俺のやりたいことは、たった一つだ。
洗濯物の山の一番上にあったパーカーとジーンズに着替えて家を出て、鍵も忘れずに閉める。町を歩いているだけでも断発的に聞こえる叫び声や悲鳴、大きな物と物がぶつかるによって嫌でも非日常を感じさせられた。
目的地に向かう途中にある渡らなければいけない道路では、明らかに制限速度を超えている車が行き交っていて、当然のように信号は意味を為していない。左右に目を向けてみれば、横断に失敗した人間が数人、事故を起こしたと思われる鉄の塊が六つ、乱暴に端に追いやられていた。それほど交通量の多くないこの道路はまだ隙を見て渡れるが、国道はもう通れないと思った方が良さそうだ。
いつも昼飯を買っているコンビニは商品が少し無くなっているくらいで、思ったより荒れていなかった。その無くなっている物も、きちんと代金を支払われたことが考えられない量ではない。二十四時間以内に必要となる物はあまり無いからだろう。俺はいつものように鮭と昆布のおにぎり、それにお茶のペットボトルを一つずつ手に取って、代金を開けっ放しのレジに放り込んでおいた。
世界が終わるというとき、俺の足は習慣のように学校へ向かった。俺のやりたいことは半日もあれば十分だし、学校までは二十分もかからない。最後に一目見るくらいの思い入れはあった。
驚いたのは意外にも学校の至るところに人気があることで、管理人の爺さんなどは世界の終わりなど知らないかのようにきっちり作業着まで着て、校門の前を掃いていた。校舎の中にも音楽室やそれぞれの教室などに人の気配があって、それらの場所ではパーティでもやっているらしい歓声が聞こえる。
二階の自分の教室はそんな例外には当てはまらず、予想通り誰もいなかった。安堵と落胆がないまぜになったような気持ちを抱きつつ、俺が自分の席で頬杖を突くのと教室の扉が開いたのはほとんど同時だった。
「おはよう。ってあれ、誰もいない」
「ここにいるぞ」
存在を認識されなかった不満が滲んだ声を出すと、神坂は目を丸くして、ふらふらした足取りで俺の席までやってきた。
「え、なに、山野君しか来てないの?」
「そりゃみんな、世界が終わる日に学校なんて来ないんじゃないか。普通」
「はあ? 世界の終わりってどういうこと?」
「えっ、知らないのか? テレビでもネットでもやってるじゃん」
「そんなこと言われても、あたし朝はテレビ見ないし、昨日スマホの充電忘れててさあ」
ありえなくない、と笑いながら充電用のコードを取り出して壁際のコンセントに繋いだ。間の抜けた音がして、神坂のスマホの画面が明るくなる。
「うわっ、マジで……。ていうか、寝坊したからってほっとかないでよ!」
どうやら俺も使っている、有名なSNSを見ているらしい。なんだか独り言で怒っている。
「じゃあ俺はもう行くから」
しかし神坂の脇を通り過ぎようとすると、呼び止められた。
「どこ行くの?」
「世界が終わる前にやっておきたいことをやりに行くんだ」
神坂の方を向くと、コードをくるくるまとめながら立ち上がっていた。
「へえ、あたしも連れてってよ」
「はあ?」
あまりにも脈絡が無さ過ぎて、拒否よりも先に呆れ声が出た。
「あたしの家、ここから一時間はかかるし、今から友達を探しに行くのもだるい、ってか行きたくないし」
「親孝行とか、もっと他にやりたいことはないのかよ。今日で世界が終わるんだぞ」
「うーん」
ムラのある金髪を指に巻きつけながら、天井を見上げた。しかしそれも一瞬。
「無いよ」
すぐにけろっとした顔で答えた。
「しょうもない奴だな……」
思わず漏れた俺の本音に、神坂は頬を膨らませた。
「だって親は起きたらいなかったし、やりたいこととかないし。ね、それより何しに行くわけ?」
「分かった分かった。時間ももったいないし、歩きながら話すよ」
意外に頑固な性格のようだ。諦めて教室を出ると、チャイムが鳴った。世界が終わるまで、あと十五時間半だ。
「なあ、電車動いてると思うか?」
二人並んで階段を下りながら、とりあえず移動手段を考えることにした。
