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ヘリコプターが旋回してる

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/08/14

日常のすぐ隣に潜む非日常。

真夏の灼熱の中、ただ「うるさい」と苛立っていたプロペラ音が、自分自身に向けられた警告だと知った時、物語は始まります。

天井から滲む赤黒いシミ、見知らぬ番号からの着信、そして屋根の上に潜む「何か」。

身近な部屋が恐怖の渦へと変わる、息をのむサスペンスをお楽しみください。

 ある夏の午後。だるような暑さの中、報道用と思われる白い中型ヘリコプターが、ある地点を中心にして円を描くように上空を飛んでいた。

上空30、40メートル程だろうか、プロペラ音がけたたましく、僕は勉強に集中できず、非常に困り果て 苛立っていた。

━━事故か?事件か?ら或いは火災でもあったのか、いずれ報道ヘリコプターの出動を決めるくらいのだから、の中に 話題性がある事柄のだろう。

 とはいえ 僕はテレビを持っていなかったため、家族の集うリビングにもテレビはなかったので、こういう突発的な事象に対応できるデバイスといえぼ、スマホのインターネットくらいしかなかった。

 ところが、そのネットニュース関連にはそういった速報は入ってきていないようなのであった。なんでだろう━━?

苛立ちに任せて画面をスクロールしていた手が、ふと止まる。

ネットに載らないのも無理はなかった。あれは、事件のニュースを追っていたのではない。

ヘリの巨大な影が、わが家の屋根をなぞるようにグルリと円を描いた瞬間、けたたましいプロペラ音に混じって、ピチャリ、と頭上から湿った音が響いた。

屋根の上に、何かが「落ちて」きている。

恐る恐る見上げた天井のクロスが、じわりと赤黒いシミを広げ始めていた。ポタリ、ポタリと落ちてくる滴は、酷く鉄臭い。

その時、僕のスマホがけたたましく震えた。登録のない番号からの着信。画面に出た文字に、息が止まる。

『報道ヘリ乗組員:上空より屋根の上の「それ」を確認中。絶対に外に出ないでください』

じゃあ、あのヘリがカメラを向けて追っているのは、僕の家の上にいる「何か」なのか――?

 天井のシミが、めきめきと人の形に広がっていった。

     【了】

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

真夏の蒸し暑い部屋、頭上で響く不快なプロペラ音、そして天井のシミ……。普段なら気にも留めないような日常のちょっとした違和感が、もし自分の命を脅かすものだったらという恐怖を描いてみました。

楽しんでいただけたでしょうか。少しでもヒヤッとするような涼しさ(恐怖)をお届けできていれば幸いです。

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