「動いてないよ。だからあたし、今日は一時間もかけてチャリで来たんだから」
そう言って、鞄から取り出したキーホルダーを指でもてあそび始めた。
「それ、貸してくれ」
「そんなの当たり前じゃん。言っとくけど、漕ぐのは全部山野君だからね」
「ああ、それくらいはやるよ」
学校に来ている生徒が思ったより多かったから駐輪場にもそれなりに自転車があるが、それでも混んでいるというほどではない。
「みんな、こんな日にまでよく学校来るよね。あたしなんか、今日で世界が終わりだって知ってたら絶対来なかった」
「友達と騒ぎまくって学校で終わりを迎えるのも楽しいと思うけどな」
自転車を出すのに少し手間取ったが、俺のとそう変わらない。自転車にまたがって、サドルを調節した。
「でも山野君はそれよりやりたいことがあるんでしょ?」
荷台に重心がかかる。声の方から推測すると、横向きに腰かけているらしい。
「ああ。俺は、幼馴染に会いに行くんだ」
地面を蹴って駐輪場を出るとすぐに坂がある。二人乗りの不安定さはそこで消えた。
「なにそれなにそれ! ひょっとして好きだった子に告白しちゃう感じ?」
「全然違う。いや、全然ってことはないか」
ぐっとブレーキを握って、停車する。この自転車、ブレーキの利きが若干悪い。
「どうしたの、こんなとこで止まって」
「忘れ物だ」
自転車を止めたのは、学校から徒歩五分圏内にあるコンビニだ。開きっぱなしの自動ドアから真っ直ぐ目的の物のところまで行くと、神坂が手元を覗き込んできた。
「ああ、地図か」
「そういうこと」
俺は幼馴染の癖を真似て、左手でぱらぱらとページをめくってみせる。
「だから道案内は任せたぞ」
めんどくさかったので、今度は代金をカウンターにだけ置いて店を出た。
「で、幼馴染ちゃんの話だけど」
「その前に次の曲がり角を教えてくれ」
「ええっとぉ。しばらく先。だから高速の手前の歩道橋を渡って」
「了解」
今度は二人乗りのバランスを取るのに苦労しながら、俺は昔のことを回想した。
「確かに俺はあの頃、あいつが好きだった。だけど、今俺が会いに行くのは約束だからだ」
立ち漕ぎまではしないが、全力に近いスピードで歩道を走る。目の前には通行人も自転車も、何もいない。
「俺さ、小学校に上がる頃にこっちに引っ越してきたんだよ。その前に住んでたとこは田んぼがあるような、なんもないとこだった」
飛び出してくる人間に注意して曲がり角では減速しているし、大きな交差点では赤信号と比べ物にならない時間を待たされる場所もある。出しているスピードの割に時間を短縮できていないことに少し、焦りを感じた。
「幼馴染幼馴染って言ってるのは、そのときの友達のことだ。ああいうとこじゃ、やっぱ近所付き合いが濃くてさ。隣に住んでた同い年の子どもってことで、外で遊びまわれるようになる頃には、ほとんど一日中一緒にいるくらい仲良くなってた」
「もうすぐ消防署が見えるから、その前で左ね」
我ながら面白くない話だと思うが、神坂は一応ちゃんと聞いているらしい。
「おう。それで、とうとう二人で遊べる最後の日だってときに約束したんだ。『いつか絶対会いに行く』ってな」
「すっごいロマンチックじゃん! 山野的にはいつ会いに行くつもりだったの?」
「正直、もう会うことはないと思ってた」
世界が終わる日に隠し事もない。それに、正直な気持ちを吐き出してしまうのに、神坂はちょうどいい他人だった。
「ほら、漫画でよくあるだろ。子どものときにした結婚の約束を言われて恥ずかしくなるネタ。あれみたいなもんだ」
「でも、好きだったんでしょ?」
「ああ」
言われた通り、消防署の手前でハンドルを切る。右に見えた道路側の青い標識に懐かしい地名が見えて、ペダルを踏む足に力が入る。
「あのときは間違いなく好きだった。でも今はもう自信が持てない」
好きな女の子は誰だと聞かれたら、あいつの姿がよぎる。だが一方で客観的な自分が疑い深く目を細めてもいるのだ。それは人間が遠い過去に想いを馳せるときに特有の美化で、今自分が抱いていると思っている恋情は惰性でしかないと。
「自分のことなのに分からないんだ?」
「そういうこと、結構あるだろ」
「無いね。でも、山野君のことなんだから、山野君が分からなきゃ誰にも分からないに決まってんじゃん。どうしたら分かるわけ?」
「さあ……。キスの一つでもしてみれば分かるかもな」
太陽が中天を少し過ぎた頃、視界の遥か向こうに山が見えた。俺が住んでいたところはあの山の近くだ。それに気づいたのか、神坂が急に叫び声を上げた。
「あーっ!」
「どうした?」
「お腹すいた」
地図を買ったコンビニで何も買っていなかったからてっきり登校途中に買ったものと思っていた。
「昼飯買ってないのか?」
「遅刻すると思ってたから、なんなら朝ごはんも食べてない」
「じゃあその辺のコンビニで」
「あそこのごはん屋さんで止まってよ」
「飯屋なんてやってるわけ」
「いーから」
「ぐっ、首をホールドするな!」
もう少しで着くというところで事故を起こしたら敵わないので、仕方なく神坂の指した店の前に自転車を止めた。定食屋と聞いてイメージするような格子硝子の引き戸に紺色の暖簾を見ると、安心感にも似たものを覚えた。
「中には誰もいない、と。ここで何をするんだ?」
「ちょっとねー」
神坂は不敵な笑みを浮かべて躊躇なく調理場に足を踏み入れていく。手を洗い出した時点で想像はついたが、一応聞いた。
「何をするつもりだ?」
「もちろん料理に決まってるじゃん」
冷蔵庫の中から野菜を取ってくると、意外に手際よく短冊切りにしていく。
「料理人にでもなりたかったのか?」
「べっつにー。せっかくだからさ。ほら、山野君は向こうで待っててよ」
「俺も何か手伝うって」
「逆に邪魔だから」
包丁を持っていない右手の人差指を突きつけられたので、すごすごと退散するしかなかった。
「分かったよ。必要な時はいつでも呼んでくれよ」
適当な四人掛けのテーブルについて肘をつく。調理場から戻ってくるときに電気やら空調やらもつけたが、一人きりでいると開店前の店に忍び込んでしまったようで落ち着かない。しかしこの静けさに身を置いていると、世界の終わりが改めて意識される。それに気づくと同時に、不意に疑問が浮かんできた。
俺は、世界が終わる日に何をしたかったのだろうか。
昼食を終えて、俺たちはまた自転車を走らせる。ちゃんと鍵はかけておいたが、よく考えたらこの非常時にそんなものは何の役にも立たない。いっそのこと店に入れればいいということに気づいたのは既に腹を満たした後のことだった。
「そういえば、幼馴染ちゃんとメールとかしてないの?」
「小学校に上がる前だって言っただろ。メールなんか使えるか」
「あ、そっか。じゃあ電話とか手紙とか」
「電話は思いつかなかったな。手紙はしばらくやりとりしてたけど、小学校を卒業する前にやらなくなった」
「なんで?」
「俺じゃなくて、あいつからの返事が来なくなったんだよ理由は分からない」
「それ脈ナシだったんじゃないの?」
「そうかもな。でも、確かめなきゃはっきりしないだろ」
「ふーん。ま、そうかもね。ところでこのまま真っ直ぐ行ったら着くけど、まずどこに行くわけ?」
「幼馴染の家かな。どこにいるか分からないし」
「家にはいないんじゃない」
「それならそれで、連絡先調べて電話するよ」
「ストーカーみたいで気持ち悪い」
「ほっとけ」
他愛ない話をしているうちに、流れていく景色が懐かしいものへと変わっていく。冬休みに当てもなく遠くへ歩いた末に着いた大きな駅。小学校の高学年の縄張りだった公園。
「もう案内いらない?」
「そうだな。結構覚えてる」
「じゃあこれもういらないね」
何のことだ、と少し左に傾けた俺の視界の隅に、羽ばたくように飛んでいく地図が見えた。
「おい、ポイ捨てすんなよ!」
「だって重かったんだもん」
「だもんってお前」
「それより、幼馴染ちゃんの家どこ?」
「もうちょっとだ」
都市の方では人間がごろごろ転がり、悲鳴と怒号が交互に聞こえるような地獄絵図だったが、この辺りはまだ平穏が保たれている。
「おじいちゃんおばあちゃんばっかりだからかもね。あたしだって八十歳だったらいつも通り過ごして終わりがいいもん。早寝だから、世界が終わる瞬間を見なくて済むっていうのもいいね」
「そうかもな。きっとそれが理想だ」
そして、幼馴染の家に着いた。
どこにでもあるような二階建ての白いその家は、十年前からほとんど変わっていないようだった。インターホンを押して待つ間、俺も神坂も縫い付けられたように口を開かなかった。
「…………どうする?」
が、そう待たないうちにやはり神坂が沈黙を破ってきた。この「どうする?」はさっき言った通りにこの家に入るか、という意味だ。
「いや、いい」
「なんで?」
俺は幼馴染が出てくることを期待したわけじゃない。
「よく見たら、そもそも表札が違った。悪いな、わざわざ付き合わせたのにこんなオチで」
「ううん。あたしが好きでついてきたんだし。それより、これからどうする?」
太陽はもう西端に沁み出たような朱色を残すばかりで、空はほとんど藍色に染まっている。腕時計の針は午後九時を回っていた。
「中途半端な時間が残ったな」
「ということは、予定ないの?」
「あ、ああ」
後ろ手を組んで上目遣いで見上げてくる瞳に、鼓動が一度飛び跳ねたような気がした。
「じゃあさ、ちょっと付き合ってよ」
「いいよ」
「世界の終わりまででも?」
「これも何かの縁ってやつだろ。俺はどちらかというと、運命を信じる方だ」
「あたしもだよ」
そう言って神坂は自転車のサドルを叩いた。
「あたし、空以外は何も見えないような高い場所に行きたい」
「分かった」
荷台の重みを確認すると、迷うことなく走り出した。
「どこに行くの?」
「学校。木造のぼろいとこだけどな」
「いいじゃん。雰囲気あって」
ふと空を見上げると、満月が頭上で光り輝いていた。
今朝出発した学校の周辺に比べると、この辺りは田舎と言っていいくらいだった。それでも決して少ないとは言えない数の外灯が今日のように一つ残らず消えていなければ、こんなに見事な星空を見ることは出来なかっただろう。
きちんと施錠もされていない年季の入った学校の屋上で、特に親しくもなかったはずのクラスメイトと並んで寝ころびながら、そんなことを考えていた。
「こんな綺麗な星が見れるんなら、世界の終わりも悪くないね」
「悪いに決まってるだろ、世界の終わりなんて。これはそうだな、不幸中の幸いってやつだ」
「終わんなきゃいいのにね」
「隕石が落ちてこなくても、ここまで好き勝手やったんだぞ。終わらなかったらそれこそ地獄だ」
「山野君ってば、さっきから否定してばっかり」
「お前が間違ったことばかり言うからだ」
「そっか……」
眼前はまさに満天の星空だ。今にも落ちてきそうな空だが、この中の星のどれかがこれから本当に落ちてくる。
「なあ神坂、本当にこれで良かったのか? 何かしたいことなかったのか?」
「まだ気にしてたの? 無いって言ったじゃん」
「そうか」
「言ったけど……」
そこで言葉を切ると、神坂は急に立ち上がって俺を見下ろした。制服のままなのでスカートがかなり際どい位置だが、幸か不幸か周りが暗いので神坂の表情も見えないし、体の輪郭程度しか分からない。
「ねえ山野君、ちょっと目瞑っててよ」
「なんだよいきなり」
「いいから! ちょっと心残りを思い出したの」
もう時間もないし、おとなしく目を閉じた。何がしたいのか見当もつかないが、外で素っ裸になって叫んでみたいとか、そういうことだと結論を出した。確かに普段はできないことだ。
「絶対目ぇ開けんなよー」
「分かってるよ」
想像したよりずっと近くから声が聞こえた。てっきり屋上の中央かフェンス際にいると思っていたのだが、俺の傍らから声が聞こえた。
そして、唇に湿ったものがあたる感触があった。目を開くと、神坂の顔が文字通り目と鼻の先にある。にっこりと笑う彼女の表情は、複数の感情が溶けたような言い表しようのない不思議な魅力を持つ笑顔だった。
「……分かった?」
その問いに対して俺が言葉を囁いたのと同時、世界が真っ白に染まった。
俺が彼女に向けた返事は、届いただろうか。